また伊豆で熊が出たが世間に歓迎されない理由

また伊豆で熊が出たが世間に歓迎されない理由

2023年12月16日 オフ 投稿者:

皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

あまり歓迎されていないようですが、また伊豆半島でツキノワグマが捕獲されたようです。私のブログの熊記事へのアクセスが急増したので取り急ぎ調べると・・

あ・・出てる。ニュースが・・

 

 

前回の捕獲が2021年7月だったので、今回2023年10月ということは、2年3か月ぶりに捕獲されたという事が分かる。

ワクワクすると言ったらお怒りになる方もいるかもですが「絶滅したはず」と言われた土地に生息していることに浪漫がある。しかし、それにしても頻繁に目撃されているではないか。

 

 

もはや、伊豆にクマは居ないなんてイメージは取っ払った方が良い。

今回、伊豆でツキノワグマが捕獲された場所や状況、2023年度は熊による人身事故が特定の地域でかなり多く、人が熊に対して過敏に反応している状況と、駆除推進派と保護擁護派との摩擦などについてもこの機会に少し触れてみたいと思います。

それでは見ていきましょう。

 

まず、ニュースは次の通りです。

静岡 クマ捕獲 伊豆半島で絶滅したはず? “ツキノワグマ” 河津町

10月20日午前、、静岡県河津町の山奥の国有林でツキノワグマ1頭が捕獲されました。県によりますと、伊豆半島ではツキノワグマは絶滅したとみられていたということで、捕獲は極めて珍しいとしています。

県賀茂農林事務所によりますと、20日午前11時ごろ、河津町の山奥にある梨本国有林でシカを取るわなに、クマがかかったと環境省の職員から連絡がありました。県が確認したところクマは、ツキノワグマで体長およそ1.2m、オスの成獣とみられるということです。けが人をした人はいませんでした。

河津町の民間動物園 飼育主任 渡部那智さん
比較的若いオスでした。人にもなれてなく、山にエサも豊富なので人里に降りてくることはないと思います。

捕獲したクマは、麻酔を注射してその場でわなを外し、山に放したということです。

出典:NHK静岡放送局 静岡WEB特集2023年10月24日 より

 

ほう。河津で捕獲されたのね。河津なら出現するだろうなと思いました。前回捕獲されたのは西伊豆町でしたが、エリア的に西伊豆町の熊が河津町まで来ることは至極普通に考えられる。

 

伊豆半島は狭い。

修善寺、西伊豆、天城、南伊豆、このあたりを生息域として一定数存在している、若しくは前回2021年7月に捉えられ麻酔で山奥に放たれた同じ個体がまた罠にかかったかだ。天城を超えたらすぐ河津です。

 

前回同様、若い雄の個体ということからそう考えることが出来る。写真を見ると一回り大きくなっているように見えた。エサが豊富なのかな。

 

海と人家に面していて狭い。という条件を除いたらクマにとって決して悪い環境ではないと私は思うんです。

それに、狭いとは言っても長野県のアルプスと比べたらの話で、ご覧のとおり伊豆半島は自然が豊かなのである。

伊豆は素晴らしい自然なのだ

ニュース記事の飼育員さんが言うように、エサと安心して暮らせる寝床があれば、そう人里に下りてくるとはないだろう。鹿罠にかかるくらいなので絶対ではないが。

「錯誤捕獲」だとして、殺処分はせず、山奥に放つことに関してはまっとうなことだと思います。捕獲をされた方々の ”殺したくない” と言う気持ちがなんとなく伝わった。

ポイントは人身被害は出ていないということと、頻繁に人里に出てきていないことから、この段階では駆除対象にするべきではないと私は考えます。

ただ、お隣の神奈川県では錯誤捕獲でも結構な確率で殺処分となっているようでした。

相模原・緑区でツキノワグマ捕殺 わなから逃れようと暴れ…近くには住宅

神奈川県は6日、相模原市緑区小渕の樹林に設置されたわなにツキノワグマ1頭がかかり、殺処分したと発表した。

県によると、クマは体長約1・5メートル、体重78キロの雄。同日午前にシカやイノシシを捕獲するためのわなにかかっているのを発見された。近くには住宅があり、クマがわなから逃れようとして暴れたため、人身被害の危険があったことから、やむなく殺処分した。

クマがシカやイノシシ用のわなにかかる「錯誤捕獲」は本年度9件目。うち7件で殺処分となった。

引用:カナロコ 政治・行政 | 神奈川新聞 | 2023年12月6日(水) 22:42より

9件の錯誤捕獲のうち7件の殺処分はかなりの率だ・・とはいえ、伊豆と異なり住宅街で暴れたとなると、過去の乗鞍バスターミナルのパニック事件同様、大騒ぎとなることが懸念される。

 

 

さて、

伊豆の山道ではクマがいるかもしれないという警戒は必要になったが、野生動物の多様性と言う点では自然が豊かな証拠とも取れ微笑ましくもある。問題なのは熊が生息していること自体ではなく、熊が本来生息しているはずの山奥から人里に下り人家に侵入して食べ物を漁ったり人を襲ったりすることなのである。

 

これに関しては、こと大きな論争に発展している。

北海道や岩手県、秋田県などでは熊による人身被害が過去最多ともとれる勢いで急増している。秋以降、ニュースで見ない日は無いほどだ。

人身被害や目撃が相次ぐ 秋田県の「ツキノワグマ出没警報」12月末まで延長

クマの人身被害や目撃が相次いでいることから秋田県は県内全域に出している「ツキノワグマ出没警報」をさらに1カ月延長します。

今シーズン、クマに襲われるなどしてけがをした人の数が70人と過去最多を更新しています。例年12月は冬眠の時期に入りますが、今年2023年は市街地などでのクマの目撃が相次いでいます。

引用:Yahooニュース 秋田朝日放送 11/30(木) 12:46配信より

 

ヒグマの胃に死亡の大学生のDNA型…登山客がナイフで応戦した個体と同一か

同署などによると、登山中の男性2人が10月31日にヒグマに襲われ、軽傷を負いながら1人が首にナイフを刺すなど反撃。今月2日、ヒグマの死骸の近くで大学生の遺体が見つかった。死骸は首に傷があり、2人を襲った個体と同一とみられている。

引用:讀賣新聞オンライン 社会/ニュース 2023/11/25 14:56より

 

ヒグマに関してはもう別格というか・・現実離れしている、いや、これが現実なのですが、お亡くなりになられた方のご冥福を祈りつつ、ここでは深堀はしないでおきます。

指摘したいのはツキノワグマの方。人身被害が後を絶たないというのは容認できないだろう。

そして一番言いたいのはここです。クマの駆除と保護の摩擦について。

「今度クマが人を殺したらお前ら擁護派をヤッてやる!」クレーム殺到に困惑するクマ擁護派。環境団体代表が主張するクマ被害急増の「本当の理由」

地元猟友会や自治体がやむを得ずクマを駆除したとの報道がされると、必ず殺到するのが「クマを殺すな」といったクレーム。だが昨今はそのクレームに対してもバッシングが巻き起こる連鎖が起きている。

盛り上がる“クマ擁護派”叩き

「『かわいそうだろ』『なぜ殺すんだ』といった内容がほとんどで、なかには感極まって泣きだしたり、『クマと一緒に死ね』などと強い言葉を使ってくる人もいたそうです。 クマ被害のない地域からの連絡も多く、もはやただの憂さ晴らしのための抗議と思えるものも少なくないようです」

引用:Yahooニュース 集英社オンライン 配信より

熊を駆除するべき、守るべきの論争が過熱しているという。確かに人身被害のニュースが多いのでこの議論に至るのは分かるが、ここまで激しくなるとは・・。

 

これにはニュースの報道の仕方もあるかとは思うが、熊が人を襲撃!といたずらに煽る記事を書けば、上記のとおり、クマ被害のない地域(クマの生態を存じ上げない方々)の反応も過敏になってくるだろう。

積極的に駆除対象にして懸賞金でも掛ければあっという間に絶滅してしまうだろうし、かといって、このまま指をくわえていたら地方の里山で暮らす高齢者の人身被害は解決されないだろう。

だからどちらの言い分も否定はできない。

「クマを殺すな!クマが悪いのではない」と言えば「ならお前!近くでクマがうろついている地域で暮らしてみろよ!それでも同じことがいえるか!家族が被害を受けても同じことがいえるか!」と ”売り言葉に買い言葉” となり、白熱していくことは容易に想像できる。

だが、「ヤッてやる」はいささか穏やかではない。

先ほど、懸賞金でも掛けたらあっという間にクマは絶滅してしまうだろうと書いたが、既に懸賞金が掛けられていました!

駆除のクマ1頭につき8000円の報奨金支給へ 岩手県

ツキノワグマによる人身被害が過去最多の49人(5日現在)に達している岩手県は駆除したクマ1頭につき8千円の報奨金を猟友会に支給することになった。 県がクマの捕獲で報奨金を支給するのは初めて。 冬眠からクマが起き出す3月から5月までの期間限定。この時期はマタギ文化の保存を目的にしたクマの捕獲とクマが人里に下りてこないよう山へ追い上げをする時期に当たる。クマによる人身被害の予防に先手を打とうというわけだ。

引用:Yahooニュース 産経新聞 配信より

密かに予想していることがことごとく当たり怖いくらいですが、ひとまず8000円という懸賞金なので、乱獲にはならないだろうと判断します。8000円で熊と対峙する命がけの行為を新しく始めてみよう、猟友会の門をたたく人は少ないはず。

ところが、これが数十万、百万稼げるとなると、人里に降りていない個体など山奥まで探すなどの乱獲につながる心配がある。リアルモンスターハンター化してしまいかねない。

 

 

現実、日本の九州や千葉県、東京都心部などを除けばほぼ全域にクマが生息しているので、被害がない地域でも身近な問題として考える必要はある。

 

話を最初の伊豆半島に生息するツキノワグマに戻すが、ここで珍しくクマが発見されたことについても世間の反応の印象は良くないようで、私は悲しく思いましたがどうやら歓迎されないコメントが多かった。

「もう散歩も出来ないな・・」

「もうキャンプに行くのはやめます」

一方、

「生息している隣の県と陸続きなんだから居ないと決めつける方が違うでしょう」

このようなメッセージもありました。

伊豆でツキノワグマは生息できるが、多くの頭数が生息するのは難しいでしょう。というのが私の見解。

いずれにしても、変な風評被害を生まないことを願います。

 

私としては、いたずらに怖がり過ぎる、拒否する、又は油断するのではなく、生息域ならば相応の対策をして過剰に考え過ぎない事が肝心かと考えます。

身近な対策としては熊鈴やラジオを携帯するとか、どうしても心配ならばクマ除けスプレーを購入しておくことです。

基本的な生態としては非常に憶病であり、私なんかは、クマの糞がそこらに転がるような登山道を一年中歩いていますが、必ず熊鈴は付けているからか、実際に遭遇したのは8年間で1回だけですし、襲われたことは一度もありません。

ただやはり爪は鋭いのでまともにやられたら助からないだろうなとは思ってます。

 

とは言いつつ、そんなことを怖がってばかりいたらストレスしかなく、登山なんてやってられません。

それでも襲われない保証は一切ありません。伊豆の熊については、上記の対策で良いと思います。けれども岩手や秋田の熊に関しては別途対策が必要かと思われます。これは別物です。

人が放置した果樹園などが人里にあり進出しているケースもあり、容易にエサが手に入る場所の近くにクマは棲むから、それによって人身事故の可能性は増えるし、遭遇率もかなり高くなる。又、クマも人に慣れるという悪循環が繋がる。

人口が減っている中で、都心部に人口が集中し過ぎて地方が少ない高齢者で構成され里山は手つかず。普通に野生動物にとっては暮らしやすいですよね。

全ては人が招いた結果とも言えるので、色々な面からのテコ入れが必要なのですが。

喧嘩している場合ではありません。ではまた!

 

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