結局、2020年に熊遭遇事例が増加する私の予測は当たったのか!?【検証】
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
予想は当たりました・・・
私は、コロナ禍が生んだ外出自粛の影響で、人が山に入らなくなったことにより熊が活動範囲を広げて、結果的に不幸にも熊と人が遭遇する件数が増えるとハッキリ予想しました。
ズバリ!2020年、クマの遭遇件数は増えると予想したわけです。
2021年、年末の現在。
統計が出そろったところで、実際のデータを基にこの予測は当たっていたのかどうか、検証してみることといたします。
以前書いた、コチラの記事に対する結論になります。
結果と真実が気になる方は、是非お読みください。
人が山に入らないと遭遇率があがるという逆説
今回はあくまで本州に生息するツキノワグマにフォーカスして書きますが、
参考まで北海道ではヒグマによる人身被害が、既に統計開始以降最大となっています。(2021年)
普通、外出自粛で人が山に行かなければ必然的に熊との遭遇は減るものと考えるのが自然だと言えるのだが、
実際はこれと裏腹に、人が山に入らないと爆発的に遭遇するリスクはあがるだろうなと、私は想像しました。
複雑な要素がありますが、
人が山に入らないと、そもそも臆病で人を避けるクマが行動範囲を広げることになります。
このタイミングで、再び人が徐々に山に入り始めるからこそ、たくさん遭遇するのです。
既に、居ないはずの場所でツキノワグマが発見されています。
近くに人がいないと、クマはより人里に近いところに下りてきます。
それはエサを求めるからです。
人が管理しなくなって放置された果樹は、彼らの格好の餌です。それだけでなく、管理されていても食べに来ることでさえあります。
主食のどんぐり類の凶作も関係しますが、クマはより手軽に栄養価が高く美味しい餌を覚えると、それが入手できる場所の近くに潜むようになります。
最悪、家の中に入るニュースも数多く報道されていました。
クマが生息域を追われているのではなく、追い出されているのは人間であることについて、おおむね肯定します。
総合的に考えると、単純に餌の凶作だけが大量出没に結びついているのではないということです。
実際のデータに基づいて検証してみる
環境省のホームーページ、野生鳥獣の保護及び管理、クマに関する各種情報・取組 のところで、年間ごとにまとめられた統計資料を確認することが出来る。
このデータを基準に、早速確認してみることにする。
年度 | ツキノワグマとの遭遇報告件数 |
2018年 | 12,809件 |
2019年 | 18,317件 |
2020年 | 20,870件 |
数字を見る限りでは、ズバリ的中していると言える。
遭遇が増えた理由も含めて、予測が当たっていると言っても差し支えないだろう。
過去例年は、1万~1万2千が通常で、数年のサイクルで起きる餌の凶作で1万5千~8千という大量出没年度と呼ばれたりするものだが、
2万を超えたのは、近年の統計では無かった数字だ。
年度 | 餌類の結実状況 |
2018年 | 豊作15件 凶作19件 |
2019年 | 豊作4件 凶作46件 |
2020年 | 豊作8件 凶作42件 |
これはクマの主食となる、ドングリ、ミズナラ、コナラなどの結実の統計調査情報であるが、
2019年は著しく凶作である事が分かる。2020年も引き続き芳しくないが、
2020年の方が熊との遭遇が多いことから、凶作だけが出没に繋がっているのではなく、
人が山に入らないことによる活動範囲の広域化が影響していると重ねて伝えたい。
県名 | 出没件数 |
1位 岩手県 | 3,316件 |
2位 新潟県 | 1,957件 |
3位 長野県 | 1,437件 |
参考までに、追加資料として出没が多かったエリア上位3件を抜粋してみた。
岩手県は圧倒的に多く不動の王者。他の県は年度によって順位が入れ替わる。
共通点としては、山が奥深く広く分布しているという事。
生息数の絶対数が多いことは想像できる。
これに加え、岩手と新潟については人の生活圏まで生息域が進出しているのではないでしょうか。
今年や来年以降はどうなるか分かりませんが、出没増加の傾向で定着する可能性はありそうです。
過去最悪ペースのクマ被害 新世代クマの増加と木の実の凶作、天候が影響か
今年2020年、クマの出没が相次いでおり、新潟県ではクマ出没特別警報が、そのほか秋田県でもクマ出没警報が発令されるなど、各地で警戒が呼びかけられています。
日本に生息するクマには、北海道に生息するヒグマと本州や四国に分布しているツキノワグマとがいますが、近年は両方の目撃数や被害が増えています。今年に限っても、10月には新潟県関川村で女性がツキノワグマに襲われ死亡(県内でのクマによる死者は2001年以来)
中略
特に晩夏から初秋にかけて急増していることもわかりました。この時期の主要なエサは、草や昆虫の他、農作物が含まれていることが食性分析からすでに判明しています。つまりクマが農作物を簡単に手に入る栄養価の高いエサと認識し、人里におりてくる個体が増えているのです。最近はこうした人を恐れないクマを「新世代クマ」とも呼んでいます。
中略
私たちは普通にクマが冬眠すると考えています。ところが冬眠するための場所が無い場合、逆に言うと体が大きくなりすぎて、適当な穴倉が無い場合など、何等かの理由で冬眠しそびれるクマもおり、そういったクマの事を、”穴持たず”と言うそうです。
出典:Yahooニュース2020/12/20 気象解説者の記事より
昨年末の時点で既に出没増加について語られています。
人里に下りてくる「新世代クマ」冬眠しない「穴持たず」。凶作以外にも要所にポイントが書かれています。
2020年は遭遇事例が増える予感は当たっていました
いかがでしたでしょうか。細部の理由までは断言できませんが、シンプルに出没件数が急増することについては的中していました。
今後は
気象、人の生活、あらゆる影響も踏まえて熊大量出没について考察していく必要がありそうです。
暖冬でもあるので、冬でも普通に遭遇するかもなので用心ください。
私も山に登った時に、クマのフィールドサインを注意深く確認していきたいと思います。
ではまた!