道志村で小学生女児が行方不明になったニュースを見た人に私が伝えたいこと【山岳事故】

道志村で小学生女児が行方不明になったニュースを見た人に私が伝えたいこと【山岳事故】

2019年10月6日 オフ 投稿者:

皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

もうこのニュースは皆さんご存じかと思います。山梨県、道志村のキャンプ場で小学生女児が行方不明になったニュースですが、この事故については山岳事故とは言い切れないかも知れません。とはいえ、道志山塊は立派な山岳地帯であることも考えると、山岳事故と捉えることもできるのかなと思っています。

 

実は、このニュースについて記事として書く予定はありませんでした。

 

ただ、1つだけ懸念していたこと・・

 

ヘタに捜索すると2次災害となってしまうぞ、と。

案の定、捜索する側が遭難するというニュースが耳に入るようになりましたので、これは良くないと思い。メッセージも含め、記事にすることにいたしました。

 

この記事の「もくじ」は以下の通りです。

◇ このニュースを見た人に私が伝えたいこと
◇ 行方不明になってから今日に至る14日間の捜索の経緯
◇ どこに行ったのか予測してみる
◇ まとめ 参考記事の紹介

※この記事は2019/10/05時点の情報から個人的な考えに基づいた記事になりますのでご了承の上、参考にされてください

この記事を書いた後に、このご家族のお知り合いであるとされる方から連絡をいただきました。

 

 

このニュースを見た人に私が伝えたいこと

私がこのニュースを見たときに、

「ああ、道志村か・・これは捜索が難航するな」

率直に、そう思いました。

 

誰かがこのニュースについて世間話をしていたときに、聞き耳を立てていると、

「なんでオートキャンプ場で行方不明になるの?」という意見が出ているようだった。

 

学校の校庭のような場所にファミリーカーを乗り入れて電源を引っ張りながらキャンプをしている風景を想像したのだろうか。

 

道志村をナメてはいけない・・

 

そのようなイメージを持つ方は、山梨県に道志村という場所があることをご存じでないのだと思いますが、地元から離れている方はマイナーな場所なので知らない方も多いのだと思います。

 

道志村は、東京の高尾陣馬エリアを飛び越えて山々が連なるエリア、神奈川県側の丹沢山地、静岡県側の富士山、山梨県側の道志山塊と、とにかく深く山に囲まれたエリアなのである。

その中で、道志川がながれる道志渓谷ではとても深く静かな自然が満喫できることからキャンプ場が点在しています。

そういった場所はキャンプにはうってつけであるが、それ故に、キャンプ敷地を外れて迷い込んでしまうと捜索が困難なのである。

 

道志村はアクセスが悪く、登山をするにしても破線ルート多数で道標が少ないうえに不明瞭なので初心者向きではない。同じ丹沢エリアをホームグラウンドにしている私も、通いにくいので滅多に近寄りません。

 

簡単にまとめると、こんな感じ。

・そもそもアクセスが大変

・登山道は熟練者向け

・人が居ない静かな山歩きが好きな人が基本、来るところ

・人が少ない故、熊にも遭遇しやすい

誤解があるといけないので、申しますが、これは道志村の悪口だったり否定をしているわけではなく、むしろ、自然が豊かで、それをキャンプ等で満喫をするのにうってつけの場所であることをお伝えしています。

 

ただ、このニュースを見て有志やボランティアで捜索に加わろうと考えている方には注意いただきたいのです。

ここは大人も遭難してしまうほど、自然が豊かであり、2次災害を引き起こしてしまうリスクがあることを十分に留意して欲しいです。

地形も調べず地図も持参せずの安易な捜索は非常に危険なのでやめていただきたいなと思っております。

道志村のホームページでも同様の注意喚起を行っております。

【ボランティアによる捜索活動の注意事項】

①ボランティアの方が山中に捜索に入って遭難する事例が発生しており、警 
 察・消防による捜索活動に支障が出ていますので、絶対に単独での捜索活動
 は行わず、山中に立ち入らないようにしてください。(山中は、警察(機動
 隊)が捜索しています。)

引用:道志村のホームページより一部抜粋

こちらも参考にされてください。

 

 

行方不明になってから今日に至る14日間の捜索の経緯

このニュースの概要、及び、今日に至る14日間の捜索の状況を調べた範囲で記載します。

 

1日目

2019/09/21 山梨県、道志村にある椿壮オートキャンプ場で千葉県成田市の7歳の小学生女児(小倉美咲さん)が行方不明になる。

女の子は複数の家族と訪れており、15時頃、友達のいるところに行くと言い一人で出掛けたまま行方が分からなくなる。

母親はすぐ異変に気付き、1時間程度探すも見つからず、警察に通報。

 

3日目

捜索が続けられているものの、手掛かりは掴めず、この日も70名体制で捜索を開始。災害救助犬も動員された。

 

6日目

自衛隊含む260名体制で捜索が強化される。

 

8日目

自衛隊、捜索を終了し撤収。村が依頼したエリアは捜索しつくしたとのこと。捜索の規模は縮小したものの、警察や消防など引き続き捜索を続ける模様。

 

12日目

依然、手掛かり掴めず、家族の同意及び意向の元、女児の写真を公開し捜索を継続。

 

13日目

今までに捜索していないエリアの捜索も開始される。道志川下流域、道志ダムなどの水中捜索も行われる。

捜索が長引く中、ボランティアの遭難等も相次ぐ。

東京都練馬区の男性(48)は熊と遭遇し逃げる際に転倒し骨折などの怪我を負う。長野県諏訪郡の男性(55)は別行動の妹によって遭難の通報がされるが、その翌朝、自力で下山。東京都小平市の男性(27)は崖から落ちで腕を骨折。その2日後に自力で下山。

 

14日目

警察、消防により35名体制で捜索が続けられている。

 

以上。

 

・・・このような経緯となっておりますが、13日目のところ、ボランティアの事故数件が記載されていますが、その行動からいずれも山の熟練者と言うより、いてもたってもいられず、救助に向かったような感じがする。

熊に襲われたという記事も見かけたが、少なくとも読売新聞の電子記事では熊から逃げるときに自らが転倒しての怪我と記載されている。熊が襲うというイメージから情報が変化して伝えられている可能性もあります。本当の真実は分かりませんが、通常、ツキノワグマは好んで人を襲いません。

 

 

どこにいったのか予測してみる

あくまで率直な私の考えによるものです。又、誘拐などの事件ではないことを前提条件として加えておきます。

 

地図はこちらを参照しています。

 

椿壮キャンプ場は最寄りの道路(道志みち)から500m入り込んだ場所にありますので敷地を外れるともう本当に山の中、です。

2km程度の範囲で西に加入道山の登山道、東に大室山の登山道がありますが、いずれも破線ルート。地図にも不明瞭と書いてあるし、滅多に人が通らないでしょうから、迷子になったら人に見つけてもらえる可能性は非常に低いと思われます。そしてこのどちらかの方面に入られたと考えます。

又、椿壮キャンプ場付近の椿沢がある谷筋や尾根筋も考えられます。

恐らく、自衛隊や警察は当然真っ先にこのエリアを捜索されたと予想しています。(具体的な捜索場所は公開されていませんのであくまで予測です)

より入り組んだ遊歩道があるのは加入道山の方面なので、そちらの方に走って向かい、誰とも会えず引き返そうとしたところ分岐を誤って別の遊歩道に入り、そこから登山道若しくは獣道に入り込んでしまったというのが私の予測です。

沢筋に入り込んで身動きが取れなくなっている可能性もありますが、行方が分からなくなった時刻は日没前ですので、動き続けていると滑落の危険が高いです。

他の事故で、2016年5月に北海道で小学校2年生の男児が山中で行方不明になり7日後に6km離れた自衛隊の演習場の屋内で偶然発見されたことが記憶に新しいかと思います。

さらに、私の息子が小学生の頃、同エリアを10km以上一緒に縦走したことがあります。親が引率しているとはいえ、これだけの距離を歩いてもまだ体力的に余裕があるようでした。

このような事例から、歩く体力が残っている限り、予想以上の距離を移動している可能性を考えても良いのではないでしょうか。15kmくらいの範囲か。しかし、それは非常に広範囲だ。

 

まとめ 参考記事の紹介

今回のニュースや事故現場に関連する記事を紹介します。

 

同じ丹沢エリアを小学生の息子と縦走した時の記事はこちら。

 

道志方面に向かって縦走した時に道迷いを起こした経験について書いている記事はこちら。(記事の最後に記載)

同じ山梨県内で遭難が発生する場所について書いている記事はこちら。

最後になりますが、くれぐれも個人での無茶な捜索活動はお控えください。

 

 

捜索は今もまだ懸命に続けられています。

1日でも早く発見できることを強く祈るばかりです。ではまた。