【癒し】雑貨・家具・インテリアに使われるアート”モリス柄”とは?
Top画像は「いちご泥棒」Gerah激安店さんより
モリス柄というのを見たことがあるか?
これはモリス柄のデザインを取り入れた小物入れポーチです。
過去、妻にプレゼントしたものになります。
ワンポイントのおしゃれとしていいですよね。
少し古臭い感じが逆に新鮮で、どこか上品な雰囲気を醸していて好き。
イギリス・ロンドン生まれの芸術家、ウイリアム・モリスがデザインした柄は「モリス柄」と呼ばれ、
絵画だけでなく、刺繍などのデザインにも広く取り入れられている。
刺繍については菅野美穂もこう語っている。
刺繡も習ったが、「刺繡は楽しくて無になれる。先生と比べると自分のものはひどいんですが、あきらめずに最後までやると手仕事の味になる。終わってみないと分からないのは人生と同じ」
・・芸術としても奥が深いものがあるのだろう。
このように、時々目にするモリス柄について、何故「素敵だな」と思えてしまうのか、印象に残ってしまうのか、考えてみた。
新しいインテリアを取り入れたい方に伝えたい。
ウイリアムモリスはどのような芸術家だったのか
William Morris
ウイリアム・モリス(1834-1896)
民衆の芸術を追求したウイリアム・モリスは ”偉大なる奇人” という異名を持つ。
「役に立たないものや、美しいとは思わないものを、家に置いてはならない」
このようなウイリアム・モリスの名言があるが、日々生活で使うものこそ美しいものであるべきという考え方は、居心地のよい空間や環境を整えるうえで、奇人どころか至極真っ当な意見だと私は思うのです。
芸術と生活を統一化する考え方は、後に「アーツアンドクラフツ運動」と呼ばれる芸術運動を巻き起こすほど、世の中に影響を与えました。
ロンドン・ウォルサムストウに生まれたウイリアム・モリスは、オックスフォード大学入学。荘厳な教会建築やステンドグラスを前に「僕の前に天国の扉が開かれたと思った」と回想し、芸術家としての魂が生まれる。
ウイリアム・モリスがデザインする ”モリス柄” は、絵画に留まらず、刺繍、染織、カーペット、タペストリー 壁紙など実に様々なものに対して表現し続けてきた。
モリス柄は、北欧デザイン、モダンデザインの1つである。
モリス柄を取り入れた様々なもの
モリス柄は生活に取り入れるデザインであるという事から、実に様々なものに利用されている。
①被服
出典:イノセントワールド
出典:日本羽毛製造株式会社
しばらく見ていると、優しい花柄でもモリス柄は印象強くキリっとしたフォーマルな装いに見えてくる。
②モバイルケース
身近なところでは、モバイルケースなどで色々なデザインが販売され、選ぶ楽しさがありそうだ。
③カーテン
カーテンは、手っ取り早く部屋の雰囲気をガラっと変えることができるので、モリス柄が好きな方には良いかもしれない。
④カーペット
絨毯やカーペットは部屋全体の色のバランスを見て選ぶ必要があるが、ここでもモリス柄は上品かつ強烈な印象を放っている。
⑤テーブルクロス
特にテーブルクロスにモリス柄は合いそう。白を基調としたものや明るい配色のテーブルクロスは食卓を華やかにしてくれる。
⑥壁紙
出典:壁紙屋本舗 ホンポのよみもの より
これ、本当に良いですよね。まるで海外ホテルにでも来たような北欧デザインの美しさよ。
いつかチャレンジしてみたいけど、まだ勇気が出ない(笑)
日常生活で使うものこそ美しくあるべきとは、まさにこのことなのだろう。
ウイリアムモリスの代表作
ほんの一部だけを紹介します。
①いちご泥棒 1883年
出典:ウィリアム・モリスの世界〜作品解説 より
ウイリアム・モリスの作品で最も見かけるのがこの「いちご泥棒」ではないか。印象的なタイトルに独特の配色と世界感がある。
②フルーツ 1864年
出典:ヴィクトリアンクラフト
モリス初期の作品。こちらもいちご泥棒に次いでよく見かける。見ていて楽しい絵である。
③ひなぎく 1864年
出典:ウィリアム・モリスの世界〜作品解説 より
こちらも代表的な作品だが、この製品はあまり見かけない。白を基調としたデザインがさりげない主張であり、私個人としては最も好きな作品でもあります。
④墳墓の3人のマリア 1862年
モリスによるステンドグラス作品です。モリスの原点とも言えるでしょう。
⑤モリスチェア 1866年
出典:ウィリアム・モリスの世界〜作品解説 より
モリスを語る上で外せないのがこの「モリスチェア」1860年代にモリスの会社すなわちモリス・マーシャル・フォークナー商会によって制作されている。このような背もたれとひじ掛けのある椅子が登場し、一般家庭や多くの施設で愛用されたという。
出典:アンティーク家具 ファニチュア ヒロシ より
現代で愛用されているこちらは椅子の座面に「いちご泥棒」のデザイン布を貼り付けたもの。
”暮らしの中にモリス” とはよく言ったもんだ。
ウイリアムモリスの最期
ウイリアム・モリスは1896年、日本の和暦では明治29年。62歳でその生涯を終えた。
明治時代の日本人の平均寿命は44歳前後であったことから考えると、往生だったと考えます。
モリスの主治医はこう語ります。
「病名はウイリアム・モリス。彼は1人で10人分の仕事をした」
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1890年以降は冒頭で説明した通り、アーツアンドクラフツ運動が広まり、モリスの思想が全世界に広がっていくのだった。建築家、マッキントッシュ、ロイド・アンド・ライト、グリーン兄弟などに影響を与え、日本では美術評論家の柳宗悦(1889~1961)が共感し民芸運動に影響を及ぼした。
モリスが遺した言葉 「世界中から無意味な迷信をなくしたい」
どのような意図で発言しているか、何となく察しはつくようで、私ではうまく言語化できない。
好き嫌いは分かれそうだが、懐かしさと新鮮さのミックス感は、令和の生活の中にも割と馴染みそうではある。少し生活にも取り入れてみたらいかがか。
ではまた!
芸術作品の記事はこちらからも。