遭難記(道迷い)№4 廃集落の呪い【奥多摩・雲取山 保之瀬天平】

遭難記(道迷い)№4 廃集落の呪い【奥多摩・雲取山 保之瀬天平】

2024年2月16日 オフ 投稿者:

この時ばかりは本当に呪われたと思った。

登山を始めて3年目。ようやく単独登山や地図読みなどもこなせるようになった矢先。

 

それは強く雨の降る日に起きた出来事。場所は奥多摩のとある廃集落。

  

時刻17:43 日没が迫る中、あと少し!で下山だったが、

その手間に通過する「廃集落群」に吸い込まれるかのように、私は気が付くと登山道から外れ、

今何処にいるのか全く分からない状況に陥ってしまったのです!

(写真は明るいですが、実際は薄暗い日没前です※秋の17時43分です。明るいのはデジカメの撮影効果です)

 

あわや行方不明になるところです。『山と高原地図26 雲取山・両神山』によると「?」マークとなっていて、”後山の前後は山道不明瞭” としっかりと明記してあったのだ。

ズバリ、そこで私は道迷いを起こした。

 

予め道に迷いやすいと分かっていて、何故道迷いをしたのか?どのようなルートだったのか、具体的な場所なども含めて詳しく解説します。

 

雨天・日没・下山時という悪魔の3重奏

日時:2018年9月2日 17:45~19:00

場所:奥多摩エリア 雲取山下山時 保之瀬天平から鴨沢までの区間

メンバー:単独

補足:寝坊→雨天→日没→下山時→焦り ロクでもない状況

絶望度:★★★★☆

登山を始めて3年目。ようやく単独登山にも慣れてきて、地図もなんとなく読めるようになってきた頃。

ただGPSは持っていない。雲取山登山においては鴨沢から登り尾根と七つ石山を経由して山頂を往復するのは最もメジャーなルート。しかし、同じ道で下山するのもつまらないし、せっかくなら奥秩父主脈縦走路を使い、飛竜山などを経由して丹波天平ルートでぐるっとラウンドするルート取りをしたのだ。

それが大間違い。下山ルートには「?」区間があり、しかも視界が弱くなる夕方に通過するのだから迷うリスクは高かった上、そもそもこの下山ルートは歩く人が少ないマイナーなルート。

ラウンド登山の場合、片方のルートは不明瞭であることが「あるある」なんだと勉強になった。

私自身の経験値が低いこともさることながら、最悪はビバークを覚悟したことと、クマが多いエリア(すれ違った人が遭遇し威嚇された)だったので、絶望度は星4つと高めだ。

地図に折り目が付いて見えづらく、申し訳ないが、真ん中の✕印、黄色と青のマーカーが私がルートを間違えて直進してしまった誤った進路である。下山が近い事と、彷徨った時間も短い事と、道路も近くルート復帰はたやすいように見えるマップで、本当はそんなに絶望ではないのかもしれないが、

こう見えて、急峻な斜面を這いつくばって進むなど、滑落の危険にもさらされた危ない場所だった。

本当に滑落の危険があったかについては、本記事の最後の事故事例などでもお伝えします。

 

この迷った手前に、地図に書いてある通り本当に住居跡がある。この分かりにくいところに住居があるのが不思議でならない。しかも建物からすると昭和初期の木造で老朽化はしているものの、そんなに古くなく、最近まで人が住んでいたのではないか。と思えてならない。

建物の中から視線を感じる気がして不気味だった。こんな風に見とれているうちに、気が付いたら前にも後ろにも勧めないような道なき道に立ち尽くしていたのだ。

 

そして、一瞬で日没。暗闇になった。下手すりゃビバークか。

ヘッドライト2灯、懐中電灯1灯、食料1食分、水200ml程度。エマージェンシーシート。

これがその時残っていた持ち物。「1晩はしのげるな」そう思った。

 

ただまだ、18:00過ぎ。気を強く持って、地図を照らし、コンパスの方角を確認し、進むべき方角の視界にある尾根筋をみると、尾根が2つに分岐するような地形になっていて、その片方によく目を凝らすと、細い登山道っぽいのが目に入った。

「これだ!」

 

滑落しないように必死に斜面にへばりつきながら、登山道目指して進み、登山道復帰。

下山し、自家用車に戻ると19:00 ホッとして半泣き状態だった。

本来、トラバースしなければならない尾根を廃集落に誘導されるまま直進して迷い込んだのだろう。

道迷いを起こした場所ですが、他にも同じように迷った方たちの足跡や落し物が散乱していて怖かったと同時に、下山でこのルートを選ぶと迷いやすいのだと確信しました。

ここでトレランはやめた方がいいです。

 

道迷いは誰もが避けたい

初の雲取山がトラウマ級の登山になってしまった。だが、これは経験と勉強と捉え、その後の登山に生かしているつもりだ。

登山でのトラブルは様々な種類があるが、道迷いは心理的不安を正常判断を脅かすほどに煽る性質があると思っている。

飛竜山から熊倉山はまだ明瞭。サオラ峠から丹波天平は落ち葉が深く積もり、踏み跡はまったくわからなくなり、地図読みコンパス利用必須。稜線も広く、どこを進むにも怪しい。

また、人通りは無く、迷ったら誰かに見つけてもらうのは困難。

獣が暮らすには良さそうな場所だけに用心が必要。確かここは猟師が人間を獣と間違えて散弾銃で撃ってしまった場所でもあります。したがって猟師にも注意。

それについてはこの記事で触れています。

丹波天平についてはネットで調べれば出てきますが、行方不明者がたくさん発生しています。さらに、三条の湯~サオラ峠~丹波天平間で滑落事故もときどき起きているようです。

トレランの事故で1つだけ抜粋します。

それでも花は

奥多摩の奥座敷にそびえる東京都の最高峰・雲取山の麓近くで起きた駆けっこ仲間・Mさんのトレラン中の遭難事故から4日経った本日、私は現場のある山梨県丹波山(たばやま)村を訪れ、現場付近を見るとともに救助活動に携わってくれた地元の関係者らの話を聞きました。

中略

今回は断崖に近い急斜面を果敢に下っていった4人のうちMさんが滑落して亡くなりましたが、実は事故の後、救助を求めに行こうとした一行のメンバーは、林道が通る向こう岸に渡る場所を探し、対岸の斜面を再びはい上がって、ほんの数100メートル先にある民家に駆け込むまで1時間近くを費やしています。

なだらかな尾根とは対照的に、V字型にえぐれた深い渓谷は両岸がガケのように切り立っているだけでなく、川も水路のように深い急流になっているなどして、対岸に渡ることすら容易ではないのです。
さらに、谷の底は当然のことながら携帯電話の電波が届かない「不感地帯」で、電話で通報することも不可能です。ヘリコプターによる救助が可能なケースでも、深い谷底は近付けない場合が多いようです。

一行は迷った挙げ句、地図を見て、川や国道までの距離がほんのわずかであることを知り、「沢に下りれば国道に出られると考えたらしい」ということです。

引用:”走るマラソンカメラマン”辰巳郁雄のブログ より

私もすぐ近くを通過しただけに衝撃的な内容に感じました。谷側の方角に下って行ってしまったんですね。確かに地図上では目と鼻の先が国道や林道に繋がっていて、すぐ出れそうな気がしてしまいます。

お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

 

私としても、手痛い失敗談として、ブログやYoutubeで発信していますが、多くの方に閲覧いただいています。ときどき注意をいただいたり、バッドボタンを押されることもあります。

ただやはり、同じ経験をして欲しくないため、発信していこうと思います。

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道迷いを避けるためにはいくつかの方法があります。2024年も安全登山を!ではまた!