飼っている熊に襲われ飼い主が死亡した件について

飼っている熊に襲われ飼い主が死亡した件について

2023年3月24日 オフ 投稿者:

「ペッペに恨みはないです。本当に可愛がっていましたから」

・・・

と、ご遺族の言葉から分かるように、家族同然、愛されていたのだと思います。

お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

 

皆さんこんばんは。この事故は、2022年11月28日という、割と直近に発生した獣害事故である。

獣害事故、と言うと、ご遺族は本意ではないので相応しくないかも知れませんね。

 

山岳エリアのニュースに敏感な皆さんは既に知っている方も多いと思いますが、

以下に引用します。

〈現場写真アリ・長野のクマ襲撃〉体中に噛み傷や引っかき傷が…20年間飼育したクマに75歳男性が襲われ死亡。それでも遺族は「クマに恨みはない」と涙した理由

長野県松本市五常の無職、丸山明さん(75)が11月28日午前9時20分ごろ、自宅敷地内で飼っていたツキノワグマに襲われた。気づいた家族が110番通報、檻の中で倒れていた血まみれの丸山さんは病院に搬送されたが、死亡した。あちこちに咬み傷や引っ掻き傷があった。地元猟友会員が檻の前にいたクマを射殺した。

丸山さんが「ペッペ」と名付けて可愛がり、県の許可を取って飼育していたこのクマは、推定年齢20歳ほどのオスで、体長約1メートル。丸山さんを襲った後も逃げ出さず、檻の周辺に散らばっていたエサをあさって食べていたという。冒頭の遺族の言葉のように、丸山さんとペッペは長年、家族も同然だった。

「兄貴は動物が大好きで、鹿だって兄貴が呼べば近くに寄ってくるほどだった。ペッペも子グマのころは猫みたいに小さくて、孫たちが相撲取って遊んだりしてたよ。
でもやっぱり野獣なんだよな。20年も一緒に暮らした兄貴がやられちゃうなんて。向こうがじゃれてるつもりでも力はすごいんだから。
ペッペに怒りはないよ。本人が好きで飼っていたんだし、よその人が怪我しなくてよかった。兄貴も身体悪くして弱っていて『もう長くないと思うから遺影も撮った』なんて言ってたからね。あの世でもペッペのこと悪く言ってないと思うよ」

引用:集英社オンライン 2022.11.29

 

名前は「ぺっぺ」

なんて愛くるしい名前なんだろう・・

取材に応じている弟さん(?)と思われる方の話を読んでいるだけで、恨みを持っていないこともそうですが、愛情を注いでいたんだなと泣けてきます。

 

写真がこちらです。

引用:集英社オンライン 2022.11.29

 

現場となった写真です。2枚目は猟銃で撃たれた後の姿でしょうか。人身被害が出てしまったので致し方ないのでしょう。檻が空いている状態でも逃げ出しておらず、付近の餌を食べていたのですから、よほど飼い慣らされていたのですね。

う~ん、冷たく丸まったクマの姿がやるせない・・・

 

クマキケン

と書かれた檻が小さいように思いました。

子熊ならともかく、成獣がここに居るとなると、かなりストレスがかかるでしょうから、やはり飼育は無理があるのかなぁと思ってしまいます。

 

事件当時の熊の年齢は20歳。かなりの高齢ですが、それでも力では人間よりも圧倒的に強いのにも改めて驚かされます。

こりゃ、若い成獣や怒る母熊に遭遇したらひとたまりもない汗

 

熊の寿命は野生下で20年。飼育下で30年と言われています。

どちらにしても高齢の熊には変わりません。

 

県の許可を取って飼育・・とありますが、

個人ではやはり子熊の一時保育くらいが限界で、野生に放つか、適切に管理されている動物園に預ける流れが無難であると勝手ながら考えた次第です。

 

ぺっぺ、ぺっぺ と可愛がっていたのでしょうね。

事故の背景を読み取ると、なんだかやるせない気持ちになりました。

 

さて、このような事故があると、ニュースでは

襲撃!危険! と熊の恐ろしさがクローズアップされますが、

このような傾向に異議を唱える団体のメッセージを見つけましたので紹介します。

「ぺっぺと丸山さんは、最後まで深い愛で結ばれていたはずです」と訴えています。

 

松本市クマによる死亡事故第2弾 クマに人を襲う習性はない マスコミは「襲う」の言葉をやめよ

わたしたちが、やがてこの国のクマは絶滅すると訴え続けて31年です。クマ絶滅の最大原因は、マスコミの「クマが人を襲う」という間違った言葉遣いです。マスコミの報道により、「そんな危ない動物なら日本にいない方が良い。最後の一頭まで殺してしまえ」というヒステリーが、今、日本中に蔓延しています。クマには不幸なことで、マスコミの責任は重大です。

こんな間違い、ちょっと考えればすぐわかるはずなのですが。もし、クマに人を襲う習性があるのなら、全国で登山者の死亡事故が相次ぐでしょう。素手で闘えば、クマに勝つことのできる人間など、まずいませんから。

クマがどんなに優しくて飼い主を思いやれる動物であるかは、飼ってみたらすぐわかることです。クマは、飼い主への感謝と敬意を一生忘れません。人間が見習うべき動物です。今回の松本市での死亡事故に関して、飼い主を恨んで復讐したのかなどという発想は、あまりにも人間的です。ご遺族も、必死で否定されているようですが、どのマスコミも、クマに襲われ飼い主死亡の誤報道です。ぺっぺと丸山さんは、最後まで深い愛で結ばれていたはずです。

長野市で、10頭のツキノワグマと20年間家族として暮らされた、宮澤正義先生の御著書「家族になった10頭のクマ」の中にも、今回と似た事件が書かれています。

宮澤先生は60歳の時、イソベという180キロ17歳の雄の飼育グマに抱き着かれて、26か所噛まれたことがあります。

飼い主への恨み?そんなもの、クマにあるわけないじゃん」

最後に、マスコミの皆さん、「クマ、人を襲う」の誤表現を金輪際、やめてください。けがをしたのなら、クマによるケガ、亡くなったのならクマによる死亡事故と、事実のみを書いてください。

引用:一般財団法人 日本熊森協会 おしらせ 2022/12/03より 一部抜粋

熊は飼い主への敬意を忘れない動物なのか・・・

 

確かにツキノワグマは積極的に人間を襲いませんよね。むしろ一目散に逃げます。

稀にそうでない場合があるのが、難しいところではありますが、

母熊が守るための行動であったり、餌場を守るための防衛反応は、「襲う」という認識ではないのかもしれません。クマにとって。

 

その定義づけが難しく、また説明も難しいですね。

熊を正しく畏れるというか、より関心を持って考察していきたいと、今回のニュースを機に思いました。ではまた!

 

 

 

丸山さんが、天国で熊と幸せに暮らせていますように。