【体験談】クマ遭遇記

【体験談】クマ遭遇記

2020年7月10日 オフ 投稿者:

皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

Topの写真では私が笑顔でクマ出没注意の看板を手に掲げていますが、この直後、笑顔が凍り付くまさかの事態に陥りました。それについては後述します。

 

7つの遭遇ケースから熊遭遇についてじっくり語る

先日このような記事を書きました。

 

クマに会う方法、ということなのですが、

まあ、実際は会いたくないので、熊の生態を知ることによって遭遇しないように心がけるといった考え方の記事となっております。よろしければどうぞ。

 

私はこれを教訓に、熊と遭遇しないように登山をしますが、

熊が生息する山に登ることは仕方ないとして、

出来る対策を講じて、不運な遭遇を避けるように心がけています。

 

心掛けていますが・・

それでも遭遇してしまったことがあり、今回は登山歴が短いながらも

これまで経験してきた熊との遭遇について書きます。

数は少ないですが、じっくりお読みいただける内容になっています。

ニアミスからバッタリ遭遇、あわや遭遇、直前の通過から痕跡に至るまでの様々なパターンがありますので、それぞれ報告します。

又、

その時の場所やシチュエーションなど状況についてもできるだけ詳しく説明します。

 

登山をこれから始めたい、既に始めているけど、実際に熊には遭遇するものなの?と、

このような方には参考にはなるかなと思っています。

先に結論を言いますと、「遭遇する」になります。

 

と、あっさり言いましたが、大切なのは、「どのような場所や状況で遭遇したのか」について分析することが重要です。

さて、ではさっそく紹介していきます。

 

登山歴4年の私が経験した熊との遭遇

ケース1:丹沢エリアでの遭遇

日時:2016年9月19日 14:00~15:00

場所:甲相国境尾根、切通峠から山伏峠の区間

メンバー:2名

状況:ニアミス

詳細:下記の通り

三国峠で昼食。Topの写真を撮影。

そこで静岡県警が5名程行方不明者の捜索と言うことで方向が同じと思い行動を少し共にする。

その後、不老山に行くはずが、警察と一緒に進んでしまったため、予定とは全然違う方向へ進んでしまう。

警察と別れた後、尾根を間違えて獣道と思われる方向に進み、登山道を200m程外れたところで、突然、強烈な異臭を感じる。

(この段階では道に迷った自覚はなく、どんどん先に進んでしまう)

動物園の檻にはいったような獣臭が濃厚すぎて忘れられないレベル。

「・・・クマがいる」

私は、同行している友人に注意を促し、前方、後方、注意深く観察する。

しかし、匂いだけ強烈なまま、熊の存在は見当たらない。

怪しいのは、目の前に朽ちた巨大の木があり、そこに大きな穴があるので、ほぼ100%そこが住処になっているはず。時間帯から昼寝をしていたか。

このとき、私は熊鈴を鳴らしながら登山(トレラン)していたため、この大きな鈴の音に熊は先に気づいていたはず。

既に逃げ去った後か、或いは木の穴の中に息を潜めて隠れているのかのどちらかだ。

間違っても、穴の中を覗いてはならず、私は必要以上近づかないようにして通過した。

さらに30分ほど進んだあたりでようやく道迷いを起こしたことを自覚し、嫌で嫌で仕方がなかったが、同じ道をUターンし、再び熊の巨木に到達。

そのときには強烈なにおいは一切しなかった・・・・・

クマはこちらに気づいていたか:気づいていたと想定

どちらが先にクマに気が付いたか:クマが先だと想定

怪我をしたか:無傷

考察:下記の通り

熊が生息していると言われる場所には生息していることを認識する。季節的にも遭遇率は高かった。登山道からほんの数百メートルの位置で生活している。熊鈴を着けていて本当によかった。全然違う方向に進んでいる時点で、当時の登山レベルはかなり低い。しかしながら迷ったら登る、引き返す。は順守した。ちなみに警察からは「何故、登山をしているのですか?」と、非常に不思議な質問を投げかけられた(笑)

 

 

ケース2:丹沢エリアでの遭遇

日時:2016年10月22日 15:00~16:00

場所:不老山を下山中

メンバー:1名

状況:遭遇

詳細:下記の通り

不老山を下山中、登山口と山頂のちょうど真ん中あたりの位置で、登山道とは異なる恐らく送電鉄塔を管理する作業道に誤って入り込み、しばらく進んでしまう。

完全に獣道であり、人が歩いた形跡もなく、ほどなくして道が完全に消える。

ここで道迷いを自覚。

近くから富士スピードウェイの走行音がまるで目の前にあるかのように聞こえてくるが、その音に向かって進むのはNG。後で確認したら、かなり距離が離れていた。

慎重に歩行中、獣臭を感じる。

目を100mくらい先にやると、デカくて黒い塊が猛ダッシュで山を登っていく姿をチラッと見えて消えた。(私から逃げたのだと思う)

熊鈴はずっと鳴らしながら歩いていた。

死を覚悟したのと、やっぱり死にたくないと思う心と両方同時に感じた。

・・どうにか登山道に復帰し、再び下山へ。

その途中で、草藪の奥から「シューシュー!」と何かの動物の息遣いが聞こえる。熊ではなさそうだが、イノシシか、他の小動物か。

クマはこちらに気づいていたか:気づいていた

どちらが先にクマに気が付いたか:クマが先

怪我をしたか:無傷

考察:下記の通り

季節及び、時間帯はクマの活動の範囲であり注意が必要。やはり熊鈴は鳴らしておいて良かったと思う。ただ、逃げるのではなく、こちらに突進してきたら無傷では済まなかっただろう。場所も登山道から外れた獣道であり、やはり登山道を外れるのは遭遇のリスクをぐっと高める。

 

 

ケース3:福島県会津若松エリアでの遭遇

日時:2017年7月2日 8:30~9:00

場所:箕輪スキー場 ゲレンデ

メンバー:ランナー多数

状況:大会スタッフからの情報 未遭遇

詳細:下記の通り

これはレース前に発生したハプニングである。
大会スタッフがレース前のコースチェックの際発見したとのこと。

なんとゲレンデの中腹に熊がいるということで、ちょっとした騒ぎになっていたがスタッフが爆竹で対応。

山の方へ逃がしたそうで、
ランナーに熊鈴を配布し予定通りレースはスタートした。

ここまで来て中止になったらシャレにならないけど、かと言って、茂みの中から出てくるんではないかという恐怖心がゼロかと言ったら嘘になる。

ほとんどの選手が落ち着いていたので、ここ地元では珍しいことではないのかもしれない。

クマはこちらに気づいていたか:気づいていた

どちらが先にクマに気が付いたか:不明

怪我をしたか:無傷

 

 

ケース4:奥多摩エリアでの遭遇

日時:2018年9月2日 8:30~9:00

場所:雲取山 表尾根

メンバー:1人

状況:雨天、濃霧時 すれ違いの人からの情報 未遭遇

詳細:下記の通り

これも実際に遭遇したのではなく、すれ違った人が、ちょっと前までここにいたよ。という話です。

小袖乗り越え登山口から表尾根経由で雲取山山頂に向けて歩き始めて間もない段階で、1名の下山中のトレイルランナーとすれ違う。

彼の話によると、6:00頃、登っていた時ちょうどこのあたりで巨大な熊がいて、

こちらにむかってフォッフォッ!と威嚇した後に、上の方に逃げていったとのことだった。

私はこの話を聞いたおかげで下山する18:30までいつ遭遇するか冷や冷やしながら歩き続けた恐怖の登山となった。熊鈴は2本付けて歩いた。

朝以外は誰一人として遭遇しなかった。

この日は雨の日で霧も濃く、遭遇しやすい状況もあったのだが、
雲取エリアも聞いた話の通り出没率は高いか。

私は寝坊して、8:00登山開始だが、寝坊せず、予定通り6:00出発していたら遭遇していたのは自分の方だったのかもしれない。

怪我の功名か。

クマはこちらに気づいていたか:気づいていた

どちらが先にクマに気が付いたか:不明

怪我をしたか:無傷

 

 

ケース5:草津エリアでの遭遇

日時:2019年6月23日 15:30~16:30

場所:スパトレイル四万草津 60㎞~70km地点付近の川沿い

メンバー:ランナー多数

状況:雨天 遠吠え 未遭遇

詳細:下記の通り

スパトレイル走行中に聞こえてきたのは熊の遠吠え。

レース後半60~70km地点あたり、川を挟んだ向こう側から
小熊と思える鳴き声が繰り返し聞こえてくる。

周りの選手もなんだなんだと気になっている様子。

距離は結構離れているが、近くに母熊がいるはずだ。

こっちに来ないでくれと祈ることしかできず、
生きた心地はしなかった。

クマはこちらに気づいていたか:気づいていたと想定

どちらが先にクマに気が付いたか:クマであると想定

怪我をしたか:無傷

 

 

ケース6:南アルプスでの遭遇

日時:2018年7月14日 10:30~11:30

場所:南アルプス 仙丈ケ岳 地蔵尾根

メンバー:1人

状況:フィールドサイン 未遭遇

詳細:下記の通り

南アルプス、仙丈ケ岳に登るとき、
マイナールートの地蔵尾根から登ったが、

なかなか険しい登山道で、4合目の手前あたりになると、
ところどころにクマ出没注意の看板が見られ、同時にフンも多数見られた。

しかも結構新しい感じがするので、意識的に鈴を鳴らし続けた。

熊は比較的低山で出没するが、
真夏になると、涼を求めて標高の高い涼しいところで過ごす傾向もあるので、

アルプスなどでは注意が必要。

クマはこちらに気づいていたか:不明だが気づいていたと想定

どちらが先にクマに気が付いたか:不明だがクマであると想定

怪我をしたか:無傷

 

 

ケース7:新潟県 長岡市エリアでの遭遇

日時:2018年6月17日 7:00~8:00

場所:越後カントリートレイル 小国森林公園から5㎞~10km地点エリア

メンバー:ランナー多数

状況:フィールドサイン 未遭遇

詳細:下記の通り

越後の里山、
小国森林公園がスタート地点である越後カントリートレイル。

このレース、小地谷市、長岡市を挟むがいずれも
立派なクマ出没エリアであり、

スタートして10km到達手前の幅が広めのトレイルで
走っていても目視で確認できるほどの巨大なフン発見。

特徴からするとクマか。犬であることも否定できないが、
ここまで散歩でつれてくるとはあまり思えず、

だとしても大きすぎるので、やはり熊か。

クマはこちらに気づいていたか:不明だがとっくに撤収していると想定、気配は感じない

どちらが先にクマに気が付いたか:不明だが熊は多数のランナーに気づき撤収済み

怪我をしたか:無傷

 

 

まとめ

7つのケースを紹介いたしました。いかがでしたでしょうか。

フィールドサインも挙げるとキリがありませんが、それを見つけたということはそこが生息地でありかつ行動範囲内であるということ。

遭遇したのはケース2の丹沢エリアだけであるが、そうでないケースであってもシチュエーションからすると、十分遭遇しうる状態であったと判断する。

 

繰り返しになりますが、おさらいの意味も含め重要ポイントを要約します。

 

個人的には以下の状況だと遭遇率は上がる。

・行動範囲や活動時間が長くなる9月10月

・4:00~6:00と16:00~18:00の朝夕は活動時間帯である

・生息エリアで登山道から外れた場所は遭遇リスクが上がる

・糞や熊はぎ、熊棚などフィールドサインがあれば近くにいる

・夏場では沢沿いや標高の高いところで遭遇率があがる

 

合わせて注意が必要なケースをあげると

・ランニング中はお互い気づくのが遅れニアミスが起きる

・濃霧時、見通しの悪い場所や曲がり角はニアミスが起きる

・雨天時や沢の音がする場所はお互い気づくのが遅れニアミスが起きる

 

その他個人的に思ったこと

・熊鈴はかなり有効的 但し完璧ではない

・複数人で行動を共にするとさらに遭遇リスクは下がる

・基本的にはクマの方が警戒心が強く、人間を避ける傾向にある

・遭遇の経験がさらに正しく深く考察できるようになる手段である

・登山ではクマよりも怖いものがたくさんあることを忘れない

・必要以上に怖がらない、油断しないことが大切である

 

今はまだ非常に経験が浅い段階での考察なので、経験を積んでより精度の高い情報としてお伝えできればと考えております。

楽しい登山を。ではまた!