トレラン練習中の事故か 白山の登山道で男性が滑落死した背景

トレラン練習中の事故か 白山の登山道で男性が滑落死した背景

2020年10月23日 オフ 投稿者:

皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

2020/10/11(土)トレイルランニングに出かけた方の行方が分からなくなったというニュースを見かけ、しばらくの間、注意深く経過を見ていたところなのですが、

残念なことに、発見され死亡が確認されました。というニュースが発表されました。

 

ニュースは以下の通りです。

白山で不明の50代男性死亡 捜索打ち切り知った登山者が発見

石川県と岐阜県にまたがる白山で、今月11日から行方がわからなくなっていた富山市の50代男性が17日、崖下で倒れているのが見つかり、死亡が確認されました。

中略

男性はおよそ50メートルの崖を滑落したとみられ、福井県の防災ヘリが引き揚げましたが、その後死亡が確認されました。

警察が調べた結果、遺体は今月11日に登山道を走る「トレイルランニング」の練習に出かけた富山市の50代男性だとわかりました。

引用:Yahooニュース MRO北陸放送の記事より一部抜粋

お亡くなりになられた方へのご冥福をお祈り申し上げます。

 

トレイルランニングの事故は、同じトレイルランナーとして改めて事故と隣り合わせであるということと、その時の情景が少し想像できてしまうところがあり、私自身、しばらく落ち込んでしまい記事が書けないでおりました。

しかしそれでも、事故の事例について考察することによって、潜んでいるリスクを洗い出して今後に生かしたい想いと、トレイルランニングをやっている方、やろうとしている方に少しでも役に立つ記事が書ければという強い想いがあり、

記事にすることにいたしました。

長い文章になりますが、じっくり読みたいと思う方は是非お読みください。

 

 

何故、今回の事故が発生したのか。

その原因と、読み取れるリスク。そして、この事例から今後に生かすべきことについての考えをこれから述べていきます。

※この記事は、ニュース記事と地図。現地の最新情報などから考察していますが、少ない情報からの個人的な見解であることをご了承下さい。

 

 

 

 

発生した場所について


今回の事故現場は、石川県から岐阜県にかけて鎮座する白山エリアの登山道であることが分かります。

そして、ニュースにも記載があった白山市尾添の「山崎旅館」から南におよそ2キロ進んだ登山道・・ということは、白山白川郷ホワイトロードの先、岩間道と呼ばれる林道を経由し小桜平避難小屋の先のピークを結ぶ登山道のコースを登っていた(走っていた)と思われます。

標高約1,400mあたりの崖下で発見されたようなので、標高的にはコースの中間あたりかと思われる。(山崎旅館標高800mくらい、ピークは2,000mくらい)

登り中の事故か、下り中の事故かは分からない。

あくまで想定だが、下り中での事故ではないかと思う。

 

 

 

原因とリスクの洗い出し

場所がある程度確認できたところで、

まずは、過去に記事にした「登山リスクの洗い出し方」を軸に考えてみたいと思います。

以前、このような記事を書きました。(読まれていない方は参考にどうぞ)

 

 

この「登山リスクの洗い出し方」は4つあり、

・環境

・装備、技術

・パーティー

・本人

が挙げられるとのことです。

ニュースからではご本人の情報がほとんどないため、この4つのリスクに当てはめることは難しいが、強いて想像するには以下のように思う。

 

【環境】

秋、朝晩はかなり冷え込んでくるが積雪期ではない。

但し、この時期の現地の最高気温は10℃以下、最低気温はマイナス3℃くらいになるので、一晩やり過ごすのは危険。

現地の当日の天候は悪天候ではなかったと思われる。

事故現場は、現在通行止めの登山道(石川県のホームページによる)

 

【装備、技術】

装備は不明。トレイルランニングの練習というところから軽装を想定。

ご本人の技術も不明。

岩間道の登り口からピークの小桜平避難小屋あたりまでのピストンをコースとしていたのではないかと想定。その場合で約30kmの距離。

トレランの30㎞に加え、崩落による通行止めのルートを選んでいることから求められる技術はエキスパートレベルではないか。

 

【パーティー】

単独だった

 

【本人】

不明。地元の方なので現地を知っている50代の方が単独で来られているのですから、ビギナーではなく、熟練者であると想定。

もしもビギナーの方であったらさすがにそれは無謀登山である。

 

 

 

リスクを深堀しつつ、滑落について着目してみる

とりあえず、4つのリスク分類に洗い出してみたが、不明な部分が多いので想定を挙げたに過ぎず、正確さには疑問が残ることとなってしまいました。

 

それでも現地の情報を調べると、

事故現場の岩間道は、石川県のホームページ(2020/10/20)によると崩落個所があるため”当面の間通行止めと記載されているではありませんか。

※詳しく見たい方はこちらをどうぞ石川県 白山の施設・登山道の状況についてこちらを参照ください。

 

通行止めの崩落個所を走るのは非常に危険。ご本人はそれを知っていて訪れたのでしょうか。

他の方の登山ブログを読んでみると、同じコースで2017年時点でも同じように崩落による通行止め状態で、行かれる方は自己責任で!と書かれているではありませんか。やはり危ないのか!?

さらには、この事故の発見者は、登山口付近で本人とすれ違った30代男性ということですが、本件の捜索が打ち切られたと知って、自らが捜索し、探し当てているではありませんか。つまり、

ひょっとしたらここではないか!?というような危険な場所の目星がついていたのではないでしょうか。

そういったことから、そもそもが滑落の心配がある登山道だったのかもしれません。

私は実際に訪れたことがないため、あまり勝手なことは書けませんが、それでも登山中、トレラン中の滑落を複数回経験しておりますので、如何に滑落が身近であるか、滑落のダメージや怖さについては少しは語ることが出来ます。

 

私の過去の滑落事例は次の通りです。

事例1 戸隠のトレランレース中の滑落

飯縄山下山中に障害物を避けるためにジャンプしたが着地に失敗し、勢いで崖を超えて滑落。1mくらい滑落する途中に斜面に取り付いて、よじ登る。ここで足に力を入れた時、ふくらはぎが痙攣し、半泣きになる。ここでCW-Xのサポートタイツが破けてもう一回泣く。

 

 

事例2 丹沢 トレラン練習中に崩落しかけた荒れ地で滑落

世附権現山で下山のランニング中につまづいて滑落。1mくらい滑落する中で斜面に取り付いて、岩にしがみつくが、当たり所が悪く。右足から流血。CW-Xのサポートタイツがまた無残に破れて半泣き。

その記事がこちら(流血につき、閲覧注意)

 

 

事例3 八ヶ岳 権現山の夜行登山で下山中に滑落

夜間の南八ヶ岳の権現山下山中に、鎖場のエリアで足の置き場を誤り滑落。2mくらい滑落し、受け身をとった右手の手のひらより流血。半泣き。

 

 

上記のように、たった1m~2mのちょっとした滑落で、流血沙汰にはなるし、CW-Xのサポートタイツがズタボロに破けてしまってます。

1m~2mでこのダメージですから、これが5mくらいの落差になったら、命はあっても歩行不可能になるのではないかという感覚があります。

今回の事故では50m程度滑落したということですから、それはもう、かなりの落差です。4階建ての小中学校の屋上で約20m程なので、学校二つ分を足しても足りない高さだ。

 

 

熟練者か初心者か・・・ではなく

今回のことから、滑落について今一意識を傾け、これから登る山の崩落情報、滑落した事故の発生などがなかったか。などの事前リサーチが用心する上で有効ではないかと思う。

トレランをするにしても、このリサーチをすればまた少し違ってくるのではないか。

それと、滑落については、熟練者、初心者はあまり関係なく、初心者ならではの危険と、熟練者ならではの危険がそれぞれ存在するので、いずれにしても細心の注意をはかりたいところだ。

 

最後になりますが、捜索が打ち切られる中、警察(消防?)が見つけられなかったところ、個人の捜索で発見されたということは凄いと思いました。崖の下はヘリでもなかなか見つけられないでしょうし、下手すればこのまま行方不明だったかもしれないのです。

今年はソーシャルディスタンスということで、登山に出掛ける方も多く、遭難などの事故を多く耳にします。

皆様にはいろいろな事例から安全登山に活かしていただきたいと願っています。

ではまた。