西田由香里さんの滑落事故を振り返るパネルディスカッションから読み取れる登山リスクの洗い出し方

西田由香里さんの滑落事故を振り返るパネルディスカッションから読み取れる登山リスクの洗い出し方

2020年3月14日 オフ 投稿者:

皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

 

当ブログにも記載しております2019年2月9日から10日にかけて、西田由香里さんらが滑落した中央アルプスでの事故は未だ記憶にあたらしく、

その年の年末に、この事故の振り返りとともにディスカッションの場を設けるという記事を見かけましたので、改めましてここでも紹介します。

この事故についてはこちらの記事に書いております。

2日間で4件の相次いだ滑落ということで非常に痛ましい内容ですが、このような悲しい事故が二度と起きないようにと言う想いで西田由香里さんのご主人、西田渉さんが仲間らとともに「YUKARI Mountain Link」を立ち上げて、山の安全を考えるための活動を行っているという。

その活動の1つとして、2019年12月1日に事故の振り返りとパネルディスカッションが行われた。

 

事故の原因について

行程としては、中央アルプス伊奈川ダムより、越百山―仙涯嶺(2734m)―南駒ヶ岳を周回する2泊3日、由香里さんは越百山往復1泊2日の予定だった。天候は降雪、前週の中日に一度気温が上がり、雪が一度溶けた。例年になく雪が少ない状況だったという。当日は強い冬型、寒気。10日は天候が一度回復し、行動中は晴れ間が見えるだろうと様子を見ながら進むことになった。
 
前日、テント装備で入山。森の中、スノーシューでラッセル。体力があることから、由香里さんが先導しながら進んだ。初日は、越百山避難小屋で宿泊。朝4時頃出発、越百山経由で仙涯嶺に登頂。8時頃、仙涯嶺山頂直下の夏道における岩場トラバースの終了地点付近で、2番目を進む由香里さんがバランスを崩し、崖から約200m滑落。10:45にヘリコプターにより搬送され、病院で死亡が確認されたという。
 
 

私も大好きな中央アルプス。

千畳敷までロープウェイでアクセスできる中央アルプスだが、とはいえかなり高度がありテクニカルな稜線が続いている山域だ。

それが厳冬期となるとその難易度はかなり上がってくる筈だ。

 

浮上した4つの要因を掘り下げる

パネルディスカッションでは当時の状況を振り返ることで大きく4つの要因が浮上してきた。さらに課題についても掘り下げられた。

下記はディスカッションの報告内容に対する私の所感も加筆したものである。

環境 装備・技術 パーティー 本人

・環境

厳冬期という厳しいコンディションであった。

・装備/技術

ヘルメット、ロープの装備が無かった。

・パーティー

SNSを介して知り合ったパーティーであり、西田さん本人を除く4名のうち、1名を除いて初対面のメンバーだったという。又、同じルートの経験者もパーティーの中では1名のみで経験者に依存せざるを得ない状況でありリーダーも不明瞭であった。

・本人

時間等の制約から今しか行けないという判断に至った。歩行ミスにより転倒してしまった。トラバースの終了地点付近からの滑落と言うことは、もう少しで終わるという安心感による油断があったか。

このような4つの要因が積み重なったことが事故につながったのではないかと評論された。

 

PDCAサイクルの繰り返しが大切

PDCAサイクルとは、

P = Plan(計画)

D = Do(実行)

C = Check(振り返り)

A = Action(改善)

これは何かにつけ私もかなり意識していることですが、本当に大切なことだなとつくづく感じております。

入念に計画して実行しても、やはり反省点があり、それを克服するため次回に生かす。

もうこれにつきますよね。PDCAに終わりはありません。

又、ディスカッションでもPDCAサイクルで次回に生かすべきと述べられていました。

 

最後に私の失敗を振り返る

山でのトラブルは、先ほど述べたいくつかの要因が重なり合って起こるべくして起こるのではと考えられていますが、私の過去のトラブルや失敗を当てはめるとどうだろうか。

【雲取山での道迷いに至る要因】

環境  雨天だった

装備/技術  装備 問題なし   技術 初めてのルートで不慣れ

パーティー 単独だった

本人  寝坊し出発時間遅れ日没間際で焦り下山時に道迷い

評価 本人の要因に問題あり

【八ヶ岳での稜線歩きで滑落による軽傷を負った要因】

環境  雨天だった

装備/技術  装備 問題なし    技術 初めてのルートで不慣れ

パーティー  単独だった

本人  所要時間は見込み通りだが、計画に無理があったことと、日没間際で焦っておりかつ下山時であった

評価 本人の要因に問題あり

 

さて、

私自身のこれまでの失敗について2つ掘り下げてみましたが、

そのことから分かるのは、「雨天」で「急いでいる」「下山時」これがかなりヤバいよな。ということだ。単独については良い点と悪い点がある。

こういったことを分析し、リスクと評価されたことについては「やらない」「避ける」ようにすればそれが安全登山への第一歩になるのではないでしょうか。

失敗は成功の元と言いますが、登山での失敗は命を落とすことがあるので、なかなか厳しいところでもあります。

がしかし、

無事、下山することができた登山であっても小さな反省は必ずあるもの。

それを次回に生かしてほしいと思っております。

やはり経験は宝です。

 

以上が、西田由香里さんの滑落事故を振り返るパネルディスカッションから読み取れる登山リスクの洗い出し方でした。 ではまた!