2020年 クマ遭遇率が高い理由と2つの傾向
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
実は早い段階から、今年は熊との遭遇率が高くなりそうだな、と。
私はブログで注意喚起の記事でも書こうかななんて考えているうちに、既にニュースでは熊遭遇に関わる事故のニュースが頻繁に流れているではないですか!
外出の自粛で、例年よりも人出が少ない筈なのに!
「やっぱりか!」
これから秋はクマも活発になる季節ですので、今日は今年に限って何故、熊との遭遇率が上昇してしまうと思ったのか、その理由について語りたいと思います。
これから迎える紅葉などのベストシーズンに登山を計画しようとしている方は是非、お読みください。
「特別な夏」が遭遇率をあげることに・・・
東京都の小池都知事が「特別な夏」というキャッチフレーズを発表したように、山の中もこれまでにないほど人が居ない状況でした。
富士山も入山禁止に。それに伴い他のエリアの多くの山小屋も休止や人数制限を設けました。そして多くの登山者がコロナ禍に配慮し、登山を自粛されたことでしょう。
そんな私も3月下旬以降からもう随分長いこと山に行きませんでしたが、8月に1度だけ八ヶ岳に行きました。
その時も、マスク着用のチェックやスプレー消毒など下界と同じように徹底した感染症対策をしている山小屋に感心したものです。
さて、話を戻しますが、今年、熊との遭遇率が高くなる理由の1つ目は
「登山自粛の影響」によるものです。
人が山に入らないというのは、トレイルや高山植物の保護、自然環境保護の観点で言えば喜ばしいことです。けれども、それによって登山道の踏み後は薄く、場所によっては藪が生え茂り、自然そのものの状況に戻っていきます。
そうなる事で、警戒心の強い熊は従来登山道にはそうそう出てこないところ、人が通らない理由で生活圏が登山道にまで及ぶことが想定できます。
少し涼しくなり、熊が多くのエサを求める季節、それを知らずに突然、登山者が登り始めたところ、あちらこちらでバッタリ遭遇!なんて事態が多発するのではないかと私は心配しております。
今年はこの点を意識しながら登山をして欲しいですね。
エサの木の実が不作で出没多発に・・・
クマは木の実を主食として好んで食べるが、そのエサとなるブナ、ミズナラ、コナラ、クリ、オニグルミなどが全国的に、凶作、不作となっているようだ。
※凶作=結実は認められない ※不作=わずかに結実
不作になる理由は様々だろうが、豊作不作の周期が関係していたり、天候不順などの影響が考えられる。昨年も実りが良くなかったようだが、今年も長すぎる梅雨による日照不足などが影響を及ぼしていると考えるのが妥当か。
今年、熊との遭遇率が高くなる2つ目の理由は「餌不足」です。
クマにとっては死活問題ですし、やがて迎える冬に向けて秋は”かき入れ時”
餌を求めるにあたり、行動範囲も広げなければなりませんので、その結果、人里まで降りてきて頻繁に遭遇することになってしまいます。
そうなると熊は手っ取り早く餌を入手できる場所の付近に滞在し繰り返し出没の要因となるでしょう。
人家付近も警戒して欲しいと思います。
2つの傾向についてお話ししました。
・人気が少なく、熊が人里の近場で活動する
・餌不足で、熊が人里の近場で活動する
この2つの掛け算で、遭遇率が大きく上昇すると思っています。
2020年 ここ最近の熊ニュース
冒頭で述べたように、既に数多くの熊遭遇による事故のニュースが流れています。印象的なものも多かったので、その一部を抜粋します。
クマがテント裂いてカレー完食
女性は8月8日から2泊3日の日程で上高地を訪れ、徳本峠などのハイキングを楽しむつもりだった。小梨平キャンプ場で山仲間2人と合流し、それぞれ1人用テントを設営した。
8日午後6時ごろ就寝したが、同11時半ごろ、テントが何者かに引っ張られるのを感じ、目を覚ました。真っ暗な中、相手の動きが速くなり、「助けてください」と叫んだ。やがて、動きが止まり、テントの布に大きな影が立ち上がるのが見えた。その直後、テントが一瞬のうちに引き裂かれた。うめくような声が聞こえ、右ひざの横に強い衝撃を感じた。
これはニュースでも大きく取り上げられたので、知っている方も多いかと思われます。上高地での事故ですね。熊がカレーなどの匂いに誘引されて襲われた模様。尚、カレーなどは全て食べられたという。
この記事の題名がやたら面白おかしいと思うのは私だけ?^^;
この事故を受けて、対策を整えるまでキャンプ場は閉鎖になってしまった。
人間の食べ物の味を覚えてしまったこの熊はその後どうなったのでしょうか・・
なんと、この話には続きがあります。
それがコチラ。
死んだクマ見つかる 上高地の小梨平キャンプ場
環境省上高地管理官事務所は十四日、松本市安曇の北アルプス・上高地にある小梨平キャンプ場で、九日にテント泊していた女性を襲ったとみられるツキノワグマ一頭を捕獲したと発表した。同事務所によると、十三日早朝に小梨平キャンプ場近くの宿泊施設敷地内にクマが出没。麻酔で捕獲しようとしたが効く前に逃げ、周囲を捜したところ、死んだ状態で見つかった。クマは体長約一四〇センチ、体重は推定一五〇〜一七〇キロ。十五歳ぐらいという。
案の定、この熊は付近に滞在して相変わらず人間の食べ物を狙っていたように思えます。
人間を襲って食べ物を奪うことを覚えてしまった熊は、被害を増やさないためにも残念ですが処分するしかありません。
続いて、同じ長野県の戸隠エリア。散歩中の女性が襲われた記事です。
長野の飯綱高原に熊 女性けが
18日午後6時ごろ、長野市門沢の市飯綱高原東第3グラウンド付近の路上で、近くの女性(37)が犬の散歩中に熊に襲われた。長野中央署などによると、熊は親子2頭とみられる。女性は市内の病院に運ばれ、左上腕部と顔にけがをしたが命に別条はない。
犬が吠えると熊は逃げ、女性は近くの民家に助けを求めた。119番通報した住人(30)はタオルなどで止血して女性を介抱。「窓などの戸締まりをしっかりしたい」と話していた。
飯綱高原はもともとクマ出没エリアですが、とはいえ人間の生活圏で襲われています。犬が追い払ってくれて良かったですね。親子2頭というシチュエーションはかなり危険だからです。
記事の後半に「窓などの戸締りをしっかりしたい」となっているが、
驚くなかれ!次のニュースでは、家がクマに占領されたという記事を紹介しています。
民家に40時間「籠城」のクマ射殺 福井県小浜市、けが人なし
福井県小浜市下根来の民家に侵入していたクマが8月13日午前11時ごろ、猟友会により射殺された。成獣の雄で体長約130センチ、体重約50キロ。推定年齢は5、6歳。少なくとも40時間いたとみられる。
この家に1人で住む女性(68)は「駆除してもらえてありがたい」とほっとした様子。ただ女性は11日夕に2頭が台所に侵入したのを目撃し、12日にはこのうちの1頭とみられるクマを家の外で確認しており、近くにいる可能性もある。
YAHOOニュース 福井新聞の記事より一部を抜粋
いやいや、もうなんでもありの状態で、熊のやりたい放題とでもいいましょうか。北海道では飼い犬を食べ漁るヒグマも出没しているとか。
この福井県の熊は5歳6歳ということで、成獣になりたての若い熊で親離れ直後、好奇心が強く、警戒心が低かったか、狩りの訓練だったのだろうか。
いくつか記事を紹介しましたが、どの事故も前半に私がお話しした2つの傾向が起因している可能性を非常に強く感じませんか。
クマ関連の記事はこちらです
本州に生息しているツキノワグマは基本臆病な動物であり、人から逃げるはずが、今年は襲撃された事例も多くなんだか嫌な感じですねぇ。
最後に、当ブログで書いている熊に関係する記事を紹介しますので興味があればお読みください。熊関連の記事はよく読まれます。
恐れ過ぎず、油断しすぎず、よく注意して登山をしていただければと思います。
ではまた!