ニコ生配信で事故のあった山梨の冬登山 届け出義務化スタート【山岳ニュース】
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
山梨県で施行された冬季における県内登山の届け出義務化がスタートしましたね。
皆さんは登山届の義務化や罰則に関わらず、提出をされていると思うのですが、
「行方不明のニュースに出るような方に限って登山届を提出していなかった」
なんてケースが多いこともあり、改めて今回施行された山梨県冬登山の届け出義務化について取り上げていこうと思います。
ついでに関連する事故で記憶に新しいニコ生配信富士山滑落事故について語りつつ、登山届の基礎についても解説していこうと思います。
この記事はざっとこのような内容になっております。
・ 山梨県冬登山の届け出義務化について |
・ ニコ生配信富士山滑落事故について |
・ 登山届について |
今年も残りわずか、今一度気持ちを引き締める意味でもお読みいただければ幸いです。
山梨県冬登山の届け出義務化について
どんな内容?
山梨県は県内で冬に登山する場合に届け出を義務付ける条例を12月1日から施行する。毎年、12月1日~翌年3月31日に、標高の高い富士山や八ケ岳、南アルプス山系に登る人を対象とする。ただ富士山の場合は3千メートル以上の高さまで行く人に限定。
このような条例が施行された背景としては、特に冬の富士山を巡っての滑落事故が問題視されており、安全について強く意識してもらいたいことなのであろう。
罰則は無いとしている。
義務化となったエリアは、上記の通り、富士山の標高3,000以上と、八ヶ岳、南アルプス山系が指定されている。
罰則のあるなしに関わらず、「何かあったとき」の手掛かりのため、登山届をもれなく提出し、連絡体制を整えてから登山に出かけたいものである。
ニコ生配信富士山滑落事故について
皆さんはこの事故のことをご存じだろうか。
2019年10月の下旬、令和初年度に富士山で印象深い滑落事故が発生しました。
それはニコ生配信といって、いわゆる「生放送中」に発生したとされている滑落事故だ。概要は以下のとおりである。
令和元年(2019年)10月28日に1人のニコ生配信者(以下、生放送主)が雪が積もっている富士山山頂付近を歩いていた所、「あ、滑る!」と言った後に斜面を滑り落ちていった。その後、配信はストップした。
番組を視聴していた人々が110番通報し、29日朝から山岳救助隊が捜索にあたった。
その生放送主かは不明だが、同月30日に7合目付近、標高約3000mのところで遺体が発見された[1]。発見時には性別が不明なほど遺体が損傷していた。
番組を視聴中に110番っていうのにも驚いておりますが、アイスバーンの上を1,000m近くも滑落するのはかなりの落差であり、滑り出したら止まらない雪山の恐ろしさを想像させます。
中央アルプスの冬山で発生した連続滑落事故の記事はコチラ
そしてこの事故の問題点を他に挙げるとすれば、、富士山だからと言って油断していたのではないかということ。
夏の山開きから事故が相次ぐ富士山・・
標高3,000mオーバーに簡単な山など無い。
そして、何より動画の生配信を目的とする登山だからこそ、普通の映像では面白みが小さく、視聴者により刺激的な映像を届けるために無茶をしたのではないかということだ。
より注目される配信者になるために、エスカレートすることが問題視されていますが、今回の事故はまさにその例ではないかと私は思いました。
私自身も、同じように自然が相手というアクティブな行動を文章や動画で表現する立場として注意していかなくてはいけないなと身に染みて感じることとなった事故になりました。
登山届について
登山届とは、登山計画書や入山届とも呼ばれており、
登山に出発する前に、目的地や所要時間、同行のメンバーや装備、ルートに至るまで、登山計画の要点を詳細にまとめた書類のことである。
提出先は、登る山域の所轄警察署である。ただ、わざわざ警察署に出向いて出すのではなく、主要な山であれば登山口にポストがあるのでそこに投函する形となる。
こんな感じのポストがあります。
バリエーションルートやマイナールートといった、整備されていない場所には登山届け入れが無い場合もあります。その場合は、最寄りの交番で預かってくれたり近くの他の登山ポストに入れることが出来るぞ。
同エリアの登山案内所や警察署の地域課のようなところに問い合わせてみるとよいだろう。
登山届に決まった書式などは無く、要はいざというときに人が見て分かるものであればExcelなどで自作しても良いだろう。
記載する内容は以下を参考にしてほしい(私が登山届に記載している内容)
・日程
・メンバー
・緊急連絡先
・山岳保険加入の有無
・歩くルートの見取り図 (地図にルートを記載)
・歩行時間と累積標高差
・全行程 チェックポイントごとに到着時間や休憩時間、宿泊の有無を記載 帰宅時間も
・装備(水分や食料も含む持参しているものを記載)
以上がしっかりと書かれていれば、いざ捜索が必要になった時に、登山届のルートの周辺をすぐ捜索できますし、時期や山域に食料などから行動範囲や生存確率など見立てをとることもできるだろう。
そもそも登山届が出ていない場合、さて、どこの山にいるのかな? そんなどエラい状況に陥ってしまうのだ。冬山であれば発見に1分1秒を争うはずである。
登山をする者として、登山届の書き方は必ず覚えて欲しいと切に願っております。
登山届を書く方法
いくつかの方法がありフォーマットも用意されています。
・ヤマケイオンラインで作成(アプリ)
・コンパスで作成(アプリ)
・所轄警察署の地域課から取り寄せる
・自作する
・現地で書く
とりあえず、私が知っているのを箇条書きしました。
ヤマケイオンラインは山と渓谷社が運営するソーシャルメディアであり、会員登録すると自分の登山計画を入力することが出来、記録をするだけでなく、登山届として出力又はpdf化することができるアプリである。私はこれです。
コンパスは日本山岳ガイド協会が運営する登山届受理システムである。家族や自治体、警察署と共有することが出来るアプリである。
よく行く山域であれば所轄警察署の地域課など登山届の管理をしているところから取り寄せてそれをコピーしてすぐ書けるようにしておくのも良いだろう。
勿論自作でも良いが、便利なフォーマットがあるのでそちらを使った方が良いだろう。
上記に紹介した登山ポストの写真にあるように、登山ポスト自体に記入用紙が置いてあるケースも多い。ただ、登山前に書くのは大変だし、記入漏れの原因になりそうだ。
提出方法は、書面として投函する方法以外に、特定の場所ではメールで受理してくれるところも増えている。
登山ポストでは個人情報が洩れると心配される場合、メール等での届け出が便利だろう。自分が登る山はネットで届け出が出来るか予め調べておこう。
個人情報が洩れるから登山届を出しません! は通用しませんので、そこはくれぐれも注意ください。
基本は登山届は任意で提出するものですが、最近は義務化しているエリアも増えている。
私が通う範囲内の関東甲信越周辺及び日本アルプスで義務化されているのは以下の通りだ。
・新潟県
・長野県
・富山県
・群馬県
・岐阜県
・山梨県
なんだ、ほとんどじゃないか!!(笑)
尚、2017年には上記、義務化に違反したとして、岐阜県では登山届を提出しなかったと認めた登山者に対し、5万円の罰金を科した例がある。北アルプスの西穂高岳を登っていて救助されたようだ。
上記、義務化している県は全てのエリアではなく、例えば群馬県は谷川岳など特定の山域を指す場合もあるのですが、エリアに関係なく提出した方が良いことは言うまでもない。
救助ヘリの有料化検討など、いつどんな条例が施行されるかわからない。
そして何より自分自身の命を守るため、必ず提出することを習慣にしていただきたいなと心より思っております。
山梨県の冬登山の届け出義務化というニュースから、登山届についても一通り語ったところで終わりにしたいと思います。ではまた!
自宅にて
メリークリスマス!!