
スカイラントレイル菅平で死亡事故の速報
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
突然、私のブログのアクセスが通常の1.5倍に膨れ上がったため、
「なにか・・あったのか!?」
と、胸騒ぎのするままインターネットを開くと、
トレイルランニングの大会で男性が死亡というニュース速報が目に入りました。
トレイルラン大会で倒れた57歳男性が死亡 長野県の四阿山
11日、長野県上田市の菅平高原で開催されたトレイルラン大会に参加していた長野市吉田の公務員男性(57)が体調不良で倒れた。男性は午前11時47分に県防災ヘリコプターに収容され、佐久市内の病院に搬送されたが、午後0時30分に死亡が確認された。
まず、お亡くなりになられた選手に謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
5月11日は私も場所は違えど、埼玉県の飯能にトレイルランニングのトレーニングを行っていたので、長野でこのような事故があったとは知りませんでした。
ただ、このニュースも、今のところ、信濃毎日新聞など地元ローカル紙などでしか報じられていないようなので知らない方も多いのではないか。
大会のレビューや感想などでも事故に触れたものは無く、実際の選手にもあまり知れ渡っていないのかもしれません。
長野の菅平でこの時期に行われるレースと言えば、あのレースしかないのでは?と思いましたが、その通りで、「第18回スカイライントレイル菅平アンダーアーマーカップ」で不幸にも事故が起きてしまいました。
「第18回スカイライントレイル菅平アンダーアーマーカップ」
開催日 2025年5月11日
1,SUGADAIRA 50K+(約52km)ロングの部
菅平高原全エリアをラウンドし、根子岳(標高2,207m)を往路・復路の2回登頂するエキスパート向けコース
2,SUGADAIRA 30K+(約32km)ミドルの部
四阿山の麓から根子岳山頂を目指し、ダボスの丘や菅平牧場内をラウンドする極上のトレイルを巡るコース
3, SUGADAIRA 10K+(約13km)ショートの部
標高1,300m〜1,800mのダボスの丘や菅平牧場からの眺望が楽しめるビギナーや初トライ向けコース
初心者から上級者まで楽しめる内容となっております。
スカイライントレイル菅平は、コースバリエーションが豊富で本当に楽しいコースであり、私の好きなレースランキングBEST5位に入るほど、好きなレースなのです。
スカイライントレイル菅平のレースレビューはこちらで詳しく解説しています。
ご家族もまさかこんなことになるなんて想像するはずもなく、朝元気に見送っていたであろうことを考えるといたたまれない気持ちになります。
滑落などの外傷を伴うものではなく、走行中にフラフラになり、心肺停止になったということのようです。心肺停止の理由については正確な情報はまだ出ていません。
救護ポイントまであと1キロほどという距離、およそ10キロ地点で倒れたということです。
選手はミドルコースにエントリーされていたそうですが、10キロ地点はまだ序盤ですね。
スタートしてまだ間もない序盤というのも気になりますが、序盤は登りがキツイコースなので、心肺への負荷がかかっていたのは間違いありません。
スタート直後のゲレンデ坂からの急登の連続。写真は矢島信選手。2019大会。
ちなみに、私も出場しています。2019年大会。
疲れが蓄積していたり、持病の悪化からの心臓発作などはこのレースに限らず起こりうるが、お亡くなりになられた選手は2024年大会も完走しており、エントリー時も「持病なし」と申告している。と記載するニュース記事も存在した。
たいへん申し訳ないが、ここで言う「持病なし」は自己申告であり、あてにならない。
なぜなら「持病あり」なんて書いたらエントリーができないからだ。したがって、多少の持病や生活習慣病など健康の範囲内とみなしているのが実情だろう。
このニュースのYahooコメント欄が荒れている。
”健康診断結果の提出を義務付けるべきだ” というコメントがあったが、
仮にそうしたとして「オールA」を条件付けした場合、
健診センターで働く私が言いますが、選手の7割が失格となるでしょう。加えて50代以上でオールAなんているのか?という現実。
私も自称健康優良児だが、健診結果オールAが条件なら恐らく2度とレースに出れないかもしれない・・・・
これらのご意見コメントはまだマシで、トレランを禁止せよ!等のメッセージも相次いでおり、とても見ていられず、インターネットを閉じてしまいました(泣)
言わせていただきますが、心肺停止ならトレランの大会よりも、平地のマラソン大会の方がどちらかと言うと一定の確立で発生している印象です。
普通のマラソン大会の方が、出場するハードルが低い分、普段あまり走らなかったり、持病のある方などが参加する確率は高く、2009年東京マラソンでタレント松村邦洋さんが心筋梗塞を起こしたように、心肺停止リスクに限って言えば、トレランだからリスクが高いという結論にはならない。
今回の選手が健康であったか否かは分かりませんが、健康であっても、過剰な心臓への負荷で突然死するケースもあります。
「AI」に分析を任せたところ、40代~50代で突然死が多い傾向にあるとして、特に心臓が原因であることが多く、心筋梗塞、血栓、虚血性心疾患、狭心症、不整脈、心電図異常や高血圧症を伴うものが挙げられ、その割合は女性よりも男性が多く、
前触れとして、めまい、たちくらみ、動悸などが考えられると説明がありました。
今回の心肺停止ということですが、その前にフラフラな状態であったことが、上記の前触れと合致していて、よく見られる突然死の事例と合致しているように思えます。
Yahooのコメントに、フラフラなのが目撃されていて、何故誰も助けないんだ!というコメントもあったが、私を含む、トレランは、ゾンビのようにヘトヘトになりながら、何かにしがみつく様に這いつくばってゴールを目指す姿が大半であり、残念ながら、なかなか第三者が気づくのが難しいのが正直なところです。こればかりは自分自身の異常をいち早く察知してリタイアを申告することが肝要と言えます。
この写真が、菅平トレイルの、絶叫ポイント。根子岳からのダウンヒルです。頂上から長い長いダウンヒルです。一度スピードが乗ったら減速するのが難しいくらいスピードが出るので、最高に気持ちが良くて楽しいのと同時に、転倒したらタダでは済まないでしょう。一見きれいなトレイルですが、部分的に岩がゴロゴロガレているエリアもあって結構テクニカルでした。
Youtubeで私が転倒して全治3週間の怪我を負った動画はもうご覧になりましたか?
このように、心臓負荷だけでなく、転倒や滑落による怪我、道迷いによる遭難、この季節の菅平は低体温症と熱中症両方のリスクなど、気を付けなければならないことは多く、全ては自己責任であるというのは必ず前提にあります。
スカイライントレイル菅平では以下の誓約事項が定められていました。
誓約事項
私は本大会が厳しい自然環境下で開催されることをよく理解し、個人の責任において安全管理および健康管理に十分注意のうえ大会に参加し、万が一体調などに異常が生じた場合はすみやかに競技を中止することを誓います。
私は特に体調面において主催者に知っておいてもらいたいこと(アレルギー体質、過敏症などの特異体質や既往症など)がありましたら、大会前日までに大会本部へ連絡をすることを誓います。
私は大会開催中に事故に遭遇、負傷・発病した場合には応急処置を受けることに異議はありません。さらに、私に対する補償は大会主催者が加入した保険の範囲内であることを承諾します。
引用:大会公式HP(一部抜粋)
安全管理に関すること
体調が思わしくない、トレーニングが不十分など完走できる自信がない場合、出走を辞退して下さい。
コース上で倒れていたり、うずくまっていたり身動きできない選手と遭遇した場合は必ず声をかけて体調、症状を確認して下さい。救護が必要な場合は人命を優先し、最寄りのコース係員もしくは大会本部へ連絡して下さい。大会本部の電話番号はゼッケンに明記してあります。
競技が安全に行われるために、大会本部では可能な限りのコース整備と、救助及び医療援助体制を準備しています。選手はトレイルランという自然の中で行われる競技に危険が伴うことを充分に認識し、ケガ、病気、事故などに対して、自己の責任において大会に出場して下さい。
高地のコース上では突風、雨、雷、ガスの発生など気象状況の変化で天候が急変し、低体温症になることが予想されます。事前の準備も入念に行って下さい。
途中何らかの理由でコースを外れた場合は、その同じ地点から再びコースに復帰すること。また、スイーパーの位置より後方に戻ることは安全管理のため禁止とします。スイーパーより大幅に遅れてコースに戻る場合はそこでリタイヤとなります。すみやかにスイーパーまたはスタッフに計測チップを渡して自力で会場までお戻り下さい。
簡易な応急処置は原則行いませんので、各自のファーストエイドキットにて対応して下さい。万が一に備え大会会場及び各エイドステーションにはAEDの配備と看護士またはトレーナーが待機しており、常に大会本部と連絡体制を取っています。
環境や状況により、援助が到着するまでに時間が長くかかる場合があります。
救急搬送により、医師等に処置を受けた選手は、診察結果を大会本部へ連絡してください。
救護担当者には、安全のため選手がこれ以上競技続行が不可能と判断した場合には中止させる権限があります。
救護または救助が必要がと判断された場合は、救助隊を呼ぶことがあります。この場合、かかった費用は救護された参加者の負担となります。山岳保険への加入を推奨します。
大会主催者は参加者の事故やケガなどに備えて傷害保険に加入しています。補償の範囲は以下の通りです。
新型コロナウイルス感染による治療費等は範囲外です。
死亡・後遺障害:300万円 / 入院(日額):3,000円 / 通院(日額):2,000円引用:大会公式HP
誓約事項に関しては、たいていどの大会も免責事項として必ず示されている事項かと思われますけど、安全管理に関することの事項は、かなり詳細に念入りに書いてあるなといった印象。ちなみに看護士ではなく看護師・・ですかね。
エイドにAEDと看護師が居るのなら、救護ヘリが到着するまでの間に心肺蘇生が出来たのでは?と勝手ながらもどかしく思う部分もあり。
とはいえ、スタッフの一部がボランティアで構成される中で、人命にかかわる部分の指揮命令やリーダーシップをとるのは困難であることを理解する必要がある。
運営のフィールズはコース上の看板が少なく、時々道が分かりにくいことがあるけど、全体的にはエイドや救護も充実しており、運営も安定していて、かつ、大会を楽しくしようという想いも感じる為、印象が良い運営会社です。
最後に、
リスクといえば大会よりも、個人が単独で山でトレランしている方が誰にも気づかれないという点で恐ろしくリスキーに感じるのでした。
私も安全に気を付けますが、絶対とは言えないし、山に行くときは、妻と息子の寝顔を見てこれが最後になりませんようにとお祈りしてから山に出かけています。
トレイルランの大会が、より安全で、楽しく、多くの人に受け入れられる山の文化として、長く続くスポーツに発展していてくれることを心より願っています。
緊急で執筆したため、殴り書きのようになっておりますこと、ご了承ください。
ではまた!