遭難記(道迷い)№2【南八ヶ岳・編笠山】

遭難記(道迷い)№2【南八ヶ岳・編笠山】

2023年12月9日 オフ 投稿者:

皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

 

道迷いで少しでもヒヤっとした経験を、場所と当時の状況を振り返りながら紹介するコーナーです。

実際には遭難になる手前の段階になりますので、これは現実的に皆様にも起こりうると受け取っていただき、是非参考にしていただければ幸いです。

 

道迷いは誰もが避けたい

道迷いは誰もが避けたいと願うもの。同時に避けたくても遭遇してしまうのが道迷いとも言えます。

登山中における遭難を引き起こす最も多い要因は ”滑落” になりますが【道迷い】もそれに次ぐ要因と考えられ、道迷いで出来た踏み跡が、次なる道迷いへの誘いとなってしまうことも、多くの事例から考えらるという事。

それでは、私が2018年の10月の南八ヶ岳で経験した道迷いの記録、遭難記№2をお届けします。

撤去されずに残ったイベント用テープにまんまと誘導されたケース

日時:2018年10月6日 6:30~7:30

場所:南八ヶ岳エリア 編笠山 崩落で閉鎖中のシャクナゲ庭園ルート

メンバー:単独

補足:珍しく登りでの道迷い。地図あり(読図は微妙)。GPSなし。

絶望度:★★☆☆☆

どう考えてもおかしいと思ったため、直ぐ引き返したのは正解だった。しかし、これによって1時間もロスしたおかげで、その後、赤岳へのピストンで夜行登山を強いられた。登山計画の失敗例でもある。登り途中で迷うのも珍しく、今思うと経験値の浅さが感じられる。

その地図がこちらです。

青い線が間違いを起こしたルートで✕の地点で引き返したという事になります。

完全に登山道からは外れており、鹿などの獣も多く、枯れ沢に沿ってかなり深い谷間を歩かされた。巨大な倒木が多く立ち塞がっており、真っすぐ進むだけでも困難があった。

強行して進めば、西岳と編笠山の間をよじ登る形になりそうだが、荒れ方からして立ち往生することは容易に想像ができた。

 

なぜ、このような間違え方をしたのだろうか。

それは、オリエンテーリングなどの地図読みイベントの印として、テープが点々とつけられたまま撤去されていない状態であったのだ。

その時は勿論、イベント用であることに気づかずに、普通に登山道を示すものだと決めつけていた。このテープに誘導されるがまま、気が付いたらとんでもないところにポツンと立ち尽くしていた。・・これが顛末です。

 

ここまで来て、ようやく「おかしい・・」と気づき、引き返すのだが、テントも担いでおり、水も満タンだったため、かなりの体力を無駄に消耗した。

文句を言っても後の祭りで、貴重な勉強として前向きに捉えた。

注意:あくまでイメージ画像です

 

オリエンテーリングのテープが撤去されないまま放置されたものだと判断した理由は、テープ自体の汚れやダメージから、時間の経過を感じ取れたことと、このルート自体、土砂崩れでこの当時は通常使われないルートであったこと、イベントを行うような状況ではない程に荒れていたことなどからである。

 

しかしながら、一旦登山道に戻ると、なんてことない、明瞭な登山道であり、荒廃したところを無理やり歩いていたことが馬鹿馬鹿しく感じる程であった。

絶望度が低い理由としては、まだ早朝で体力もあり、焦りは小さく、心にも余裕があったこと。ただ、このまま登山道に復帰できなければ無事で済まない可能性も十二分にある。

 

永遠に出口が見つからなければ・・・

 

今回の教訓として、オリエンテーリングやトレラン大会などのテープの撤去し忘れは、あり得ると考えておくこと。沢を渡渉したり、行き来したりする必要のあるルートでは、登山道への取りつきを間違えてルートミスにつながりやすいことを警戒すること。

そして「おかしいな」と感じたら直ぐに引き返すこと。

これに限ります。

 

本記事のモデルとなった登山記録の記事、登山のピンクテープについての考察や、渡渉が分かりにくい場所での遭難事例の考察なども別記事で書いていますので、よろしければご覧になってくださいね。

ではまた!