遭難記(道迷い)№1【甲相国境尾根】
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
遭難記と書いてしまうと少し大袈裟ですが、2016年から約7年間続けてきた登山経験の中で、登山中に一瞬でも道を外しヒヤっとした経験を、思い出せる限り詳しく、地図をお見せしながら状況を振り返ってみたいと思います。
前置き
皆さんも遭難なんか絶対にしたくないですよね。
登山中における遭難を引き起こす最も多い要因は ”滑落” になりますが【道迷い】もそれに次ぐ要因と考えられています。ズバリ、不安の大きさで言えば道迷いの方が上でしょう。
地図があろうが、GPSがあろうが、絶対に道を間違えないわけではありません。道を間違えたり迷ったりする場所って、経験上、他の多くの人も間違えている場所になります。多くの人が間違えると良くないことが発生します。
良くない事って?
それは、間違えた場所に踏み後が付いてしまい、より一層間違えやすい場所になってしまうということです。悲しい現実です。
だからこそ、道に迷った経験を共有することは大切なことなのではないでしょうか。
少し前置きが長くなってしまいましたが、早速、道迷いの「記録№1」を共有します。
クマとのニアミスと道迷い 泣きっ面にハチ登山
日時:2016年9月19日 14:00~15:00
場所:丹沢エリア 甲相国境尾根、切通峠~高指山~山伏峠の区間
メンバー:2名
補足:初めての登山。地図無し。GPSなし。
絶望度:★★★★☆
強行下山した場合、沢で滑落する危険アリ。上手く下山できれば世附林道に出られるが絶対にオススメしない。レベル的には★3つだが、クマがいたので★4つにした。初めての登山について厳密に言えば富士登山を4~5回は登った経験が下地にあったので、山歩きは心得ていたが、趣味と認識しての活動は初めてだった。
地図はこちらです。
青い線と✕が間違えて進んだルートになります。沢の音がすぐ近くで聞こえたので、もしかするともっと沢の方まで進んでしまっていたかもしれない。
当時は最低限の登山装備が揃っていたが、地図は無かった。(本来、最低限の登山装備に地図は含まれるが、当初はその認識が無かった)
須走から入山し、三国山を経由して湯船山山稜から不老山を経て駿河小山駅に下山するはずが、全然方向の違う山中湖、菰釣山方面の甲相国境尾根に進んでしまったのである。
トレイルランニングの練習で来ていたので、稜線上では走っていることが多かったためルートの確認がおろそかになっていた。
すべては警察に出会ってから方向が狂ったのだ。
静岡県警は、行方不明の登山者を探すため入山しているという。三国山の山頂で昼食を食べていたら警察も昼食をとっていて、何か変わったことは無かったか、など尋ねられた。
その後警察の後姿を追う形で、登山を続けたが、後で気づいたのだが、警察は切通峠方面に進んでいたので、警察を追いかけてはいけなかったのだ。
こっちはトレランだったため、すぐに警察を追い越す形となる。
今回は2名で来ており、私より1~2年先にトレランを始めていた仲間であるが、以前通ったルートという事でナビゲートを完全に委ねてしまっていた。
暫く進んだら、徐々に道が細くなり、人が歩いた形跡が無いような雰囲気。それに時々顔に引っ掛かるクモの糸。藪を漕いだりしながら「これが正規ルートなのか?」と半信半疑。
けれど、道は合っているのか?と尋ねることはしなかった。
すかさず、非常に強烈な獣臭が鼻を襲う。
「クマがいる・・」
相方も気が付いたみたいで、動きを止め周囲360度見渡して異常がないか確認した。特に異常は無かった。目の前の朽ちた大きな倒木に穴が開いていることを除いて。
絶対に覗いてはならない。その倒木から距離をとりながら通過。それから30分くらい?進むが、標高をどんどん下げて下山しているような進路だったため、間違っていることはほぼ確信に変わっていった。
極めつけは、沢にぶつかってしまい、完全に進路が塞がれてしまったこと。
時々、ピンクテープがあったのだが、それも全く見当たらなくなっていた。
ピンクテープの考察はこちらの記事にて。
「間違えたっぽいな・・」
「ああ・・」
どうする?下山を強行するか、登り返すかの2択を迫られる。
私は言った。
「登り返すしかない」
相方も同意したため、登り返すことにした。私はその時は言わなかったが(下山後には言ったが)もし、下山を強行する判断をするのであれば、私は一人だけでも登り返す予定だった。そう。登山は自己責任なのである。
迷ったら登る。それがセオリー。
だが、登り返すにしても問題があった。
クマが居るであろうエリアをもう一度通過しなければならないことだ。それは日曜日の夜19時にサザエさんを見ながら明日の会社の準備をしている時の比ではないくらいに憂鬱になった(笑)
しかし、次に通過した時にはまったく無臭になっていた。
地図は無いけど何故か熊鈴を持っていたので、本当に良かった・・・・
熊遭遇の考察はこちらの記事にて。
分かるところまで登り返して正規ルートに戻った後は、山伏峠から下山し、山中湖方面の国道にあるバス停まで歩いて山中湖を経由して御殿場駅まで最終的に戻り無事帰宅となる。
この経験を元に、地図又はGPSが無い登山は無謀すぎることを肝に銘じ、翌週には丹沢の地図と、地図の読み方の本、コンパス、を買って
OJT(on the job training ※実践しながら学習すること)に必死に励んだのでした。
この本と「山と高原地図」で勉強しました。
これが私の登山の原点であり、その後に経験される失敗談を共有したい想いがブログを立ち上げるきっかけにもなっていったので、良い経験だったと思うようにしています。
とはいえ、他の方には絶対迷って欲しくありませんので、同じコースを通過される方は是非参考にしていただければ幸いです。
最後に、この道迷いは記憶から場所を割り出しているため、概ね合っていますが、位置が完全に一致していない可能性がありますので、申し訳ありませんがご了承ください。ではまた!