登山で見かける「ピンクテープ」は当てになるのか?
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
タイトルの件ですが、登山に出掛けると必ずと言っていいほど見かける
あのピンクテープ。
これですね。
これ、何を意味するか分かりますか?
・・・・・・・・
え?ルートを示しているんじゃないの?
と思いますよね!
ほとんどの人は何の根拠もなく、一定距離ごとに結ばれているこのテープが登山道の目印であると盲目的に信じ込み、このテープを目指しながら登ったり下りたりしていませんでしたか?
はい。私がそうです。(未だに)
先に結論を言いますが、
必ずしも登山道を示しているわけではありません。
なんだとぉ!!(笑)
残念なお知らせですが、このテープに誘導され、過去に6回は道間違いを起こしています。
ではこの「ピンクテープ」とは何なのか?誰がどのような目的で設置しているのか?登山道にあるのだから、ルートを示してる?果たしてそうか?
筆者自身の経験の他、山岳ビジターセンターへの聞き込みなども含め、このブログ独自の調査で考察していきます。
この記事は以下の順番で解説されています。
1 登山マーキングの種類
2 ピンクテープの意味
3 ピンクテープ写真集
4 私がピンクテープで道間違いを起こした事例6つ
5 結論!山岳ビジターセンタースタッフの回答
特に登山初心者に読んでいただきたい内容となっております。
楽しみながらどうぞ。
1 登山マーキングの種類
登山者に対する何らかのサイン。登山マーキングはピンクテープだけではない。
文字を書いた看板から、マークに至るまで多種多様だ。
未知なものもあるが、語ってばかりでもイメージが湧かないため、先ずは写真をご覧いただこう。
公式な道しるべ
一般登山道に定点的に見受けられる。逆にこのような案内板が一切現れない時はルートミスを疑う。
非公式(笑)な道しるべ
比較的、ややマイナールートに見受けられる(希少)
非公式(笑)なアート
神出鬼没
警告看板
マイナールート、バリエーションルート、遭難多発ルート、登山道崩落ルートなどで見受けられる。私は敢えてこのようなルートばかり選ぶためか、こんな看板ばっかりだ。
方角を示す看板
登山道への取りつきが分かりにくい平台によく設置される。渡渉エリアなどにも。
のぼり旗(警告)
遭難が発生している登山道入り口や渡渉エリアに設置されている
スプレー又はペンキによる誘導
これは標高が高いエリアや森林限界地などで、ピンクテープを結びつける木の代わりに岩を目印にしている。
スプレー又はペンキによる誘導2
木の幹が太すぎる場合は、ピンクテープよりスプレーの方が手っ取り早いか。
立ち入り禁止(KEEP OUT)
この先崩落、落石崩壊、など立ち入りを強く警告するテープ
立ち入り禁止
緑のロープは、この先が登山道ではないことを意味すると筆者は理解している。
奥多摩、奥秩父で見受けられる。「こっちじゃないよ」とロープが語りかけているようだ。結構ルートが紛らわしいところなどに設置してくれている。
謎の印
登山道を示しているのか、「火気厳禁」とか文字が書いてあったが消えたのか、はたまた何かを警告しているのかは分からない・・
マスク
洗濯ばさみ(よく乾くかな?w)
ペットボトル
おもちゃ
これは、一般登山者の「足跡」だが、ゴミを捨てているのと変わらない。我ながらよくここまでの写真を収集できたと思う(笑)
軍手、タオル、Tシャツなど、挙げればキリがないほど。
ただ、人工物であることには間違いなく、人間が歩いた場所なんだと思うと、不謹慎ながら不明瞭なルートを歩いている時は助かるし、精神安定剤にもなる。
いかがだろうか。
このように道標やピンクテープ以外にも、これだけの目印が、登山者に何かしらのメッセージを送ってきている。そう。登山って結構 ”目が忙しい”
2 ピンクテープの意味
これは他でもなく目印である。
登山とは、地図(地形図)とコンパスで現在地を予測しながら目標に向かって歩くルートファインディング能力が求められるが、こうした目印がある事で、地図等を確認することなく(或いは、サッと確認する程度)進行方向を確認出来て便利である。
そしてこのビニール生地のテープは千切れにくく劣化しにくい。昭和に取り付けたテープだって生き残っているのではないか?と思っている。
それに、この蛍光色の不自然なピンクは、自然の中ではひときわ目立つので見つけやすい特性も。
ただし、忘れてはならないことがある。
このピンクテープを目印と言ったが、これは間違いではないものの、
登山道への目印とは限らない ということが非常に重要。
それが理解できるだけで、登山レベルがかなりアップしたと言っても良いかも知れない。問題は、このピンクテープが、何の目的で巻かれているのか想像しながら登山する必要性があるということ。
様々な人の手によって、様々な事情で、施されている。
それがピンクテープである。
ピンクテープの意味の結論については最後の「山岳ビジターセンタースタッフの回答」のところでお伝えしようと思います。
4 ピンクテープ写真集
ピンクな写真集?なんかアレな雰囲気だが・・
どんなパターンがあるのか。
森の中で見つけたあらゆるピンクテープを写真で一挙公開する。
またカラーも赤やピンクだけではない。色違いに意味はあるのだろうか。
最もオーソドックスなパターン
2つも3つも巻いているパターン
結び目の先が長い「おみくじ結び」
イエロー
白のテープ
オレンジ色
ブルー
グリーン
ブラック!
ゴールテープのように長いテープ(笑)
なんだか、昭和を生き抜いたサラリーマンが、あたまにネクタイをねじり鉢巻きに結んでいる姿に見えてきた汗
とにかく、あらゆる結び方、色、場所に至るまで様々だ。
これは私の勝手な想定だが、色で特別な意味は無いと考える。
ただ、営林署を始めとする林業関係者、行政側は赤やピンクを主に使用し、私的及び個人的につけるテープは、その他の様々な色なのかなと想像する。
5 私がピンクテープで道間違いを起こした事例6つ
1 丹沢 高指山(甲相国境尾根)
2 丹沢 不老山
3 八ヶ岳 編笠山(南八ヶ岳)
4 丹沢 檜岳(秦野峠山稜)
5 奥秩父 天理岳
6 丹沢 相州アルプス
1つ1つ詳細に解説します。ただし、GPS記録を取ってないものは記憶を頼りにしているため、実際の迷い場所と若干異なる可能性があることをご了承ください。
1 丹沢 高指山(甲相国境尾根)
青い線が間違えて歩いた進行方向。✕の地点が着地点。
丹沢不老山方面に行くはずが、道志村方面に進むという、ほぼ90℃方角が異なる進み方をしてかつ、林業用伐採目印のピンクテープを登山道と間違えて上記の地図のように進退窮まった。強引に進めば道路に出れるが、危険な沢下りがあり、ピンクテープも途中で完全に途切れた時点で道誤りに気づき、Uターンして登り返した。地図も読めない、持たない初心者の頃の出来事。✕の地点の途中で激しい獣臭に襲われ、近くにツキノワグマが居たと思われる。
2 丹沢 不老山
青い線が間違えて歩いた進行方向。✕の地点が着地点。
これも下山中のルートミスで、作業道の目印ピンクテープに誤って誘導される。このピンクテープは高圧電線の鉄塔まで続いており、鉄塔に辿り着いたらピンクテープが途切れたため、道誤りだと気づく。獣臭と共に、ツキノワグマの逃亡する姿を目撃する。全然登山と関係ないピンクテープであり、やはり盲目的に信じると痛い目を見る。強行して進まず、すぐにUターンして登り返した。
3 八ヶ岳 編笠山(南八ヶ岳)
青い線が間違えて歩いた進行方向。✕の地点が着地点。
珍しく登りでのルートミス。オリエンテーリング(地図読み競争?)用のテープが片付けられておらず、これが登山道を示していると勘違いしたため、完全に登山道から外れ、あまりに足元が荒廃しているため地図とコンパスで上記の位置にいると判断し、分かる道に出るまでUターンした。このルート自体が荒廃が進んでおり、あまりルートに選ばれないこともあってか、過去に行われたであろうオリエンテーリングのテープがキラキラと風になびいており、冷静に考えれば登山用でないことは想像できるはずだが、つい、判断を委ねてしまった。このまま強行したら結構危ないくらい道が荒れていた。鹿がたくさん居た。
これはあくまでイメージです(実際にこのテープが付けっぱなしだったのではありません)
オリエンテーリングのテープは、このようにイベント名や会社名が印字されたテープで、競技参加者が認識できるように制作されているものが多い。
上記のイメージは、トレイルランニングでお馴染み、フィールズのマーキングテープだ。ランニング中でも分かるほど、視野性に優れ、すごく目立って分かりやすい。
ただ、この八ヶ岳では、このイベント用テープのせいで1時間程度もコースロストしてしまったのだ。皆さんも気を付けて欲しい。
4 丹沢 檜岳(秦野峠山稜)
青い線が間違えて歩いた進行方向。✕の地点が着地点。
こちらは、破線ルート上でピンクテープに付いて行ったら明後日の方向に下山してしまったケースだ。本当はまっすぐ進みたかった。このテープはバリエーションルートのエスケープ用として山岳会などが施したか(かなり大がかりな数だったので)伐採地の目印用か、鉄塔と高圧電線メンテナンス用の管理道としてテープを付けたか分からないが、相当紛らわしい。しかしながら、ただでさえ不明瞭なので、作業者からしたら何かしらの目印が無いと困ることは間違いない。道路に出ることは地図上で分かっていたので、引き返さず強行して下山しました。
5 奥秩父 天理岳
青い線が間違えて歩いた進行方向。✕の地点が着地点。
私が大好きな両神山稜の天理岳。天理岳山頂から両神山方面へ進もうとすると、高確率で下山用ピンクテープに惑わされるだろう。上の地図を見て欲しい。天理岳のすぐ先に「?」マークがあるのがお分かりだろう。ここの尾根が広く、踏み後もなく、非常に不明瞭なので、そんなところにピンクテープがあったりすると、つい誘導されてしまう。下山ルート(破線だが)のテープが新しく目立つため、そっちに行ってしまいそうになる。ただしばらく歩けば方角がおかしいことに気が付く。気が付かないようなレベルの段階では絶対に歩いてはいけないルートである。ここは遭難も多発している。実は私も気づくのが遅れ、うすうす感じながらも半信半疑で歩いていたらGPSが警告を放ったので我に返り、Uターンしたのである。
6 丹沢 相州アルプス
青い線が間違えて歩いた進行方向。✕の地点が着地点。
またまた丹沢だが、これは旧道と思われる下山道のピンクテープに惑わされルートを外れてしまった。やがてテープは無くなり、全く人に踏まれていないトレイルなのが分かったため、ルートミスを認識。ただ、車道に出るのは方角から分かっており強行突破して下山した。(推奨しません)
これらのケースに100%共通しているのが、ピンクテープについて行った結果、道間違いを起こしたという事である。
いかにピンクテープを信じ過ぎてはならないという事が痛いほど身に染みたし、参考にするにしても地図が読めることが大前提なんだと思わされました。
そうは言いましても、気が付くと目がピンクテープを追いかけてしまう。
5 結論!山岳ビジターセンタースタッフの回答
ここまで読んできていかがだろうか。ピンクテープは分かりやすい目印だけれど、登山道を示すものとは限らず、信じてよいか不安な要素があることも分かってきました。
結論に至るかは分からないけど、登山道を管理している某山域の山岳ビジターセンターに問い合わせて、ズバリ、ピンクテープの正体について伺ってみた。
次のように語られていました。
ピンクテープは、相当の数が付けられていて、管理しきれてないし、収集が付かないレベルである。勿論、登山道であることをアシストするために目印としてつけているものもあるけど、必ずしもそうとは限らないです。
登山道とは違う、作業道のためのピンクテープもある。伐採や樹木の識別のためにマーキングする場合もあるんです。
ピンクテープではなく、ナンバリングしているケースも。
基本的にはピンクテープは道しるべとして、必ずしも推奨とは言えないので、地図を読むとかして、テープではなく、登山道中に設置される案内板を目印としつつ登っていただけると良いかと。との事です。
特に、登山道以外のバリエーションルートに印をつけることが好きな人が多く、登山道以外にもテープがたくさんつけられて収拾がつかない状況。
ピンクテープに惑わされて道に迷う方もいれば、ピンクテープのおかげで助かるケースもあるわけで、良い悪いは一概に言い切れない部分はあります。
私のたった一言の質問に、長くご回答いただきました(笑)
特に、ピンクテープは絶対合っているとは限らないということについては強調されておりました。
(ビジターセンターの回答はここまで)
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ただ、繰り返し山を登ったり、時にはピンクテープでルート外に行ってしまったりを経験することで、何となく掴めるものはあった。
この感じは、作業をするために管理されているルートっぽいな・・とか、
場所と特徴から、登山道ではないルートを示している雰囲気を感じ取ることは少しは出来る。それでもその制度を100%にすることは出来ないが。
今回は、このピンクテープを、私なりに徹底考察いたしました。
皆さんも、ピンクテープを目にした時、これが何を示すための目印なのか考えてみてもらえませんか?ではまた!