OSJ奥久慈トレイルレース攻略【竜のように登りゾンビのように散る】

OSJ奥久慈トレイルレース攻略【竜のように登りゾンビのように散る】

2019年5月12日 オフ 投稿者:

皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
今回は2018/06/03 、OSJ奥久慈トレイルレースに出場した内容を記事にいたします。
このエリアは「山と高原地図」に収録されていないエリアとなります。

奥久慈エリアとレースの概要について

茨城県の奥地、奥久慈エリアはとても自然が豊かで、奥久慈男体山を中心に山が連なっている。袋田の滝にバンジージャンプで有名な竜神大橋がある。勿論、その両方ともコースに設定されており、それを横目に大疾走が可能な嬉しいレースだが、そんな喜びも悲鳴に代わるほどの難関レースとなっているぞ☝

そんなこともありサブタイトルにもある、竜のように登りゾンビのように散るということで、大冒険を喫した後、無念のリタイアを遂げた。

攻略と書いておきながら本当に申し訳なく思います。まだまだ経験不足と、実力不足が露呈しますが、ほとんどの荷物を紛失するといった失態と、私なりの攻略ポイント及び注意点を記載しますので、少しでも参考になれば幸いです。

OSJのレースは、トレイルランニングにのめり込んでいる人であれば誰もが知っているシリーズである。パワースポーツが企画をしており、全国各地で通年でレースが企画され、OSJシリーズとして年間10戦程度行われているようだ。「OSJクオリティ」という言葉を耳にするが、私なりに解釈すると、あくまで自己完結できるスタイルをとるということではないかと思っている。サポートは必要最小限でエイドには水のみ、運が良ければクエン酸飲料のようなスポーツドリンク、以上。ってな具合だ。

実際、私設エイドを除き噂通りだったので、必要な補給食等は各自が準備して挑んでほしいと思う。救急セットも言わずもがな。

私がエントリーしたロングの部は50Km、累積標高4,000m以上、制限時間14時間。でもよく見ると、50km(59km)となっているので、むしろ60km!と驚くが、「そこがOSJクオリティだよ」 と、言われると思わず吹き出して笑ってしまった。制限時間14時間が猶予があると思ってエントリーしたが、罠だった(泣)

コースマップ

引用:パワースポーツ公式HP ※2018版

詳しく見たい方はhttp://powersports.co.jp/osjtrail/18_okukuji/course.htm

※コースマップから見てもアップダウンがエグいことが伺える

前日受付から当日のリタイアまでの顛末

OSJ奥久慈トレイルは、太子町の文化福祉会館「まいん」での前日受付になるのでよほど地元の人でない限り前泊が前提となる。

無事受付を済ませると前夜祭があり、若い人たちが集まって踊りを披露してくれる。それを見ながら、地元料理のおもてなしも楽しむことが出来る。私は名物の「奥久慈シャモ」の焼き鳥を食べたがこれが非常に濃厚で美味しかった。ここまではすごいぞ奥久慈!!ありがとう!OSJ! (笑)

車中泊をするため駐車場に戻ると、夜8時には物音一つとしない、闇になっていた。まわりの皆の手際の良さと慣れに徐々に嫌な予感を感じ始める。

前月に敗退した奥三河パワートレイル同様、ガチ集団によるレース展開になるのではないかと思うと体がガチガチに震えて眠りが浅かった。

朝になり、スタート会場に集合すると、筋肉の逞しいアスリート(男女共)ばかりであり、過酷なレースであることの現実を受け入れる。

紺野裕一 選手

引用:全国のトレイルランナーとつながるサイト「MtSN」

紺野さんは選手としてではなく、応援で駆けつけていた。恐らく同レベルのランナーが多数おられるのだろう。また場違いなところに来てしまったか。

スタートし、先ずは袋田の滝を目指す。すぐに着くが無論写真なんて取っている暇はなく、多くのランナーがキロ4分~5分を維持しながら疾走して少しでも好順位に付けようと突っ込んでくる。

第1関門の「持方」への登りに入った時に渋滞が発生した。ある程度上位につけたのに関わらずだ。周りの選手は出だしが遅れた!と漏らしていたが、この距離をキロ4分台で突っ込んでおいて信じられない発言だが、既に関門が気になるとのことだった。恐ろしいレースだな。と、思ったが、終わってみて考えると制限時間一杯で完走を目指すランナーはむしろもっと抑えてもよかったと分析する。第一関門は9:30到着。目標はペースを抑え10:00にするはずが、飛ばしすぎたようだ。まだまだレースマネジメントが出来ていない証拠。

奥久慈男体山へは本格的な登山感覚で登るコースとなる。岩をよじ登ったりロープを使ったりと狭い登山道を着々と登る。ここは意外と景色が良く、時折見える展望が気持ち良い。低山ながらにかなり高度を感じ、万が一転倒して崖から落ちたら数百メートル転落してしまう箇所もあったので、注意が必要だ。

男体山のエリアは少しの間、このような稜線を気持ちよく走ることが出来る。ここまでくると渋滞はやや、バラけてくる。(写真を見ているとまた走りたくなってくる理由は何故)

無念だが、この先少し疲れが出てきて、下りのちょっとしたところで変に力を入れた瞬間、足がつって大きく転倒。

こんな状況で無事完走が出来るのだろうか、不安に思いつつ、自分の体と対話しながら時折、時計と距離表示を確認して進んでいった。

男体山を下山、水分を補給し、いよいよ多くのランナーがリタイアするらしい第2関門の「竜神大橋」に向けて走ってゆく。

ここで妙に体が軽いことに気が付く。・・おかしい、何かがおかしい。こんな筈はないのだが、調子が良いのだ。

その答えは、第2関門で気づかされることになった。

物凄い高さの階段を登ると第2関門竜神大橋に無事到着した。ここで水分を補給すると同時に荷物チェックを行った。

ザックの中身がほとんど空っぽだった・・・

終わったーーーー

この不測の事態に冷静になり、何が無いのか確認を行った。

ライト、携帯、財布、食料の一部、これをどこかで落としていたのだ。先ほどの大きく転倒したところで間違いない。ザックのジッパーが3分の1くらい空いていたのでそこから落ちたのだろう。

別の袋に入れていたレインウエア、車のキー、緊急用食料は残っていたので、最悪の事態は免れた。

関門時間も刻々と迫る中、正直に事の事態をスタッフに告げた。

「必携装備のライト、携帯電話をはじめ、ほとんどの荷物を落としてしまいました。もう失格でしょうか」

スタッフは言う・・・

「まだ走れますか」

「・・・走れます」

トランシーバーで確認を取ってもらったが、それらしき紛失物の届け出はまだないらしい・・・

もう出てこないかもしれないな・・と覚悟を決めていると

「分かりました。ゼッケン№と名前は控えました。次に進んでください。お気をつけて」

ええ!い、いいの? さすが、OSJ

スタッフが臨機応変で有難いが、ライトがないと夕暮の山は難しいだろうなと、それに必携装備を持っていないことの後ろめたさが、一層足取りを重くした。

でも自力で行けるところまで行こう。ここでリタイアした多くのランナーとスタッフの暖かいエールと拍手を背に次の関門へと足をすすめた。

ここで今まで眠っていたトレイルランナーとしての才能が開花し、さらには順位をどんどんあげてゴールテープを切った。

と、ここでこの記事を終了させたいところだが、

体が軽く感じるほど実力が付いたと一瞬でも思った自分が情けない。軽いのは荷物を落としていたからだ。今後は絶対に荷物を落とさないように気を付けなければならない。ジッパーの確認、荷物の格納方法、今後注意しようと心に誓う。

以降のトレイルも足場が悪く、うまく進まないと滑り落ちてしまうような箇所が連続するエリアがあるので竜神大橋以降も引き続き用心いただきたい。

ボロボロになりながらも第3関門までの予備関門「東金砂神社」に着いた。私の足はここで終わっていた。だが、一応、進むことはできる。

第3関門。これを越えればゴールは限りなく近いらしい。しかし、関門時間があと1時間で閉鎖する。のこりの距離は10km。

つまりは10kmのトレイルを1時間で走破する必要がある。

奇跡を信じ、一生懸命走る。

結果、10分ほど間に合わず、第3関門「釜の平」で無念のリタイアとなった。

完走のコツは、熱中症と、水分、塩分、エネルギー切れに注意しつつ、足を残した状態で予備関門の東金砂神社で1時間30分以上の猶予が残っていることがギリのラインかなと感じました。

レースは終わったが苦しい時間は続いた。

リタイアバスで会場に戻るも、落し物は届いていないというのだ。

あきらめるしかないのか?

うなだれながら、制限時間を19時を過ぎて大会が終了を告げたときに最終ランナーとスイーパーが戻ってきて、その手に私の携帯やらライトやらが入ったポーチを拾ってきてくれていたようだ。

個人情報等確認し、無事受領。スタッフの方に何度も頭を下げ、お礼を言って会場を後にしました。

情けない内容となってしまいましたが、この記事を読んで今一度、落し物にご注意いただくきっかけにしていただければ、ここに文章にした甲斐があります。

参加賞のTシャツ OSJロゴ入り

裏面のプリント

大会で使用したゼッケン

DNFです。

いつかリベンジします。竜のように登り虎のように下りゴールすることを夢見て!ではまた!