
利尻島にヒグマは上陸するか?
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
直近でヒグマによる悲しい人身事故が起こってしまったこと、
さらには私自身が北海道に行き利尻山に登ったことも相まって、
そういえば、利尻島にヒグマが泳いで渡ることはあるのだろうか・・?と、
関心が高まるばかり。
利尻島は北海道でありながら、陸から離れた孤島であるため、ヒグマが生息していないと言われています。
そんな孤島に敢えてヒグマが泳いで渡るかどうかについて、
過去の事例と私の考えを合わせながら考察していきます。
是非、お読みください。
(北海道は市街地付近にも背の高い茂みなどがあったりするので、いつどこに潜んでいるか、常に油断ができません)
既に上陸していた
残念なお知らせです。利尻島にヒグマが確認された記録があります。
生息していないという理解は正しいと思われますが、偶発的に泳いで上陸した個体が過去に2度確認されています。
出典:利尻はなガイドクラブ ヒグマ上陸!?より
一度目は、明治45年5月24日、オスの300kgの個体が上陸し、再び北海道本土に泳いで戻ろうとしたところ、漁業関係者らが斧で仕留めたと記録されているようです。
写真のクマ、生きた状態で撮影された!?
と思いきや、喉元に銃が立て掛けられていますね。
引用:毎日新聞 有料記事 冒頭部分より
2度目は、1度目の記録から106年が経過した、2018年5月に利尻島でクマの糞らしきものが発見され、翌6月に無人カメラにヒグマが収められたことで、上陸の疑いが事実となる驚愕な出来事がありました。
ヒグマが居るはずがないと思い散策していた地元住民らは身震いしたことでしょう。
106年ぶりにヒグマ到来などとニュースになったようだが、あくまで人間が確認できたのが106年ぶりなのであって、その間、人知れず上陸していたことがひょっとすると、何度も何度もあったかもしれないのだ。
50年ぶりに伊豆半島で罠にかかったツキノワグマが発見されたのと同じように、居るはずがないという思い込みはもはや笑止千万。
がしかし、上陸後、定着して生息できるかは別の話で、目撃事例の無い106年間の期間、狭い孤島で誰にも見つからず、子孫を残し続けることは極めて困難と考えるのが普通。
はからずも、実際に利尻島を歩いた時は果てしなく広く、クマが生息出来てもおかしくないと錯覚するほど広く感じたものだ。島をぐるっと1周するのに45kmくらいの距離があるので、自転車で周回するのも億劫だが、当然、住宅地も点在する中でクマが生息するには狭すぎるのは間違いない。鹿やキツネなどの哺乳類も生息しておらず、餌も乏しい。
それで、2018年利尻島に上陸したヒグマ騒動の顛末ですが、最後にカメラに収められたのが同年6月下旬ということで、これを最後に消息が途絶え、9月には警戒も解除されたようです。
このヒグマがどうなったか定かではありませんが、再び泳いで戻った説と、島の中で餓死してしまった説が有力です。
6月下旬のカメラに映ったヒグマはやせ細っていたという情報から、恐らく泳いで戻る体力は残っておらず、道半ばで沈んでしまった可能性が一番高いかも知れません。
これでも泳いで戻れるなら、どんだけ体力あんねん!って突っ込みたいですよね(笑)
そもそも北海道本土から利尻島まで、もっとも距離が短い稚内からで19km。船で渡っても1時間半かかります。潮の流れを味方につけたにしろ、とんでもない身体能力であることは間違いありません!
ヒグマの驚異的な身体能力
このヒグマの雄姿を見てください。このたくましさ、クマというよりキングコングという表現が適切かもしれません・・・
重量も200kg~300kgある体格で、人間が敵うはずもありません。
利尻島で熊鈴を付けて登山をしていると、五月蠅いのでしまってくださいと言われたという登山記事を読んだことがありますが、念のため鳴らしておいた方が良い気がします・・・・。
19kmの距離を泳ぐのであれば、21kmくらいの距離の本州、青森県に上陸する可能性はないのだろうか?と、疑問が湧いてくる。
この議論は、利尻島に上陸すること以上に頻繁に議論に取沙汰されているようだ。
ヒグマは津軽海峡を渡るのか!?
ただ、こちらについては事例が無いとされていた。潮の流れなど距離云々よりも厳しい環境のようです。
古くは北海道とほぼ地続きだった時代には本州にもヒグマが生息していて化石も見つかっているが、その後絶滅した。1万年前の縄文時代には絶滅していたと考えられている。
引用:日本熊森協会
こちらは2020年、風蓮湖で、体長2メートルほどのヒグマがクマはうなり声をあげながら漁船に接近したときの様子を撮影されたものだ。
ヒグマは夏場に涼をとることも含め、積極的に水に入るようで泳ぎも得意。
画像を見ただけでかなり怖いです。
このように、ヒグマは驚異的な身体能力があり、利尻島に泳ぐことはやぶさかではない。人間と同じように色々な考えを持つクマがいて、人間を恐れる恐れないもそうですけど、中には海を渡って島に行こうと考えるクマも稀に居るというのが答えではないか。
また、人間に目視されていないだけで、思いの外、頻繁に上陸しているかもしれないし、上陸できずに途中で力尽きてしまったケースも考えると相当の件数があるかもしれない。と、私なら考える。
それは生命の神秘とも言えます。
確認されたケースはいずれも大型の雄。専門家によるとメスを求めて渡来していると考えられています。種を繋ぐために、ここまで生命力を発揮できるのは凄いと言わざるを得ません。
また、メスが子熊を守るための防衛攻撃も同じように種を繋ぐための生物学的な行動と考えると、物凄いパワーを発揮するのでしょう。
よって、やはり、ヒグマと人間は鉢合わせにならないに越したことはなく、撮影やエサやりのために必要以上に近づくなんて論外。地元の方にとっては常識と思いますが、距離を取って共存することを前提に、積極的に近づいてくる距離感の無い熊、人身事故を起こした個体は駆除をせざるを得ないと考えています。
人身事故ニュースの直後ということもあり、ヒグマに対する世間の意見はオーバーキル状態ですが、一方でシンボル的存在、愛される動物であるはず。
人身事故を引き起こさないために、何をするべきか。については、本州のツキノワグマも含めて、国として真剣に考える機会をもっと増やすべきである。