トレラン大会でのウォークマン(イヤホン)装着について
トレイルランニング大会中におけるウォークマン(イヤホン)装着についてお話します。
恐らく禁止事項としている大会が多いだろうから、さすがに着けている選手はいないだろう。
と、思いきや、時々見かけるんですよね。ホントに。
この件については、装着している選手、禁止している大会運営側、双方の議論が白熱しそうなので、
両方の立場に立って考えてみたいと思う。
私(筆者)は反対派です
まず初めに言いますと、私は反対です。というか、他人はともかく私は着けません。
何故なら、5感をフル活用しなければならない山の中で「耳」を塞いでしまうのが普通に考えて、あまりにも危ないからです。
耳を塞ぐ
「私には何も聞こえませーーーん!」
何かの謝罪会見ならともかく(笑)山で耳を塞ぐのは危険です。
上部からの落石は「ゴロッ」という一瞬の音で察知する必要があります。
野生動物の草をかき分ける音、鳴き声、走る音、よーく耳を澄まして聞き取る必要があります。
他にも沢山あるのですが、危険については初めに耳から得ることがほとんど。
したがって、音楽などを聴いている場合ではありません。
もっとも、夜行登山や周囲に大型獣の気配を感じた時は、熊鈴やラジオを全開にするので、音楽よりも煩くなってしまうのですが(笑)
果たして音楽を聴いているのか?
実際に、イヤホンを装着している選手に話を聞いたことがないため、
何故、リスクのある山でイヤホンを装着しているのか、本当の理由は確かめられていません。
ただ、本人だって、山では推奨されていないことは承知(だよね?)の上で着けているのだとすれば、
それなりの理由があるはず。そもそもイヤホンは着けていてもそれは音楽を聴いていないのではないか。
ということ。
ガーミンやスント、アップルウォッチなどのスマートウォッチからBluetooth接続で、ルートナビ、心拍数、走行距離や通過地点を聞くために骨伝導イヤホン等を付けているのではないか。ひょっとすると。
であれば、常に音楽が流れているわけではないでしょうし、最近は外部音取り込みの機能も優れており、
音楽を聴きながらでも、電車等の駅のアナウンス音から車や自転車などの通過音などの環境音まで拾ってくれるので、イヤホンを装着しながらもレジでのお会計やり取りから周囲音察知まで出来る機能は備わっている。
だからイヤホンを着けていても安全走行できますよ!という主張があるのかもしれない。
ただ、いずれにしても私からすれば、バイタルやルートナビは腕時計を目視で確認して欲しいと思うし、高機能イヤホンと言えど、耳を塞いでいることにはリスクを排除しきれない。
何より、大会運営側に対する配慮に欠けていると思います。
試しにインターネット検索してみましたが、
トレランでイヤホンを着けるべき!といった主張の記事は見当たらず、
このことから、どちらかというと、後ろめたい行為と理解されているのではないでしょうか。
後ろめたさがゼロだとすれば、それはよほど神経がズ太いか、マラソン大会と同じ感覚になってしまっているか、初心者の方でそういった知識が無いかのいずれかであろう。
運営者側の意見
宮地藤雄 選手
トレランの運営者側とすれば、事故の要因を最大限排除しなければならないので、当然イヤホンはして欲しくありません。ルール規定に禁止としているところと、していない大会がありますが、
どうやら、そのルールの ”抜け道” が利用されてしまっているようです!
以下、宮地選手のご意見です。
これからもトレイルランニングを楽しみ続けるために。
今回気になった骨伝導イヤホンを使用して走る選手の多さ。
大会ルールでは「ヘッドフォン禁止」なので、ルールに禁止されていないものはやっていいという考え方は、自分のパフォーマンスの最大化をするためという競技的な視点で判断すると書いてないことはokなのでイヤホンは現状セーフだ。なぜ「ヘッドフォン禁止」というルールがあるか?
落石があった際、誰かが呼びかけた時
緊急事態などで、係員が注意喚起する時
それらの呼びかけが聞こえるようにするためだ。骨伝導でもヘッドフォンでもどのボリュームで聞くかはその人次第であり、これらを禁止するのは何がしかの注意喚起が聞こえるようにという趣旨なので「ヘッドフォン・イヤホン禁止」と明記した方が良いと思う。
*運営に関わっていますので、これは提案します。宮地藤雄選手のnote記事より引用 https://note.com/fujiomiyachi1130/n/n6409e71cda28
いやいや、「ヘッドフォン禁止」なんだだからイヤホンなら良いだろう・・は通用しない!(笑)
これぞまさにヘリクツである。
耳を塞いで音楽を聴く行為(ウォークマン等)の全てを禁止していると捉えるべき。
なぜ禁止されているか分からないのだろうか?大会スタッフの呼び声が聞こえない、指示に従えない時点で通常失格に値する。山で耳を塞いだら危険に気づけない。事故を起こしてほしくない。
選手ならこういったルールの ”意図” も読み取るべきだろう。
熊野古道トレイルランニングレースでも注意喚起が行われていた。
過去にイヤホンを着用し音楽を聴きながら走行されて
いるランナーがいらっしゃいました。特に禁止事項として設けてはおりませんが、ロードに
は車両が走行し、また、トレイルにおきましても後続
するランナーや、一般のハイカーの方々もいます。そして、立哨員からの誘導の呼びかけに気づかない場
合があります。過去大会におきましても、立哨員から
の声に反応しないランナーがいらっしゃいました。聞こえていなかったのかと思います。
万が一の緊急事態の場合があります。『自分に限って
は大丈夫。』が命取りになりかねません。万全なコンディションで五感を存分に発揮しながらお
楽しみいただければ幸いです。
やさしく注意喚起されていますね。
こういったことに対し、装着している選手側の反論もあるかもしれない。
それが悪い事と決めつけするつもりはないので、後学として是非聞かせていただきたいです。
又、トレイルランニングの第一人者、鏑木毅選手の著書にも、トレイルでのウォークマン等の使用はお勧めできないことが書かれておりました。
トレイルランニング[雑誌] エイ出版社のアウトドアムック Kindle版 Amazon
全国トレランコースガイド[雑誌] エイ出版社のアウトドアムック Kindle版 Amazon
トレイルランニングはじめました。: 基礎から楽しみ方、おすすめコース&レースガイドまで Kindle版 Amazon
こちら上の2冊はkindle有料会員であれば無料で読めます。そして下の1冊は、メタボリックな一般のサラリーマンがトレランと出会い、ハマり、スポーツにのめり込んでいくストーリーと共に書かれていて、 ”あるある” の様子がとてもリアルです。勿論3冊とも全部読みました。鏑木選手のもっと古い著書も読みましたが、中古本でしか出回って無く、お高めでしたので、紹介はしません。
トレランにどう向き合うか。マナーや心構えを知る上で、本を読んでおくことも私はおすすめします。
まとめ
トレイルランニングにイヤホン等を装着することについての考察、いかがでしたでしょうか。
ルールやマナーに違反するし、仮に禁止されていなくてもリスクとして危ないです。
又、ヘッドホン禁止ならイヤホンはOKだ。という解釈もやめていただきたいです。
それでもトレランの大会に参加するたびに、イヤホン装着のランナーを少数ながらも毎回目する現状。
どうしても装着したいのであれば、大会ではなく、プライベートの登山でなら、完全に自己責任ですから好きに装着すれば良いと思います。とは言え、単独登山なら尚のこと怖くて着けれませんけどね。
こういったルールやマナーの常識が時代と共にまた変化してくるのかもしれませんが、
いずれにせよ、安全は大会運営側がどれだけ厳しくしても、選手側の意識が変わらないことには、意味を成さないので、安全にかかわる知識は是非備わって欲しいと切に願います。
ではまた!