【まだ冬山シーズンです】山形の吾妻連峰 西吾妻山で発生した遭難ニュースの状況
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
関東では春山登山のシーズン到来となっておりますが、標高の高いアルプスや東北の山々などでは依然と冬山シーズンが続いていることを事故等のニュースで思い起こします。
【山形】西吾妻山に6日入山・広島市の男性遭難か 警察など捜索も発見に至らず
米沢市の西吾妻山に登山に入った男性が遭難した恐れがあるとして、警察などが11日に捜索を開始したが、これまで見つかっていない。
遭難したとみられるのは、広島市の会社員・中田秋男さん(74)。米沢市の天元台高原にある宿泊施設から10日、「数日前から動かない駐車車両がある」と警察に通報があった。
車は中田さんが使用していたもので、白布温泉のロープウェイの駅の駐車場に止めてあった。
警察と消防は11日朝から23人態勢で捜索にあたったが、発見には至らず、午後3時半すぎにこの日の捜索を打ち切った。警察によると、携帯電話はつながらない状態だという。
真新しいニュースで、登山者の安否や結末が分かっておりません。無事であることを祈っております。
とはいえ、6日に入山したことに対し、捜索開始が11日であること、初期通報がご家族ではなく宿泊施設からであり、かつ入山後4日が経過していたことから、冬山の厳しさを考えると、一刻の猶予は許されない。
この時期に西吾妻山にいかれるのですから、厳冬期であることは承知かと思ってはいますが、広島からの遠方であることと、ロープウェイを利用していたことを考えると、相応のレベルではないか十分な下調べが無かった可能性は否定できない。
他の記事でも度々書いていますが、70歳代の方は動けるうちに思い出をたくさん作っておこうと積極的に山を登る傾向があり、この年代の山岳事故は突出して多い。
少し調べて見ると、やはりこの時期の西吾妻山は残雪が多く積雪期登山の装備で登る必要がある。
なだらかな山容の稜線は天候が悪化して吹雪いたりすると、お手上げのようだ。
当日は天気は悪くなかったみたいだが、時期とルートの特性上、深い雪の踏み抜きや、それに伴うルート見落としなどで時間がかかることが予想される。
自家用車があるので西吾妻山山頂到達、ロープウェイ利用のピストンコースと考えますが、帰り道の下山時では分岐点でミスを引き起こすリスクがあるなと感じた。
と、思ったら、実際にそのミスを引き起こしていただあろう遭難事例がありました。
事例4 西吾妻山 道迷い(軽傷)
1月30日(日)、西吾妻山を登山中の男性(53歳)が遭難し、行方不明になりました。男性はこの日9時ごろ、登山仲間の女性と2人で天元台スキー場から入山しました。10時30分ごろ山頂近くで別れて、女性は先に下山し、男性は登山を続けました。しかし、夕方になっても男性が戻らないため、女性は110番通報しました。31日朝から捜索が行なわれ、2月1日13時45分、宮城県警ヘリが自力下山中の男性を発見、ヘリで救助されました。男性は両手足と顔に軽い凍傷がありました。
男性は吹雪で戻るルートがわからなくなり、雪洞を掘って2日間過ごし、天候回復を待ったそうです。報道では不明でしたが、雪洞を掘るショベルなどの道具はあったのでしょうか。ツエルトや寝具は持っていなかったそうです。雪洞を掘ることができなければ、この男性は助からなかったかもしれません。また、発見場所は北望台の東約2kmということですから、西吾妻山から下山方向は誤っていませんでしたが、東へ行き過ぎてしまったのでしょう。いずれにしても、簡単な遭難ではなく、いくつかの的確な対応が重なったために生還できた事例だと思いました。
上記地図ではロープウェイ方面ではなく、藤十郎、烏帽子山、五色沼方面への方角に稜線に沿って誘導されてしまった例ですが、状況としては1月と5月の差はあれど、同じ道を辿った可能性が考えられます。標高を下げながら沢筋に下っていくことも考えられます。
上記の事例は遭難後、即日通報、翌々日救出という初期対処が早かったことと、雪洞を掘って体力の低下を凌いだことなどが功を奏し助かったであろうと、記事にも書いてありますが、考えられます。
今回のニュースの方は、捜索が打ちきりと書かれていますが、捜索自体はまだ1日しか行われていないので、段階的に捜索がなされると思います。登山届けが出ていますので、概ねの方角は絞っての捜索となるでしょうけど、ご家族や親族に共有できていないと登山届けも効果が発揮されず歯がゆさを感じます。
登山届けに書かれたルルートと乖離している場合、最悪は雪解け後の再捜索となってしまうことが予想されます。
5月や6月の微妙な季節は、下調べもしたうえで登る山の選定とスケジューリングにより注意しなければならなそうです。
まだこの時期は私では登れないなと思った次第です。
発見されることを願っています。ではまた!