消費者庁から措置命令の「クレベリン」が今も販売されるワケ

消費者庁から措置命令の「クレベリン」が今も販売されるワケ

2024年3月16日 オフ 投稿者:

写真はAmazon販売ページより引用

 

皆さんは、置き型の空間除菌剤「クレベリン」をご存じだろうか。

元々、知名度の高い商品であり法的措置のニュースで騒ぎにもなったので、知っている方も多いだろう。

 

特に消費者庁から景品表示法に触れることで行政指導を受けたことは記憶に新しく、

会社や商品に対して不信感を抱く人は少なくないだろう。

 

法令違反を起こしたのだから、そこは致し方ないところですが、ネットを調べると・・

「クレベリン やばい」「効果ない」「返品」「大量在庫」

などの検索候補が出てきて、結構な言われようだ。

 

にもかかわらず、今もなお売れ続けているのはなぜか。

結論から言うと、潜在的な需要があることと、商品自体が欠陥品ではないところにあります。

 

クレベリンのことを偶然思い出したので記事にすることにしたのですが、今回は

  1. クレベリンに一体何があったのか!?
  2. それでも売られるワケ

について、個人的見解も踏まえ、ご説明いたします。

 

クレベリンに一体何があったのか!?

空間除菌のクレベリンは、何がマズかったのか。

 

消費者庁は、置き型クレベリンを販売する大幸薬品に対し、景品表示法に違反したとして、同法第七条一項の規定に基づき措置命令を行いました。

これはどういうことかというと、

商品パッケージやテレビCMにおいて、ウイルス除去・除菌・消臭の効果が、室内に設置することで、あたかも謳われている通りの効果が得られるような表示をしていることを” 景品表示法” に触れると指摘している。

 

そこで消費者庁は、この効果表示の裏付けとなる合理的な根拠を求めたところ、大幸薬品は相応と判断できる資料の提供が出来なかったという。

これに伴い、消費者庁は課徴金として6億円の支払いを同社に求めました。

 

これらの顛末が、同庁より令和4年4月15日にニュースリリースとして一般公開され、マスコミなどにも取り上げられて世間が大騒ぎになった経緯である。

 

出典:消費者庁News Release より テレビCMの切り取り

なんでこれだけ騒ぐかと言うと、コロナ禍だったこともタイミングとしては大きい。

CMもかなり放映していたので、記憶には色濃く。

勉強中の学生の女の子の周囲に浮遊しているウイルスの塊をクレベリンの ”C” マークがどんどん食べているようなアニメーションが印象深い。

 

最近では、マウスウォッシュでも歯磨き粉でも除菌スプレーでもテレビCMや商品パッケージのイメージ画像などで、バイキンの塊を全部退治するのではなく、1個2個わざと残しますよね。

薬事法や景品表示法に触れないために。

 

ここが本件では、あたかもハッキリと効果があるような表示をしてしまったのがマズかった。という事になります。

除菌アイテムを、このコロナ禍をビジネスチャンスととらえて、儲けようとして前のめりになり過ぎた末路とも言えます。

クレベリン増産裏目で赤字 大幸薬品「コロナ需要読み違えた」

大幸薬品の柴田高社長は22日、最終損益が95億円の赤字となった令和3年12月期連結決算についてオンラインで説明会見を開き、空間除菌をうたった主力製品「クレベリン」で積極的な増産体制を敷いたことが裏目に出たとし、「新型コロナウイルス禍の需要を読み間違えた」と語った。

18日に発表した決算は、最高益を更新した前年から一転し、過去最大の最終赤字となった。コロナ禍でクレベリンが売れたため増産に踏み切ったが、効果が疑問視され需要が急減。大量の在庫を抱え、新工場は3年4月から稼働停止に追い込まれている。

柴田社長は「『欠品を許さない』という方針を社員がまともに受け止めてしまった。世間の需要と予測に大幅な乖離(かいり)があるのに社長の自分が読み間違えた」と言及。クレベリン増産について、「コロナという人類の天敵と戦う夢を描いたが、そういうものではなかった」と反省を述べた。

引用:産経新聞 経済 2022/2/22 17:59より

 

経験上、コロナに振り回されるとロクなことになりません。加え、 ”欠品は許さない”  ”失敗は許さない” ”遅れは許さない” などという、昭和のトップダウン的なスタンスも上手くいかないことが多いです。

勿論、熱意や鉄の意思が不可能を可能にしていく力を秘めているにしても。

 

マスクやアルコールスプレーも一時は品薄となり、法外価格で輸入品がAmazonで販売されていたぐらいであったが、あくまで一時的な特需であり、人の心理で言えば「希少性の原理」といった、希少なものほど価値があるように見えていた状態に過ぎなかったのだ。

マーケティングで考えると、生産が追いつき商品が出回ると、それに反比例し、購買意欲は落ちるといったもどかしさがある。

 

 

それでも売られるワケ

クレベリンを販売する大幸薬品は、この一連に対し、ホームページで詳細に報告している。

課徴金6億円を支払い、責任を全うした上で信頼回復に向けて誠意をもって社会活動を続けている。

6億は前代未聞の課徴金と言われているが、この課徴金は法に触れた商品の売り上げのうち3%相当の金額を徴収するとしている。ということは、クレベリンだけで約200億近く売り上げているということになり、したがって商品の利益率がどのくらいかにもよるが、6億は大して痛くはない。少なくとも倒産するほどの影響には及ばない。

給料30万円のサラリーマンが、1万円給与天引きされた程度のインパクトでしかない(笑)

株主は大激怒するだろうが。

 

 

クレベリンの販売も再開されている。

勘違いしがちだが、商品自体が問題になったのではなく、

商品のうたい文句が悪かったのだ。

 

今後は 「実生活空間(有人、居室等)での機能は確認しておりません」 などと包装に表示して、販売を続けていくという。

一定の風評被害とイメージダウンから、爆発的な売れ行きは難しいだろうが、私は根強く売れていく商品になると予想している。

 

それにはいくつか理由があるが、

そもそもクレベリンは、ずいぶん前(2008年頃)から販売されており、医療介護の分野では幅広く使われてきた歴史がある。

私も私生活や仕事柄、病院、クリニック、介護施設への出入りが頻繁にあるのだが、クレベリン専用の置台があるくらい、クレベリンが施設で実際にかなり利用されている。昔からこの目で見てきている。

医師、看護師の間でも身近なアイテムとして定着しているのだ。

 

それと、クレベリンなどの除菌商品で使われる ”二酸化塩素” や ”次亜塩素酸ナトリウム” は、

インフルエンザウイルスやノロウイルス対策に古くから活用され、このようなウイルスを不活化すると言われていることは、医療の一般教養として浸透していることもあります。

 

さらに、クレベリンを販売する大幸薬品は、ラッパのマークの正露丸でも有名で、昭和の時代から続くロングセラー商品の取り扱いに長けている。クレベリンもロングセラーといって差し支えなく、このことからも商品を大切にしているメーカーとして好感を持つユーザーも多いはず。

逆に数少ない主力商品に頼り過ぎているのも怖い面があるが・・。

 

されど、このいくつかの理由がある限り、クレベリンに対する一定の根強い需要は今後も続くはずである。

個人的には商品効果には過信し過ぎず、サポート程度の補佐的に捉える方が適切かと考えます。

よろしければお試しください。

【Amazon.co.jp 限定】大幸薬品 クレベリン 置き型 1ヶ月用×2個入