【不帰嶮】北アルプス後立山連峰 キレット夜行突破 (鹿島槍・五竜・白馬)

【不帰嶮】北アルプス後立山連峰 キレット夜行突破 (鹿島槍・五竜・白馬)

2024年2月3日 オフ 投稿者:

皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

北アの後立山連峰縦走という事で、今は真冬ですがこれは真夏の時の記録を書き起こしたものであることを始めにお伝えしておきます。

 

と、いうことで 2023.08.11(金)~2023.08.13(日)

北アルプスエリア、後立山連峰の扇沢から白馬三山、乗鞍までのロング縦走を見ていただきたい。

 

ポイントとしては、宿泊場の白馬岳にある村営頂上宿舎にチェックイン許容時間の夕方までに辿り着くために前日の夕方から入山、24時間登山という行程となっているのだが、

その間、危険なキレットを夜間帯に通過しなければならず、慎重な攻略が求められる部分にある。

実際、夜間は慎重に歩いたため、コースタイムはかかってしまった。

どうぞお読みください。

 

この登山の概要

日時:2023.08.11(金)~2023.08.13(日)1泊3日

天候:3日間共に快晴

メンバー:2名

エリア:北アルプス後立山連峰 長野県

登った山:爺ヶ岳(2,670m)、鹿島槍ヶ岳(2,889m)、五竜岳(2,814m)、唐松岳(2,696m)、白馬鑓ヶ岳(2,903m)、白馬杓子岳(2,812m)、白馬岳(2,932m)、小蓮華岳(2,766m)、白馬乗鞍岳(2,469m)

宿泊地:白馬岳村営頂上宿舎

ルート:

【1日目】
柏原新道登山口(16:15)・・・種池山荘(18:55)・・・爺ヶ岳南峰(20:00)・・・赤岩尾根分岐(冷乗越)(20:44)・・・冷池山荘(20:59)・・・布引岳(布引山)(22:10)・・・南峰(23:09)・・・北峰分岐(23:39)・・・鹿島槍ヶ岳北峰(23:44)・・・北峰分岐(23:59)・・・八峰キレット(00:57)・・・口ノ沢のコル(02:51)・・・五竜岳(05:14)・・・五竜山荘(06:09)[休憩 20分]・・・最低鞍部(07:39)・・・唐松岳頂上山荘(08:55)・・・唐松岳(09:35)・・・不帰キレット(10:21)・・・天狗平(13:19)[休憩 10分]・・・鑓温泉分岐(13:34)・・・鑓ヶ岳(14:47)・・・杓子岳分岐(16:18)・・・村営頂上宿舎(16:45)

【2日目】
村営頂上宿舎(04:20)・・・白馬山荘(04:30)・・・白馬岳(04:47)・・・三国境(05:45)・・・小蓮華山(06:18)・・・白馬大池山荘(07:48)[休憩 20分]・・・天狗原(08:34)白馬乗鞍岳経由・・・自然園駅(10:00)

累積歩行時間:約29時間20分

累積歩行距離:約38.9km

累積獲得標高  5,205m

スタート地点までのアクセス:マイカーで黒部ダム扇沢駐車場まで来て 柏原新道から入山 帰りはバスでマイカー回収

ワンポイント:8月と言えど稜線上の夜間は肌寒い。キレットは当然、夜間歩くべきではないが、崖の下が闇で見えない分恐怖心は少なくて済んだ。

ここでは、山と高原地図№34「日本アルプス総図」を使用しています。

山と高原地図 日本アルプス総図

 

眠かったが不帰のキレットは慎重に攻略し無事通過

黒部ダム扇沢の柏原新道登山口から入山しました。 16:15いよいよ始まるロングトレイル

日没前にかかわらず、多くの下山者とすれ違いました。

 

16時過ぎても容赦ない陽射し。クソ暑いです。

 

この日は、中部から関東の太平洋側にかけて台風が通過していました。ここ、新潟よりの長野は局地的に晴れたということだ。

 

通行注意の看板はあるものの、柏原新道は整備されており歩きやすい登山道だった。土砂崩れ跡?のザレ場にこの看板があった。

 

日没前に稜線上の種池山荘に着いた。ここまでペースは良好!途中、女性を追い抜いていて、山荘に着いた時、小屋のスタッフが予約の女性が来ないとかなり心配されていたので「さっき追い抜いたのでじきに着くと思いますよ」と伝えていたら、間もなく到着されスタッフの方は安堵されていました。

 

いよいよ夜行登山。爺ヶ岳に到着。

 

夜露に濡れるチングルマ。本来であれば花も景色も最高の場所なんだろうな・・

 

鹿島槍ヶ岳に到着。時刻は23:45。双耳峰の鹿島槍は離れた位置から見ると鬼のツノのように見えることから、後立山の「鬼ヶ島」と私は呼んでいる。

 

八峰キレットの手前の小屋。ここから先は危険区域。出発するのかしないのか、登山者(宿泊者)が居ました。

 

黄色い小判のように見えるのが「八峰キレット」の看板。断崖絶壁だが下は闇で見えない。慎重に進む。

 

絶壁の梯子場なども慎重にやり過ごす。

 

かなり時間がかかってしまったが、ゴジラの異名も持つ五竜岳の手前まで辿り着く。後方を見ると、ヘッドランプが2灯。キレット小屋の宿泊者が日の出前を見計らって出発か。これが正しい判断です。

 

五竜岳で日の出。高度感もさることながら最高ですね。

 

日の出待ちの登山者が結構いました。五竜岳は後立山の「ゴジラ」とでも呼びましょうか。登るのなかなか大変でした。危ない箇所もあります。

 

日が出てきてようやく稜線の全貌が明らかに。

 

唐松岳に到着。

 

そうなると、本コース最難関である「不帰嶮」を通過するエリアに差し掛かる。

Google earthなどの3D地図で見てもかなりエグい断崖絶壁となっている。

我々が通過した後日、ここで遭難者が出て8日ぶりに救助されたニュースも目新しい。

「おーい」声をたどって発見 北アルプスで遭難の男性、8日ぶり救助

北アルプス・唐松岳付近で、埼玉県の会社員の40代男性が遭難し、行方不明になってから8日後の20日、救助された。

17日正午ごろ、唐松岳北側の不帰嶮(かえらずのけん)付近にいた登山者から「富山県側から『助けて』という声が聞こえる」と通報があり、隊員や県警と県のヘリが捜索にあたった。

隊員の谷本悠基巡査部長は連日、やぶをかき分け、地上で男性を捜した。「おーい」と呼びかけると、「おーい」と返事があったり、なかったり。

引用:朝日新聞デジタル 2023年9月22日 10時00分記事より

 

時期的に低体温症も気を付けなければならなかったと思うので、大変だっただろうし、よく助かったと思う。予備の食料と水分を持ち合わせていたのではないか。

不帰嶮は(かえらずのキレット)とも呼ばれており、その名から遭難してしまうことが暗に示されている気がしてならない。

このように崖の岩場を通過するのだが、霧が立ち込めていたり見通しが悪い瞬間も多く、進むべき道を誤ると遭難することも考えられる。間違った道を下手に進むと引き返すことでさえ困難に。

 

断崖絶壁です。さすがに足がすくみました。3点支持を正しく行い慎重に進めば特別問題がないという解説が多いが、私も異論はありませんが、とは言え、落ちたら終わりです。

撮影に関してはカメラを取り出すと3点支持が保てないので、動画を回しながらの通過になります。

 

 

無事通過した時の安心感がハンパない(泣)

でも今度は、落雷などが怖い。午後になったし。

写真は白馬杓子岳。ここも断崖絶壁だった(笑)

 

前後しますが、先に通過したのがここ、白馬鑓ヶ岳。ここも登るのキツかった。

 

このあたりで登山開始から24時間経過し、少し幻覚が見え始めた。

  

宿泊地の町営宿舎。 右の写真は町営宿舎から見る白馬鑓ヶ岳。

チェックインを済ませ、夕食は18:00。バイキング形式でたくさん食べられるぞ。

 

3日目の朝、日の出前に白馬岳に登り、朝日を待つ。

  

この瞬間だけは他の何物にも代えがたい心の喜びがある。

 

  

日の出はまさに一瞬の出来事。 右の写真は白馬岳の影法師。

 

 

雲海の横を歩きながら小蓮華岳を通過。 そして白馬大池に到着。

アルプスの景色を堪能する。天気が素晴らしいね。

白馬乗鞍岳のオベリスク。

 

栂池からロープウェーで下山。

長い天空の旅だった。また、写真には出来なかったが、夜間は仰向けになり星空を見上げることも出来た。日本列島を台風が通過する中で、まったく雨に降られずに済んだのは本当にラッキーだった。

下山の方角を親不知にすることで日本海側まで抜けることが出来るのだけれども、体力的に難しかった。

ルートと計画を再考して親不知ルートも試してみたいと思う。

 

八峰キレットと、不帰のキレットについては、夜行登山や雨天時での通過はお勧めしませんので、基本的には避けるようにしないといけない。ではまた!

 

この登山についてより詳細に確認されたい方はコチラからどうぞ(山と渓谷オンライン)