熊に体当たりされ崖から落ちたニュースについて
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
既にご存じの方も多いかも知れませんが、2022年12月上旬に奈良で起きた事故になります。
「熊に体当たりされて落ちた」登山道で熊に遭遇した男性…その後襲われ30m崖下に熊と共に転落 男性は呼びかけ応じず 15日朝から捜索行われる
12月14日、午後0時40分ごろ、奈良県上北山村の山中で会社員の男性(28)から「登山中に上司がクマに襲われ崖から転落した」と警察に通報がありました。
警察によりますと、男性は上司の男性(46)と共に、14日午前7時すぎから上北山村に登山へ来ていましたが、午前9時ごろ登山道で熊と遭遇したということです。その後、上司の男性が熊に体当たりされ、崖から約30m下に熊と一緒に転落したということです。転落後、部下の男性が崖を下りて確認したところ、上司の男性は頭にけがをしていて倒れていて、呼びかけには応じなかったということです。一方、熊は転落後に立ち去りました。
部下の男性は携帯の電波が入る場所まで下山し、警察に通報したということです。
14日に通報を受けた警察は吹雪で天候不良のため、山に入ることができなかったということです。
初めてこのニュースを目にした時は、上司が熊に体当たりされて崖から落ちるなんて、何かのネタかと目を疑いましたが、リアルな事故であり、その後の行方が非常に気になる案件でした。
しかし、残念なことに転落された男性の死亡が確認されました。
【速報】クマに体当たりされ46歳男性が崖下転落したか 奈良・上北山村の山中を捜索中に1人の遺体を発見 身元を確認中 一緒に登山の部下が14日「通報」
警察と消防は、15日朝からおよそ20人体制で捜索していますしたが、午後0時半ごろにに山中で1人の遺体を発見しました。
出典:Yahooニュース 2022/12/15 8カンテレより一部抜粋
お亡くなりになられた男性のご冥福をお祈り申し上げます。
ニュース速報の一連を見ていて、なかなか珍しいケースだけれど、可能性としてはそこが熊の生息地であればありえることだなと、認識します。
場所は、奈良県で紀伊山脈系の大普賢岳の登山道上ということだ。
上司46歳、部下28歳という2名パーティーということだが、時期的に雪山登山になるだろうから、それなりの経験者であったと推察します。吹雪という天候悪化の中での登山なので、かなりの熟練者か素人さんかの両極端のパターンが考えられます。
ちょっと、今日行こうや!・・というノリでは無いとは思います。
上司と部下が行く場所と言えば、居酒屋の方が思いつくのですが、
登山に出掛けるなんて、信頼関係ができていることも想定できる。
上司が崖から突き落とされた後、部下がその崖をおりて身元を確認しに行っているようですが、崖を30m降りるというのはかなりの落差です!
落差が10mを超えると生存率が下がっていくと言われておりますが、まず崖を降りていくこと自体が困難だと思うのです。私の技術だったらたぶん無理です。登山道ならともかく。
それか、私も「いざ」となったら自らの命を顧みず崖を降りるのだろうか。
私もパーティー登山することもあるので、これについては考えさせられました。
落差にもよるのでしょうが、いち早く救助を要請するべきか、生存していることを信じて自ら救出するべきか。とはいえ、落ちた崖を降りるという事は2次災害の要因になるのではないか。なので、この行動は私としてはおすすめしない。
ニュースなので色々な方が見るでしょう。登山をしない方も。
なので、本当にクマが突き落としたのか?と疑いを向ける声やコメントも出てきそうだ。(私はまったくそう思っていないが)
熊は2足歩行することもあって、熊と人はよく例えられる。
「静岡の熊」と例えられている偉人もいる。
望月将悟 選手
井川小河内地区出身の望月さんは、国体の山岳競技静岡代表を契機に数々のトレイルレースに参加し、数多くの優勝を経験してきました。2年に1度開催される、富山県から静岡県までの山岳地帯を縦断する、日本屈指の過酷なレース『トランスジャパンアルプスレース(TJAR)』では、2010年から2016年大会まで4連覇を達成。この他にも2015年の東京マラソンでは、40ポンド(18kg)を背負って3時間6分16秒という驚異のタイムで完走し、ギネス記録も保有しています。現在は、静岡市消防局に勤務し、山岳救助隊員として活躍しています。
トレラン界では、『しずおかの熊』の呼び名をもつ望月さん。熊の表情はすっかり消え、爽やかで柔和な表情を浮かべながら井川に対する想いや自然と関わることの楽しさを語ってくれました。
出典:南アルプスde深呼吸 記事より
この望月さんの例えは、名誉あるものなので、良いと思いますが
ただでさえ、事故で深く傷つき、動揺している中で「奈良の熊はあいつじゃないのか?」などという声がかけられないことを願います。胸騒ぎがします。
職場関係なので、取引先含め周囲への影響は大きいでしょう。
まずはゆっくり休んでいただいて、登山では常にこのようなリスクを背負っていることを認識したうえで、いつか、また登山をしてくれたらいいなと思いました。
・・・・・
大普賢岳という山は、私は行ったことが無いのですが、奈良の山でもこの辺りは熊の目撃情報が多いエリアなのだそうです。
今回の ”ベアアタック” は、子熊連れの母熊の防衛行動か、若熊の好奇心によるものか、冬眠しない熊が狂暴化していたかなどが想像できますが、ツキノワグマは基本、好んで人間を攻撃する習性は無い為、今回は本当にタイミングが悪く、不幸な結果となってしまった事例になるでしょう。
私もよく参考にしているツキノワグマ研究の第一人者、米田一彦さんも言及しています。
クマに遭遇した時、絶対にやってはいけない“左右の動き” 日米のクマ研究者が伝授する「伏せて首をガード」
14日、奈良県上北山村で登山中の46歳の男性がクマに襲われ、転落死した。
クマに遭遇した時、命を守るために必要な対応について、特定非営利活動法人「日本ツキノワグマ研究所」の米田一彦さんに聞いた。
クマはもう少しで冬眠ですが、雪が降る前、気象が悪くなる前に動き回って餌を捕るため、今かなり活発に動き回っていて、そこで衝突が起きているので、十分注意が必要です。
クマを見たら、木に隠れるというのが私のやり方です。 隠れて動かなければ、クマは無害なものだと思い、無視して行きます。 クマは深視力、深く見る力が弱いようで、前後の動きは距離感がつかみにくく、あまり見えていませんが、左右に動くと発見されやすくなります。 だからクマからは遠ざかるのが一番です。 左右に逃げては絶対にダメ、そして山では足場を確保する。ひっくり返ると人間が小さくなった弱い動物だと思って、攻撃してくる率が高くなります。
3000件近くの事故を知っていますが、何をやっても完全というのはなくて、一番最強のクマスプレーであっても9割は助かるけど、残りは事故になることがアメリカの調査でわかっています。
しかし、ひとたびクマに体当たりされたら致命傷は避けられないという米田氏。 まずは、伏せて一撃目をかわすことが重要だと指摘する。
一方、危険を減らすためにも、鈴を付けて歩き、クマを目撃したら鈴を鳴らして周りに知らせることが大事です。鈴は安価で一番効果があります。
出典:Yahooニュース FNNプライムオンライン 2022/12/20記事より一部抜粋
流石は米田さん、勉強になります。
ただし今回のケースでは、不意打ちだったと思うので、伏せるとか後ずさりするといったリスク回避は不可だったと思います。
しかしながら、熊鈴は付けていたのだろうか・・?
熊鈴を着けていれば、先にクマに気づかせて逃がすことができていたかもしれない。つまり、先ずは熊鈴です。
このブログでも、熊の生息する山域で登る場合は再三、熊鈴を着けるようにアドバイスしている。リスク回避の第一歩である。
米田さんの記事から私が重要に感じたポイントは2つ。
熊鈴の他には、「山では足場を確保する」というコメントだ。
これは、比較的新しいけど世界中の方に閲覧されている超有名なYoutube動画。
秩父の二子山でツキノワグマの不意打ちを受けるという内容になります。
ショッキングで閲覧注意。
この方は、体当たりされるものの、致命傷を避け、足場をしっかり確保した上で、地の利を生かし、最終的には撃退に成功している超貴重映像です。
この高度感から、最悪は本件ニュースのように、数十メートル転落もあり得たケースだったかと考えられる。
ほぼ群馬側の埼玉ですがこのエリアも熊が出ますよね。
近くの両神山には今年、2回ほど予定をしているので気を付けたいと思います。
いかがでしたでしょうか。
今回は、熊に体当たりされ崖から落ちたニュースについて、徹底考察してみました。ではまた!