2025-11月 西丹沢での遭難事故(女郎小屋)
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
私のホームグラウンドである丹沢については常日頃、ニュース報道等アンテナを張っているのですが、こと西丹沢については毎年秋のシーズン以降になると事故報道が必ずといっていいほど発生します。
丹沢に訪れる登山者は多いので、どうしても確率的には上がってしまいますが、そのなかでも西丹沢は自然が深く、一定の遭難リスクがあります。
西丹沢で遭難か、秦野の59歳男性が死亡 家族が「連絡つかない」で捜索
26日午後3時5分ごろ、山北町玄倉の山中で、秦野市渋沢上1丁目、無職の男性(59)が意識不明の状態で倒れているのを、神奈川県警の山岳救助隊が発見した。
引用:カナロコ 事件事故 | 神奈川新聞 | 2025年11月27日(木) 22:37 有料記事より抜粋
お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
この記事では、玄倉の山中で59歳の男性が無くなられたことしか確認できず、事故の背景がまったく分からない。
丹沢自然学校PRさんの投稿
秦野にお住いの59歳の方が24日に出かけ帰宅しないためご家族が通報し26日に女郎小屋沢で倒れているのを山岳救助隊さんにより発見されその場で死亡が確認されたとのことです
滑落されたらしい
ここまでの情報で初めて状況が推察できます。12月になりしばらく続報を待っていましたが、特に情報はないため、これ以上の内容は分かりません。

玄倉といえば、玄倉林道、ユーシンブルーで穏やかな林道になり、事故というイメージは少ない。ところが、一歩ズレると数々のバリエーションルート、崩落地、クライミング、沢登の場所が点在するので、実は結構キケンだったりする。
2019年~2023年頃までは落石の危険により通行自体が禁止されていた玄倉林道。
今回の遭難事故を自分なりに推察してみる。
まず、女郎小屋という存在について。
こんな奇抜な名前の小屋で、ある程度丹沢に精通する私が知らないはずがないので、実際は「小屋」を指してはいない。
実際にあったとしても、寝ている時にオバケの女郎に襲われるのではないか?と気が気ではないだろう(笑)
話を戻し、女郎小屋とは女郎小屋沢ルート上のコルを差しているとの事。
引用:サワグルイさんの 西丹沢 女郎小屋沢より
玄倉川を渡渉して、沢登コースに取り付く。
引用:サワグルイさんの 西丹沢 女郎小屋沢より
すると、ご覧のような10m~15m程度の落差の滝を遡上する沢登ルートが現れる。
引用:サワグルイさんの 西丹沢 女郎小屋沢より
このようなV字の急峻なゴルジュも超えながらいくつかの沢と滝を登るコースになっているらしい。結構絶望的で、普通の登山でこのような道が出るなら、それはもはやルートを外れていて遭難していることを意味するほど、酷な道だ。
だが、ワクワクはする(行かないけど)
引用:サワグルイさんの 西丹沢 女郎小屋沢より
そして、ニュースで語られた女郎小屋とは沢を乗り越えたところにあるコルを差していて、サワグルイさんの記事によると窮屈な場所なのだそうです。
女郎小屋沢で倒れていたということですので、59歳男性は、この女郎小屋沢ルートの沢登り中に滑落されたものと推察します。
11月24日に入山し、家に戻らず家族がすぐに通報し(恐らく通報は25日)、捜索隊によって26日に発見されたというのは、タイムリーであると言える。
行き先が家族に伝えられていたり、玄倉バス停付近の売店の登山ポストに入山届けが出されていた可能性が高い。
また、沢登りであることも伝えられていた可能性が高く、沢登ルートが捜索範囲となり、すぐに発見に至っている。
単純に行動不能なのであれば、季節がら2日間なら沢の水もあるし、低体温症さえ防げれば生存可能な期間であるが、発見時に亡くなられていたのであれば、滑落した時には既に息は無かったのではないでしょうか。
15mの落差はマンションの屋上5~6階から落ちるようなものなので、助かる見込みは少ないです。
とても楽しそうなルートなのですが、ご本人はかなりのベテランだったと仮定しても、唯一、お一人で行かれてしまったことは悔やまれるかもしれません。
私が拝見する限り、沢登とクライミングは2名以上のパーティーで入山するのがセオリーかと思っています。
女郎小屋沢、中々魅力的な沢ルートです。
このルートで、立て続きに滑落事故が発生しないことを祈っています。
ではまた!
過去の西丹沢の遭難事故はこちらです。



