2025最新!パワーハラスメントの推移
パワーハラスメントを始めとする、各種ハラスメント行為の報告件数は増えているのだろうか?
これだけ、ハラスメントに関して厳しい関心が集まる現代社会であっても、中々ハラスメントが減らない理由にはどのような背景があるのだろうか。
年末ということもあり、ハラスメントの推移について、調べてみました。
元となる統計資料は令和5年度(一部令和6年度)のもので確認しておりますが、現時点で確認できる最新の内容でお伝えしてきたいと思います。
ハラスメント相談件数は増えている

厚生労働省発表によると、パワハラに関する労基への相談件数は右肩上がりです。
2020年度 14,974件
2022年度 50,840件
2023年度 60,053件
件数が増えているのは、企業の大小にかかわらず、パワハラ防止法が施行され関心が高まったことによる影響が背景として考えられます。
労働者が声を上げられるようになったのは良い事だと思います。
令和6年度の厚生労働省、労働統計調査によると労災における精神障害等の認定件数が833件と過去最多となっていることもあり、メンタルの問題が顕著です。
業務効率化、人材不足、結果重視が求められる中で、会社においては上司部下間での調整が非常に難しくなってきており、それがハラスメントに至るケースも多いのでしょう。
ハラスメントの傾向

令和5年、厚生労働省委託事業、職場のハラスメントに関する実態調査報告書によると、10年前には見られなかった特徴もあらわになってきている。
これは単純に件数のグラフではなく、増減傾向を示すグラフになります。
これを見ると分かるように新たに「顧客からの著しい迷惑行為」が含まれており、いわゆる ”カスタマーハラスメント” が増加している傾向となっていた。
カスタマーハラスメント略してカスハラは最近では注目度も高く、銀行や郵便局を始め様々な施設や店舗窓口で注意喚起のポスターが貼られていることからも、増加傾向に対し関心を集めていることにも頷ける。
ひと昔、ふた昔前は、顧客側に土下座を要求するなんてケースも耳にしましたが、今では到底容認されなくなってきています。
一方で、ひと昔前では多かった、セクハラ、マタハラ(育児休業等)については減少傾向にあるという。
セクハラに関しては、研修等も行い、長い年月をかけて取り組み続けた結果がでてきているのかなと思うと同時に、今は男性も育児休暇を取得する時代になっているので、経営者だけでなく労働者側の知識も備わってきているように思う。
主なハラスメントの内容

例えば育児休暇の同僚を尊重しなければならないのは当然のことと理解していたとしても、2人1組のチームの片方が度々休暇を取り、片方だけに業務の負荷がかかったとき、人間感情がありますので、つい、皮肉や不満の一言が出てしまうこともあるでしょう。勿論、それは仕事の相談として会社や上司に申し伝えるのが正しいのですが、つい休暇を取る本人に言ってしまうこともあるでしょう。
つまり、どれだけハラスメントが認知されてもゼロになはらないということ。
ところで、最近ではどのようなケースが「ハラスメントを受けた」と感じているのでしょうか。同じくハラスメントに関する実態調査結果報告書では次の内容が記されている。
| ・スメルハラスメント(臭いなど)
・身体障害であることを傷つける発言 ・同僚へのモラルハラスメント ・男性が力仕事をすることが当然である旨の発言 ・趣味の強要 ・飲み会のときの不適切な言葉遣い ・ハラスメントハラスメント |
中々根絶するのは難しい考えさせられる内容でした。これを著しく減らすのは難しい!今時のハラスメントだなぁと思わせられます。
スメルハラスメント
スメルハラスメントは、当然耐えられないニオイに耐え続けるのは辛いので、何かしら上手く対処していく必要があります。自分自身も気を付けているからこそ言いたくなる気持ちも分かりますが、ニオイに関しては体質や独自の体臭など個人差があるので、それについて誹謗中傷と捉えられる発言は慎まなければなりません。体と衣服を清潔にして香料の強くない制汗剤などで緩和する努力は可能な限りしていただくように相談していく形となるでしょう。私もカウンセリングをした時に、何かしらの理由で毎日お風呂に入らない習慣がある人から、体のニオイで迷惑を掛けなくないので出社したくないという相談もありました。外国人労働者も増えて、文化や宗教の違いもあるので、本当に難しい課題だと感じます。
男性が力仕事をすることが当然である旨の発言
これは言われても私は何とも思わないけど、(逆にお茶くみなどは女性がやるのは当たり前と言われても仕方がない事を言ってるよ?と心の中では思うかも)中には、それをハラスメントと感じる男性もいると言う事です。
趣味の強要
これは一昔前はよくありましたが、未だにあるのが少々ビックリです。
ゴルフをやろう。営業ならゴルフくらいは嗜んでおかないとうちの会社では続けられないよ?などの理由で半強制的にやらせるなどがそれに相当する。
釣り、麻雀、パチンコスロット、競馬、酒・・などがありそうです。良かれと思って誘ったとしても誘われた側は非常に苦痛に感じている可能性があるので注意が必要ですね。
飲み会のときの不適切な言葉遣い
飲み会の時の不適切な言葉遣いは色々あるでしょうが、無礼講や下ネタなどが代表かと思います。酒が入ると、とたんに好き勝手言っても良い風潮がありますが、お酒の場では当然お酒を飲まない人も同席しているし、飲んでいるからと言って内容によっては不愉快に思うものもある。下ネタなどは特に気を付けるようにしていますが、逆に女性側から下ネタを言われてドン引きした経験があり、それが顔に出てしまって気まずくなったこともあったので、上手に立ち振る舞う難しさを実感しています。お互い気遣いばかりだと飲みの席も楽しくないでしょうから、難しいですよね。
ハラスメントハラスメント
何やねん!(笑)と思われそうですが^^;
「今の言葉、それってハラスメントですよ?」
と、何を言っても事ある度にハラスメントを指摘することを指します。
上司が部下からそれを言われ続けた結果、何も言えなくなって鬱に陥るケースも昨今では増えてきているでしょう。労働衛生統計の精神疾患等の労災認定件数にこの事例が含まれている可能性は高いです。
時代の変容と共にハラスメントの内訳も変化することが分かってきました。
よって、都度対策についても見直しを含め、取り組む必要があります。
ハラスメントの対策

ハラスメントの対策として有効なものは何があるのか。
外部の相談窓口を設置することなどは、法的な対応措置の1つとして当然であるにしても、日常の業務に置いてどのように未然に緩和するかがカギとなります。
どの調査結果(最近の調査も10年前の調査も)から共通しているのは
職場の風通しを良くすると言う事
日頃から、時々で良いので、同僚、上司、さらにその上司くらいまでの広い範囲でディスカッションしたり、1対1でも相談できる関係作りが必要です。
不満が爆発する理由は、コミュニケーションの機会がほとんど取れない状況の時に発生します。
部署やチーム全体で共有できれば、関係者が増える程問題が無視される可能性は低くなります。
とはいえ、人の確保や設備や業務量などの問題があり、負荷を低減するにしても限界がありますから、いかにバランスよく個々のパフォーマンスを発揮させながら、労働者が生き生きと働く会社に出来るか、経営者の手腕がより問われる時代が来ていると言えます。
どれだけ技術が発達して便利になっても、会社を維持する難しさは残念ながら上がってきていると感じます。
また、ハラスメントについて声を上げることが推進されてきた結果、ハラスメントに該当するかしないか微妙なものから明らかに該当しないものまで訴えられてしまうハラスメントハラスメント問題も悩ましい。これらの対応に追われるのも大変だ。
言ったもの勝ち、泣き寝入り。この風潮が顕著にならないようにバランスを取っていくのが次のフェーズかと考えます。カスハラに関しても然り。
ではまた!
