労災でもっとも多い『転倒』について、傾向と統計から解説
皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
日頃から労災等の統計などに目を通しています。
労働災害については、死亡事故は減少傾向があるものの、
負傷等の労災発生は、ここのところ毎年増加傾向となっていて、理由は簡単で、勿論、労災は隠さずに報告する傾向になっている背景を前提に、
女性労働者の増加や、外国人労働者の増加、高齢労働者の増加が明らかな社会情勢そものが労災の可能性が高くなりそうなものばかりなので、よほど対策しないと、今後もかなり増えていくことが予想されます。

令和6年度の休業4日以上の死傷者数は135,718人

かなり多い数字ですが、事故の型別においては「転倒」が最も多く、36,378人を占めている。次いで、腰痛等発生、墜落/転落が多い。
登山の事故においても、同様に転倒が多いので、「人は転んで怪我をするものである」と一層認識する必要はあるでしょう。
労災では別々になっているが、転倒と墜落/転落は、類似しており、仮にこの2つ要因を1つにまとめた場合、いわゆる「転倒/滑落」系の労災が大多数を占めているではないか。
※情報源 出典:厚生労働省 令和6年度の労災発生状況を公表 より
どのような状況で職場で転倒/滑落をするのか

・濡れた床に足を滑らせて怪我をする
床が濡れた要因=塗料や油、エアコンの水、モップがけ清掃の後
・段差でつまづく
つまづいた要因=大きな荷物を抱えていたため段差が見えなかった、敷いているマットが段差を隠しそれに気づかなかった、作業スペースエリア内にちょっとした段差があり何度も行き来するうちにつまづく
・墜落、転落する
落ちてしまった理由=通路を塞いだ障害物(ドラム缶など)を登って越えようとした時に足を滑らせる、屋根を上るための梯子から足を滑らせる、屋根の上の作業中にボルトにつまづいた勢いで屋根を踏み抜いて墜落
ちょっとした転倒はともかく、屋根から落ちるとなると、命の危機に直結します。
高齢労働者はリスクが高い

まだまだ動けると過信しがちですが、体の筋力では下半身から徐々に筋肉が落ちてくるので、踏ん張りが効かず、倒れ込みやすくなります。
さらに、視力の低下で薄暗い場所での小さな障害物も気づきにくくなり、必然的に足をひっかけやすくなります。
身体機能は55歳あたりから低下を感じ、60歳以降からそれが顕著になってくるので、65歳まで働くのが当たり前の時代、この年齢層の労働者が増えてくる中で、やはり「転倒」を中心にこれからも転倒による怪我での労災が増えるのは間違いないと考えます。
下半身が弱くなってくるので、どうしても転倒の回数は増えていきます。
皆さん、本当に気を付けてください。
日頃から登山で足腰を鍛える

山登りなどのスポーツで若い頃から鍛えていると、筋力の維持には効果があります。
80歳でまだ散歩ができるのか、寝たきりなのか、結構寿命への差も生じるでしょう。
私は登山をするので、かならず山登りを例えに出してしまうのですが、登山は登山で、遭難や転倒滑落のリスクは高いし、これまた高齢登山者を中心に事故が多発している状況です。
だからこそ、安易におすすめすることはできません。がしかし、デコボコの不整地をバランスをとりながら転倒せずに歩きとおすことは、日常の生活や段差などの移動時にその経験値が生かされることになり、登山の経験が極めて有効だと言えます。
登山を行わないまでも、体操や日頃のちょっとした運動で、加齢によって転倒のリスクが自分に迫ってきていることを認めた上で、コツコツと取り組むことが大事です。
労災の統計と傾向を用いながら解説しましたが、
職場での転倒を注意するきかっけになれば嬉しいです。でまはた!