
マラソン・トレランでも競馬と同じ戦略「逃げ・先行・差し・追い込み」を当てはめられるか?について
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
マラソンはペース配分が重要ですよね?
同じように、競馬もペース配分を戦略としています。
さて、競馬では ”大逃げ” や ”直線ごぼう抜き” など極端な走り方が時々見られ、そういった胸のすくようなパフォーマンスはエキサイティングで見ていて白熱する。
このように、競馬で言う「逃げ・先行・差し・追い込み」の戦略が果たしてマラソンやトレイルランニングにも当てはめることができるのだろうか?という疑問を持つ方は、私だけではないはず(笑)
これをトップ選手や、マラソン解説者に尋ねたら鼻で笑われそうである。
距離もスピードも競技性も違うため、混同するべきではない。
まして、競馬は馬だ。比較などけしからん!と怒られるかもしれない。
だが、敢えて聞こうじゃないか。
性質は違うものの、強いてそれに近い形で当てはめることは出来るはずだ。
と思って、ネットでググったら、すでに同じ質問を書き込みしている不届き物がいました(爆笑)
なんと!同じこと考えてた人がいた!
まあ、それは置いておいて、このブログらしく少し、考察してみましょう。
中距離走なら当てはめられる!?
特に私が学生の頃、競走馬ではステイゴールド、ジャングルポケット、テイエムオペラオー、マンハッタンカフェなどが活躍していて、若者や女性にも浸透し競馬人気が出始めた時代だったと思う。
それゆえに、部活動などで長距離走の戦略を「逃げ」とか「追い込み」とか冗談半分で宣言し合って楽しんでました(笑)
「逃げ」はマラソンで言えば、先行型とかポジティブスピリットに例えられ、
「追い込み」は後半型とかネガティブスピリットに例えられた。
けれども、本来は「逃げ」はスタートから飛ばして後者を完全に振り切る走り方であり、「追い込み」はゴールテープが見える最終一直線を猛ダッシュする奇抜な戦法と捉える方が正しい。真面目に言うと、「先行」「差し」の2択では??
このように考えると、ペース変動が緩やかなマラソンに競馬を当てはめるのは少し無理があるし、
一方で、50m~400mなどの短距離走に至っては「追い込み」もくそもない(笑)
しかしだ、800m~5,000mくらいの中距離走ならどうだろうか。
終始全力疾走するわけでもなく、ともあればダッシュで勝負を仕掛けるというレース展開は短距離走と長距離走と比べても中距離走は ”競馬” のそれに近しい。
なので、
短距離は当てはまらない。
長距離は当てはまるが、少々無理がある。
中距離は結構当てはまる。
という形で結論付けたい。
「逃げ・先行・差し・追い込み」それぞれの戦略の特徴
当時、ダービースタリオンというゲームが流行っていた。
「とにかく逃げろ」=逃げ
「なるべく前にいけ」=先行
「道中は中断待機」=差し
「抑えて直線勝負」=追い込み
このように、ペース配分については概ねこの4つの戦略から選ぶことになっていた。
逃げ
スタートから先頭または先頭集団につけて、そのまま逃げきる形でトップを目指す。
また、駆け引きとして早い段階から先頭集団から飛び出し、見えない位置まで引き離してから、追いつける判断を与えないような、あきらめを誘った戦略も含まれる。スタミナ切れも計算済み、あとは出たとこ勝負という面も。出たとこ勝負と書くと、無鉄砲と思われるかも知れない。しかしながら、周囲のランナーもその走りに揺さぶられたりプレッシャーを与えられるなど、心理的攻撃にもなり、実力以上の相手に勝てるなどのミラクルも起こりうる。バテてきたとき、追われる恐怖を味わい続ける副作用も。
先行
スタートから先頭集団あるいは、先頭集団のすぐ後ろに付け、なるべく前にいるようにし、「逃げ」のような極端な飛び出しは行なわず、集団の中で競り合い、最後は前に出て押し切る作戦。前半を重視しているため後半にかけてはどうしても疲労でペースが落ちるが、それを最小限に抑えるため、多少は温存も意識した上でのハイペース巡行。
差し
スタートから中盤までは、第二先頭集団あたりの後ろか、さらにその後で中断待機し、様子見。中盤からペースを上げる、或いはスパートをかけて飛び出し、先頭集団を超えてまんまと差しきる戦略。前半より後半を早く走る計画性に加えてスピードも必要。競馬では標準的な走り。
追い込み
普通、レース後半は徐々にペースが落ちてしまうところ、逆に、後半になるほどペースが上がっていく走り方がこの戦法。途中までは後方に甘んじる我慢も必要。後半に全てを賭ける。抑えすぎるとゴールまでに先頭集団に追いつけず間に合わないことも起こりうるが、うまくいけば好タイムを叩き出せ、ベストタイムを目指すのに最も適しているとも考えられている(ネガティブスピリット)。最後の直線で全力疾走するラストスパート型もこの戦略である。
無理やりマラソンに合わせるように解説してみました。
どれが良いのだろうか。これは人ぞれぞれのタイプがあって、合う合わないがありそうだ。だからこそ、 ”これが良い” と、言い切れるものではない。
フルマラソンの世界記録樹立時のペースは、近年ではいずれも後半型のネガティブスピリットだったというデータからも、後半追い込み戦略が記録を狙う上で推奨されているようだ。
記録を狙うなら差し・追い込みである一方、勝負で勝つなら逃げ・先行と主張するランナーのブログも見受けられた。
考えて見れば、私の5km(17分)、10km(32分)などのベストスコアは、後半型のネガティブスピリットで出したので、技術的にはかなり難しいが、追い込み作戦が上手くハマると、好タイムが叩き出せることを身をもって経験した。
だがしかし、レースと言う大舞台になると、興奮していることもあり、周囲のランナーのハイペースに巻き込まれる形で、抑えきれずつい、飛ばしてしまいがちである。
だから後半バテる。
競馬で言えば気性が荒く飛ばして失速するパターンと同じで、私のYoutubeチャンネルのレース動画のように、後半失速するヤンチャな展開ばかり(笑)
ネガティブスピリットが成功した時は、レースを最初から半分捨てている時だった。
逃げ・先行・差し・追い込み について、オリンピックレベルのアスリートはどうだろうか?
独断ながら、代表選手のペース配分を確認してみた。私の好きなレジェンド選手より抜粋。
逃げ代表 「福士加代子」選手
引用:スポニチアネックス
マラソンでは奇抜な走りと、明るいキャラクターがお茶の間でも人気の福士加代子選手。奇抜と言うのも本来、福士加代子選手はトラック選手であり、マラソン選手ではない。3000m、5000m、10kmなどの中長距離トラックで、道場破り的に当時の日本記録を樹立しまくった超スピード選手なのである。記録が伸び悩み始めた時にマラソンに転向し、超逃げ切り戦法で2位以下を引き離して独走するも30km過ぎてから徐々に失速し、ゴール前のトラックでハンガーノックになり、何度も何度も転倒しながらリタイアせずゴールテープを切った姿は、勝負には負けても観客の大号泣と大喝采を得た。積極的な逃げ独走走法が彼女の持ち味だ。彼女がレースに出るだけで「何か起こるのではないか」という期待をさせてくれる選手。
先行代表 「川内優輝」選手
引用:日本陸連
埼玉県庁で公務員として勤務する傍ら、100回以上のマラソン出場経験値を武器にプロの実業団をバッタバッタと倒す姿は憧れの一言。流行のネガティブスピリットが当たり前となる中でも川内選手は序盤から積極的に先行し、様子を伺うばかりの他の選手に動揺を与えた(と思う)
ストライドを大きく、おもいきり手を振りまわすような独特なランニングフォームに苦しい表情が合わさり泥臭い走りのイメージだが、毎月のフルマラソンレースに耐えられる強靭な肉体と数をこなしている経験値は、勝つための技術と考えていて、大会を練習としていること、レースプランの意識に至るまで、意外にも技巧派。これに駆け引きの度胸と勇気、思い切りの良い判断力が彼の持ち味として加わる。彼もまた「何かやらかしてくれるんじゃないか」と思わせてくれる選手。
差し代表 「高橋尚子」選手
引用:株式会社ARS
高橋と言えば差し、差しと言えば高橋。と言うのも、師匠である小出監督の「35kmで一番早く走れ」という教えの影響が考えられる。調子が良い時でも決してペースは上げず、自重した安定ペースで刻み、中盤~後半を重視した走りから、やや後半型の差し戦略と言えます。ここで紹介している福士、川内、土佐3選手のどちらかというとストライド走法寄りかつ個性的な走りなのに比べ、高橋尚子選手は完全なピッチ走法で、かつ番狂わせをあまり起こさないタイプという点においても対照的である。
キロごとのスプリットタイム計算、後半スピードが上げられるペース配分、そして42kmの中で体力を無駄なく使いきる方針。これらを考えるだけでなく、忠実に実行する姿はマラソン界の優等生といったところか。
2001年のベルリンで世界記録を樹立した時は熱狂に溢れ、マラソン人気や、ピッチ走法の火付け役となり、後続選手の教科書的模範となったことだろう。
今は、フォアフット走法、厚底カーボンシューズの台頭、スピード強化、勝つための戦略的な部分についても、2000年代と大きく変わりつつある。
されど、歴史を作った一人と判断して間違いないだろう。
追い込み代表 「土佐礼子」選手
引用:日本陸連
私がよく参加する板橋Cityマラソンでは、ほぼ毎年ゲストに来てくれることから、身近に感じられる選手だ。努力と根性が持ち味の土佐礼子選手。ネガティブスピリットというよりは、失速しがちな終盤でもう一度” 持ち直す” 勝負根性を兼ね備えていると言える。フルマラソン40キロ以降ではめっぽう強い。「後半勝負でしか自分の持ち味は表現できない」は、名言だ。今後はママさんランナーとして、後世にマラソンの楽しさや、健康的なスポーツライフなどを普及してくれることに期待します。抜群の勝負根性を持った走りは見ていて楽しく白熱する。当時からマラソンをやらない周囲の人たちもそんな彼女の走りを見てファンになった人も結構いた。
いかがだろうか。
記憶にも残るレジェンド級の選手でこうも違いがあると思うと、勝ち負けは関係なくても競争をすることって楽しい。
トレランについてはあまり言及できませんでしたが、マラソン以上に長時間に及ぶことから、逃げ・先行・差し・追い込みという分類以上に「戦略」が重要になってくる。
登山と同じで、危険ポイントや補給場所、休憩場所などのチェックも欠かせない。
年齢を重ねると、どうしても基礎体力が落ちてきます。
そうなると、なおのことペース配分は重要になってくる。
自分の体力 + 戦略 で、経験値や技術面では若者に劣らない走りで、長くランナーでありたいですよね。
どうですか?走りたくなってきませんか? ではまた!