知られざる未成年による介護の過酷さ ヤングケアラーとは
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
介護と言うと何を思い浮かべますか?
親が高齢(80代)になり、自立した生活が送れなくなると、その子供(50代)が介護をする。
そんな風景が目に浮かびますよね。
「そろそろ親の介護が必要だから時々実家に帰らないといけないんだよね」
なんて会話をしばしば耳にします。
ところが、小学生や中学生が、親や兄弟の介護をしている実態があり、
壮絶な負荷がかかっていることについては、あまり表沙汰になりません。
経済的、時間的にある程度余裕のある大人でさえ、介護は大変なのに、
加えて知識や体力的にも劣る小中学生が介護をしなければならないなんて、
これがどれだけ辛いか、想像に難くありません。
厚生労働省によると、本来大人が担うとされる家族などの介護や世話を日常的に行っている18歳未満の子供のことを ”ヤングケアラー” と定義しているそうです。
この言葉、知っていましたか?
ヤングケアラーについても時々クローズアップされるようになってきたので、
実態を調査しつつ、今日はこのことについてお話しようと思います。
どうぞお読みください。
ヤングケアラーとは?
先ほど説明した通り、本来大人が担うとされる家族などの介護や世話を日常的に行っている18歳未満の子供を指します。
18歳未満の子供の親が80歳以上なのかというと、そういうわけではなく、足が不自由で車椅子だったりとか、肉体的又は精神的障害を抱えていたりとか、日本語が分からない(母国が日本ではない)とか、アルコールやギャンブルの問題を抱えていたりとかが含まれる。どれもハードな内容だ。
いずれにしても、これらのハンデキャップを学校通いながら子供がケアするのは過酷である。
モノマネ芸人、ハリウ リサとその母親ヴィルマ
浜田雅功のモノマネで有名になった、お笑い芸人ハリウリサも、日本語がほとんど喋れないフィリピン人の母親と日本での生活の狭間で、からかわれたりとか、親を怨むほどの苦労があったとか。
出典:X(旧Twitter)より
「結果発表~~!!!」なんて言ってる場合じゃない程、苦労があったんですね。
でも、ハリウリサさん、努力を積み重ね、いい結果発表ができそうですね?(笑)
自らの半生を歌う楽曲『ヴィルマ』がリリースされ、母親の名前がままタイトルになっており、当時の思い出を歌っていますが、年甲斐なく、聴いていて泣いてしまいました。
厚労省と文科省の報告によると、ヤングケアラーの該当率は、中学生で5.7%、全日制高校で4.1%、定時制高校で8.5%、通信制高校で11.0%という結果があります。
定時制や通信制は、家庭事情があることも多いのでパーセンテージが高いですが、全日制であっても、20人~30人に1人はヤングケアラーがいるというのは、私が子供の頃を思い出してもクラスに1人は兄弟や親の面倒を見ないといけない人がいたことを考えると、リアリティを感じます。
乗り越えて欲しいし、苦労した分、報われて欲しいと願います。
きれいごとではない
偉いね、大変だね、なんて言葉を気軽に欠けられるほど、きれいごとで片付けることは出来ません。
ヤングケアラーが抱えることとして「人に言えない」ということが挙げられます。
すなわち、表面化しないので、周囲の中にヤングケアラーがいるかどうか分からないケースが多いという事です。ひょっとすると、担任の先生すら知らないケースもあったかもしれない。
というのも、今は時代が変わりつつありますが、当初は家族に障害者がいるだけで、陰口を言われたり、からかわれたり、いじめがあったりすることがありました。
肌の色が違う、国が違うだけでも似たようなことがありました。
だから言えないのです。だれにも。
ヤングケアラーに対する社会的支援が届きにくい中、人知れず介護に勤しむ若者がいるという現状があることについて、あまり注目されません。ヘトヘトな状態が日常化していくことが想像でき、看過できません。
ここまで力強く言う理由として、私自身既に20年以上親の介護をしているからです。
私の父親は私が20歳の頃、通勤中に脳出血で倒れ、以後半身麻痺の障害者になり今に至りますが、父親は当初55歳、まだ若かったのです。
かくして、20歳で長男である私は介護を担うことになり、18歳未満ではないので厳密にヤングケアラーには当てはまりませんが、どれだけ介護がたいへんだったことか・・・・・・・!
私は会社含め、周囲に親の介護をしていることをオープンにして話しまくっていたため、支援や理解を得られており、恵まれていたと思います。
父親は今、高齢者施設に入っていますが、それでも都度会社を休まなければならないこともあり、バリバリ働きたいビジネスマンからすれば足かせと言っても過言ではありません。
もちろん、家族を見捨てるわけにはいきませんから、介護は欠かせませんでしたが、会社も理解してくれ、そういう意味で本当に感謝しています。
会社の理解が無ければ、何故アイツは有給ばかり使ってるんだ!と後ろ指を指されかねません。先ほどもお伝えした通り「言えない」従業員もいるので、介護で休んでいることが伝わっていない可能性もあります。
残念なことに、周囲が理解してくれなかったり、そもそも人に言う勇気がないヤングケアラーはたくさんいて、とても不利と言えるでしょう。
学校に遅刻する、授業中につい眠ってしまう、宿題や課題が出来ない、提出しなければならない書類が遅れるなど、あたかも本人に問題があるかのように捉えられかねません。
これは問題です。
ヤングケアラーが抱える不利な点
ヤングケアラーが不利な点について、少し角度を変えて考えて見ましょう。
それはヤングケアラーが大人になった時です。
恐らく、大人になったからと言って、介護から解放されるわけではありません。
最初に立ちはだかる壁に、就職活動があるかと思います。
高校大学を卒業する時、就職面接などを経験すると思いますが、これは私も経験しているのですが、
当然面接でヤングケアラーなんて言葉は使えないし(そもそも面接官は知らない可能性高い)
学生時代、フルで学業に時間を費やせた学生と比べると、経験値で不利になる可能性があります。
学生時代何をやってきたか?は面接の重要視ポイントになりますが、勉強や部活をする時間を犠牲にして費やした介護の時間は評価されません(私はそうでした。面接ではスルーされました。)
(ひょっとすると、介護の会社への面接ならば、絶大な評価になる可能性もあるが・・・)
苦労を知らない同年代に負ける気がしない!という超絶な自信と気概がオーラとなって逆にアピールできるなら良いのですが、誰でもこれが出来るわけではありませんし、
定量的に考えて、学業に費やす時間が違うのですから不利ではありますよね。
利点もあった
前項で述べた ”同年代に負ける気がしない” と思える自信を得ることは出来ました。
介護を通じて、医療の知識や、介護にかかわる補助の制度や申請や介護施設などについてもとても詳しくなったと思います。何の因果か、今の仕事にもその経験が生きているという・・^^;
経験したこと、苦労したこと、勉強したこと、トレーニングしたことなどの積み重ねは、何らかの形で生かそうと考え試行錯誤することは大切かも知れません。
介護にはどうしてもお金がかかるという切実な問題がありますが、どこかで前向きに捉え、利点に着目する姿勢は必要と自分に言い聞かせるようにしています。
支援は必須である
生活保護と同じように、本来不要な人への支援、本当に必要な人への支援が行き届かないといった面がありそうなので難しいが、特にヤングケアラー(未成年)に対する支援は積極的に行っていただきたい。
ひいては若者の支援につながるからである。
ただでさえ、若年層の割合が少なくなってきているので、収める年金や税金を上げるばかりではなく、若者の中でも特に支援が必要な層として分類し、資金或いは労力を軽減できる策を施して欲しいと願うばかりです。
今現在、ヤングケアラーを支援するNPO法人や、セーブザ・チルドレンのような募金集団はありますが、彼らを法的に支援する制度は無いものと私は認識しています。
これからどのように法整備されていくか、アンテナを張っておく必要があります。
ではまた!