2023年~2024年 連続発生しやすいエリアの山岳事故ピックアップ3選
皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。
山で滑落や遭難事故が発生する場所は大抵同じ場所で発生する傾向があり、
これは皆さんもよくご存じなのではないでしょうか。
にしても、ここまで連発するものかと目を疑いたくなる時が時々あります。
場所に偏りがあるかもしれませんが、
直近、2023年~2024年本日までに発生したものに限定し、連続発生した山岳エリアを3つピックアップしていきます。
事故でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
その壱 西丹沢
ケース1 西丹沢 檜洞丸ルートツツジ新道周辺
発生日時 2023/11/16
発見日時 2023/11/19
場所:西丹沢ビジターセンターの東側約2.3kmの山中
状況:単独
要因:下山時の滑落か?(詳細は報じていない)
山北町・西丹沢で遺体発見 横浜の70歳男性か、帰宅せず家族から不明届
19日午前11時40分ごろ、山北町中川の県立西丹沢ビジターセンターの東側約2・3キロの山中で、男性が死んでいるのを松田署の山岳救助隊が発見した。
署によると、横浜市港北区に住む男性(70)とみられ、16日に日帰りの予定で1人で同センターから入山。男性が帰宅しないため、17日に家族から県警に行方不明届が出されていた。
男性は登山ルートから少し離れた場所で倒れており、同署が死因や身元の確認を進めている。
引用:カナロコ 事件事故 | 神奈川新聞 | 2023年11月19日(日) 18:25より全文抜粋
ケース2 西丹沢 畦ヶ丸ルート
発生日時 2023/12/16
発見日時 2023/12/16
場所:西丹沢ビジターセンターの西側約600mの山中
状況:13人のパーティー登山
要因:下山時、幅約60cmの登山道からバランスを崩し約55mの滑落
下山中の71歳女性滑落死 神奈川・山北町
神奈川県警松田署は17日、同県山北町の山中で、川崎市多摩区の無職、青木春江さん(71)が16日に登山道から滑落し、死亡したと明らかにした。
署によると、青木さんは16日、13人の登山グループで同町の畦ケ丸山(1292メートル)に登頂。午後3時ごろ、幅約60センチの尾根道を下山中に約55メートル滑落した。県警山岳救助隊などが発見したが、頭を強く打っており、死亡が確認された。
引用:産経新聞 2023/12/17 20:09 記事より
考察
西丹沢ビジターセンターの東側と西側でそれぞれ同時期に発生している。西丹沢は丹沢山地の中でも山深いエリアであり、表丹沢に比べると人が訪れない静かなるエリアだ。難易度もやや高く、滑落も定期的に発生している。70歳男性、71歳女性ということで、偶然にも同じ年代であった。
70歳代は普段から登山などの運動されている方であればまだまだ元気で山を登ることが出来る。ただ、80歳以降は好きなだけ登る、というわけにはいかなくなるだろうということで、動ける70歳代のうちにたくさん山を登っておきたいという70歳代はとても多い。私は70歳代の方と山を登る機会が多いのですが、皆さんそのようにお話をされています。
よく語られるのが、単独は危険ということですが、単独でなく上記の13人パーティー登山でも滑落は普通に発生しています。特に下山時に膝などのふんばりが思いのほか効かず、転倒から滑落に至るケースが後を絶ちません。西丹沢は私が登っていてもとてもハードに感じます。
経験と体力を過信しすぎないようにし、山選びをするのが良いのかもしれません。
その弐 奥多摩町
ケース1 川苔山
発生日時 2023/11/14
発見日時 2023/11/14
場所:川苔山の登山道
状況:2名(夫婦)
要因:登山道から50メートル下の沢に滑落
ケース2 サス沢山
発生日時 2023/11/11
発見日時 2023/11/14
場所:サス沢山の沢
状況:単独
要因:登山道から300メートル下の沢に滑落か?
東京・奥多摩町の山中で登山客の男女2人の死亡確認 ・・・
秋の行楽シーズン、山岳事故相次ぐ
きのう午後2時ごろ、東京・奥多摩町氷川の 「 川苔山 」 で、神奈川県の女性(64)が登山道から50メートル下の沢に落ちる事故がありました。
警視庁によりますと、女性は夫と2人で下山中に足を滑らせたとみられ、山岳救助隊などが駆けつけ病院に運ばれましたが、その後、死亡が確認されました。
「 川苔山 」は秋の行楽シーズンには多くの登山客で賑わいますが、滝のすぐ近くを歩くコースが特徴で、過去にも滑落事故などが相次いでいたということです。
また、奥多摩湖周辺のサス沢山では、今月11日から行方不明となっていた40代の登山客の男性がきのう、登山道から300メートルほど下の沢で倒れているのが見つかり、死亡が確認されました。
引用:TBS NEWS DIG 2023年11月15日(水) 18時23分 配信より
考察
川苔山は常に滑落の事故が絶えない印象である。私が登ったことが無いので詳しく解説することはできないのだが、どうにかならないものだろうかと思いふける時がある。
川苔山の登山道にある「足毛岩の肩」辺りが、連続して滑落が発生している場所のようで、今は進行方向を外さないよう侵入禁止ロープが張られている。
同年10月には70代男性の遺体がこの崖の下で発見されており、8月にも60代男性の滑落事故が起きている。又、2003年5月には母親の目の前で娘さんが150m滑落するという痛ましい事故も起きています。
いったい、この山はどれだけの人の命をのみこむのだろうか。決まって同じ場所で発生する代名詞ともとれる場所ではないか。私が確認する限りでは全て下山時に発生していた。
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東京の山を知る上で読んでおくと良いかもしれない。
その参 戸隠連峰
発生日時 2024/02/23
発見日時 2024/02/29
場所:戸隠連峰西岳のP1尾根
状況:滑落者2名 それぞれ別々のパーティー
要因:AM7時頃に41歳男性滑落 AM10時半頃58歳男性
遭難相次ぐ…戸隠連峰P1とは 「難易度は槍ケ岳・穂高岳と同レベル」【長野】
長野市の戸隠連峰で発生した山岳遭難についてですが、3日以上経った今もこの雪の影響で捜索が出来ていません。男性2人が相次いで滑落したのは「P1(ピーワン)尾根」と呼ばれる難所です。
■戸隠地区山岳遭難防止対策協会・清水正道 前救助隊長 「難易度は日本でも、槍ケ岳、穂高岳と同じくらいの厳しさになる。冬は特にベテランというか経験者じゃないと無理な所。垂直の面を登っていくのが8割くらいある。夏だってミスしたら落ちたら終わりですよ。下も岩場ですから、平らなところは無いので。」 警察によりますと滑落した男性のうち1人は社会人の山岳会に所属していました。それなりに経験があったと推測されます。
■戸隠地区山岳遭難防止対策協会・清水正道 前救助隊長 「前の日に雨降りましたからね、なんせね、それが急激な温度変化で状況が変わりましたから、スリップしやすい状況だったと思いますけど」 2人とはいまだに連絡がとれていません。
県警はこれまでに3回ヘリで救助に向かいましたが視界の悪さや風の強さから捜索を断念。
速報】戸隠連峰の難所「P1尾根」で滑落 神奈川県の41歳男性が死亡 遭難から6日目…熊の遊び鎖場から約50メートル下の斜面で発見 栃木県の男性は発見に至らず
2月24日、通称「P1尾根」と呼ばれる上級者向けコースで別々のパーティーの神奈川県の41歳の男性と栃木県の58歳の男性が滑落しました。 遭難から6日目、29日午前、県警ヘリで現地付近を捜索し、神奈川県の男性を発見、死亡が確認されました。 男性は戸隠連峰西岳P1尾根北側(標高約1660メートル)の熊の遊び鎖場から約50メートル下の斜面で発見されました。 栃木県の男性は発見に至らず、
引用:Yahooニュース 長野放送 2/29(木) 18:45配信より
最後に紹介しますのは戸隠連峰。
戸隠連峰は蟻の戸渡りと呼ばれる稜線があり断崖絶壁で有名である。その稜線へとつづく場所をP1尾根と呼ぶ。近づきたくない山域で未だに行っていない。それを厳冬期に行くのだからベテランに違いは無い。
お伝えしたいポイントとしては、連続事故が起きる場所は決まって同じ場所であることに加え、上級者やベテランでさえも例外ではないという事なのです。道迷いも然り。
発見された41歳男性は滑落後しばらくは返事があったというが、難所は通報後すぐにかけつけることは難しく、6日目にようやく駆けつけるも事尽きていた。一方でもう1名の栃木県58歳男性はこの時点ではまだ見つかっておらず、更に下に滑落してしまった模様だが、その後発見されたのだろうか。続報が見当たらないので状況は分からない。雪解け後に再捜索か。
3つのエリアをピックアップしましたがいかがでしたでしょうか。
間もなく春、多くの登山者が山に戻ってきます。
最後に埼玉県警から引用した近くて危険な両神山エリアでの直近の滑落と道迷いを参照します。
(注:結構な言い方しましたがそれだけ魅力的な山です)
3月21日 両神山 単独 20代・女性 道迷い
6月17日 両神山 単独 70代・男性 滑落(重傷) 6月17日 両神山 50代・女性 滑落(重傷) 7月22日 両神山 40代・男性 滑落(重傷) 8月1日 両神山 単独 40代・女性 滑落(重傷) 10月11日 両神山 単独 70代・男性 道迷い 10月24日 両神山 単独 50代・男性 滑落(死亡) 11月11日 両神山 70代・男性 滑落(重傷) 11月21日 両神山 単独 50代・女性 滑落(死亡) 12月9日 天理岳 単独 70代・男性 道迷い |
両神山はとにかく滑落に注意です。天理岳はコンパスが無いと道に迷います。
そこに山があるから人は登るので、総じて同じ場所で事故が起きてしまうのは避けられない未来なのかもしれない。しかし、より注意深く警戒して登る。選ぶ山域を変えるなどしてリスク管理を考慮したいところでもありますね。
2024年春シーズンも安全登山を!ではまた!