トレイルランナーと登山者との共存について
”トレイルランナーと登山者との共存” について考えると何故か胸がザワつく・・。
そうは言いましても、トレイルランニングを語る上で登山者との共存について触れないわけにはいかない理由があります。
それは、これまで長い間、登山者とトレイルランナーの共存について議論され続けているからである。そう、対立してきた歴史があります。
並びに、コロナ禍になってから運動不足を解消するためにランニングやトレイルランニングを楽しむ方が増えているようなので、
山を走るマナーの意識づけも踏まえて、
トレイルランナーと登山者との共存の「今」についてお話したいと思います。
トレランが熟成期を迎えるとともに、登山者とのわだかまりが解けた気がする
はじめに僕は、登山もトレランもやるので、どちらの意見も分かるし、理解しようとしている。登山の時はトレイルランナーに細いトレイルを猛ダッシュで追い越されたら怖い思いをするし、逆にランナーの時は、怖がらせないようにしなければならないと気配りをしているつもり。
でも、最近山に登っていて感じることは、
以前ほど、登山者はトレイルランナーに対して敵対心を持っていないように感じている。
なぜか?
まず、山で人が走っていること自体、2010年代は見る人によっては危険極まりない異常行為だったわけだが、今ではトレランがだいぶ普及し、週末になると登山道をランニングしたりトレーニングする光景が割と当たり前のように目撃されるので、
普通のこととして受け入れられつつあるのではないか。
コースディレクター 石川弘樹「かつて僕が海外から持ち帰ったものとは違うものが生まれてくる」
コロナ禍以降、日本のトレイルランニングの状況をどう捉えていますか?
「一番大きいのはレースやイベントが無くなったことですね。レースに出るためにトレーニングが必要で、そのために走るというサイクルが無くなって、各自がトレイルランニングの遊び方や楽しみ方が多様化してきたと思います。自分が走りたいところを自分で調べて行動する自立した楽しみ方が広がったのではないでしょうか。トレイルレーサーというより、『トレイルランナー』が増えたという印象です」
トレイルランナーが増え、
普通に見られるようになると、不思議と違和感も抱きにくくなり、
練習で登山道を走っているだけなのに、登山中のおばちゃんから「がんばれー!」って応援されることもしばしば^^; ありがとうございます(笑)
登山ですれ違う時、「こんにちは!」「今日は良い天気ですね!」「どちらまで?」「お気をつけて!」
と、このように挨拶を交わしますよね。
まさに、この爽やかなやり取りが、トレイルランナーと登山者とで行えるようになってきている。
私は強く感じています。
山を単独で安全に走れるレベルのランナーの大半はマナーも兼ね備えているので(稀にそうではない方もいるのは事実ですが・・・)
ご高齢の登山者においても、山にはトレイルランナーが走っていることも理解されているし、お互い迷惑をかけないよう歩み寄っている。
そんな風に感じています。
トレイルランナーを嫌う登山者もいるでしょうけど、トレイルランニングも、黎明期、発展期、熟成期を迎え、色々な問題を乗り越えながらも
「共存」というレベルには到達したのではないでしょうか。
まあ、2022年に久々に走ったレースで登山者から
「飛沫が飛ぶだろうに・・」
と言われたときはショックで泣いた(笑)
この記事を書くきっかけの1つとして、
登山者とトレイルランナーとの亀裂について次項に書いていきたい。
かつてはトレラン禁止条例化への陳情書も出された
観光客、散策者が多い鎌倉エリアでトレラン禁止に向けた条例を検討していたことは知る人ぞ知る話である。
鎌倉市がトレラン条例制定へ ハイカーとの共存、折り合わず
山道を走るトレイルランニング(トレラン)愛好者のマナー向上を狙い、鎌倉市は条例制定に向けた検討を始めている。かねて登山や散策を楽しむハイカーとの接触事故への懸念があり、ランナー側は自主ルールを設けるなど共存の道を探ってきたが、議論は折り合わぬまま。市は安全確保や自然保護には条例化もやむを得ないと判断、誰もが快適に利用できるハイキングコースを目指すことにした。制定されれば全国初という。
中略
ハイキングクリーンの御法川齊代表は「条例ができれば危険なランナーに注意する際も説得力が増し、全国へのPR効果も非常に大きい」と強調。協議会の滝川次郎会長は「陳情が採択されたのだから、取り下げられない限り条例化は仕方ないと思う。
2016年の記事なので、私がトレランを始めるか始めないかくらい出来事であり、かなり古いものになりますが、まさに当初はトレイルランナーと登山者との亀裂が大きかったことを、上記文章中からも感じ取ることが出来る。
もしも各地でトレラン禁止にされてしまうと、さすがに心がザワつく。どうにか穏やかな解決方法は無いものだろうか。
山を走ることは危険なこと。というのが常識と思われていたし、登山者の真後ろをそのまま走り抜ける危険なランナーが多かったことも事実だろう。
いわゆる ”マナー” というものがはっきりと確立されていなかったことに加え、
普段登山をしないシティランナーは、尚のこと「山のルール」を知らないまま、トレランに興じていたのだろう。
それでは亀裂が生じるのも無理はない。
トレラン、共存の道探る ルール作りトラブル回避
山道を走るトレイルランニング(トレラン)の愛好家が、登山者やハイカーとのトラブルを防ごうと地域で自主ルールを作る動きが出てきた。「すれ違い時は歩く」「週末は人気コースを走らない」といった内容。適正な大会運営を目指し全国組織を設立する動きもあり、ランナー側が歩み寄って共存の道を探る。
引用:日本経済新聞より
揉め事が起きるにつれ、共存への道も模索され始めた。
が、しかし!!
これを見て欲しい。↓↓↓
※Google検索
これ、Google検索の1ページ目なんですけど、トレランと登山者の共存について調べようとしたら、このような候補が出てきてしまうほど、一部では根強い嫌われ者であることが浮かび上がっている。
笑っちゃいけないど、笑っちゃった。皆、穏やかではないワードでググっているんだもの。
とにもかくにも、登山者のトレイルランナーに対する印象は悪い。
引用:図解ひとり登山さんより
確かに、数十人とかの集団が迫ってきたら怖いですよね。
漫画でのコメントには「マナーであってルールじゃないからねぇ」
とありますが、
レースにおいては、登山者に対する配慮(追い抜く時は歩く・・等)などマナーを遵守することをルールとしてほぼ100%設定しています。
このルールを破るとスタッフの判断によって失格にすることも明記されています(本当に失格にするかどうかは別として)
山でのマナーは すなわち ルールである
と、私は思うんです。
登山者に対するマナーとは
トレイルランナーの登山者に対するマナー(配慮)とは、当然事故にならないように心がける配慮である。
・登りが優先
・後ろから抜く時は 声を掛けて自分の存在を気づかせてから 歩いて抜く
・登山者の近くを通るときは 歩く
・あいさつを忘れない (すれ違う時、譲ってもらった時)
・登山者を驚かせない
ざっと、こんなもんだろう。
又、山に対するマナーも合わせて理解するようにしたい。
携帯トイレを持ち歩く、植生を踏み荒らさない、ごみは捨てない・・など。
その他に、参考になるものとして
一般財団法人日本トレイルランニング協会では、トレイルランナーのためのガイドラインとしてマナー冊子を発行している
トレイルランニングに必要な装備や山のマナーをイラストと共に丁寧に解説している冊子を発行していますので、走り出す前に一度読んでください。
マナーを守って安全に楽しむように心がけましょう。
- 自然に敬意を払って行動しましょう。
- 安全第一。計画をしっかり立て、充分な準備を整えてから山に入りましょう。
- トレイルは譲り合いましょう。
- すれ違い・追い越しは、必ず歩いて。
- 集団で走るときは、周りに気を配りましょう。
- トレイルから外れないようにしましょう。
- ゴミは全て持ち帰りましょう。
- 動植物を大切にしましょう。
- トイレは極力所定の場所で済ませましょう。使った紙は持ち帰りましょう。
- あいさつをしよう。
しっかりとマナーを守り、人にも自然にも優しいランナーでありたい。
トレイルランナーと登山者は共存できつつある
私はこのように思っているし、そうであると信じたい。
そのためにも、自らが率先してマナーあるトレイルランナーであり続けなければならない。
実際、ランナーとして山にいても、登山者として山にいても、友好的かつ、適度な距離感でお互いを認めることが出来ていると最近は特に感じている。
注意すべき点として、トレイルランナーだけが気を付けなければならないのではなく、登山者にも言わずもがな「お互いに」マナーを守らねばならないよ。ということ。
トレラン大会妨害行為多発
最近トレラン大会で案内看板の向きを変えられたり、外されたりの妨害行為があったことをSNSで何回か目にします。
ウルプロメンバーが3位で走っていたけど、多くの上位陣が集団ロストでメンバーの総合入賞が消えたなんて残念なレースもありました。
自分に置き換えたらかなり悔しい。
最近目にしたのは埼玉県の大会ですが、六甲などでもあったようですし、結構目にします。
どのような考え、立場の方がしているかは分かりませんし、想像で書くべきではありませんが、“当該大会”か、“トレラン大会”、もしくは“トレイルランニング自体”に反対しているかのいずれかであることはほぼ間違いないでしょう。
考え方や価値観は様々ですが、場合により重大事故に繋がることなので絶対にやめて欲しいです。
案内の矢印看板の向きを変えられたらシャレにならない!汗
これは死活問題ですし、場合によっては命に関わります。絶対にこのようなイタズラがなくなることを望みます。
とはいえ、コースロストしても、ルートファインディングできる能力をトレイルランナーには求められているとも言いますが。
ということで、トレイルランナーと登山者との共存の「今」について、たっぷりと語りました。協力し合える未来を目指したいですね。ではまた!