天理岳稜線は登山道ではありません

天理岳稜線は登山道ではありません

2022年8月8日 オフ 投稿者:

皆さん、こんにちは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

 

当ホームページの天理岳の記事へのアクセスが急上昇したので、

「・・・これはマズいぞ」

と、嫌な予感を巡らせつつ、ニュースを調べたら

やはり事故が発生しておりました。

 

男性死亡…道に迷い、岩場付近で120メートル下に滑落 友人らと登山中だった 斜面でうつぶせの男性発見

30日午後4時ごろ、小鹿野町両神薄地内の天理岳(標高1173メートル)で、富士見市鶴瀬西3丁目、無職の男性(86)が滑落し、死亡が確認された。

 小鹿野署によると、男性は友人男性(80)ら計3人で登山中だった。下山中に道に迷い、山頂から約1キロ離れた岩場付近で、何らかの理由で約120メートル下に滑落した。

引用:埼玉新聞 2022/08/01(月) 記事より一部抜粋

 

関東在住で、奥秩父の登山が大好きな人は知っていると思いますが、

『天理岳』は、両神山と稜線上で繋がっている山であり、熟練の登山者であれば両神山縦走のコースとして使われることもあるかとは思います。

 

ですが、天理岳の稜線は登山道ではありません。

正確には、天武将尾根と呼ばれており、破線ルートとして「山と高原地図」には一応ルートが乗っかっています。

 

しかしながら、実際私も登りましたが、ルートと呼べる代物ではなく、もはや廃道でした。

こちらをご覧ください。

これは以前、私が入手した両神山塊の山岳遭難ハザードマップです。

両神山塊で事故が発生したところにマーキングがなされています。又、情報としては令和以降のものなので、最新と言えるでしょう。

天理岳稜線上のから少し離れたところの ”落” マークにピンクで〇印をつけたのですがわかりますでしょうか。このあたりは、両側が谷に切れ落ちている岩場があるエリアであり、その岩場かもしくは、その周辺で道迷いを起こして登山道から外れたところで滑落してしまったことが想定されます。

というか、このハザードマップではそもそも登山道とすら認識されていません汗

登山道であれば、危険個所には鎖やロープが配置されていたりしますが、当たり前ですがそんなものはありません。頼れるのは自分の体のみです。

それがこの写真です。正面の岩を登りますが、狭くて危険です。

 

2021年以登った時の、私のGPSの軌跡です。天理岳山頂の先で道迷いを起こしていますね。冒頭で紹介した事故はこの山頂から ”1キロくらい離れた岩場” ということなので、であらば、さきほどの上記写真の岩場のエリアがそれに該当しますので、もしかするとそこかもしれませんね。

 

お亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

 

もう1つ、忘れてはならないのが、この天理岳は、人があまり立ち入らない割には事故の発生が絶えないという事です。

直近のものはこちら。

発生日 山岳名 パーティ構成 世代・性別 被害・様態
2021/09/19 天理岳 3人 60代・男性 滑落・重症
2021/09/22 天理岳 単独 60代・男性 滑落・死亡

※出典:埼玉県警 山岳遭難発生状況 より

恐らく9/22の方はニュースにも出ていました。

埼玉の山中で滑落 東京の60歳男性死亡

埼玉県警小鹿野署は、同県小鹿野町両神薄の天理岳(1175メートル)で男性が滑落して死亡したと明らかにし、27日、男性の身元が東京都北区の会社員、斎藤直樹さん(60)と判明したと発表した。

署によると、23日未明に斎藤さんの妻から「夫が登山に行ったが帰宅しない」と通報があった。署が捜索したところ25日午後2時25分ごろ、天理岳の斜面で死亡している斎藤さんを見つけた。

登山道から約80メートル滑落したとみられる。

引用:産経新聞 THE SANKEI NEWS 2021/09/27記事より

 

両神山塊は、標高こそ決して高くはないのですが、急登や危険個所が多く険しいので、かなりの落差を落ちることになります。

若い世代の私でも、それなりの緊張感がある山ですが、60歳以降、定年後に楽しむ登山としてここを登るかどうかは、悩みどころです。体力と筋力は落ちてきていますから。

 

山が奥深く、静かでダイナミックな山歩きができる格好の山ですが、

天理岳の稜線、天武将尾根は そもそも登山道ではありませんからね^^;

”無理な登山はやめよう”

この一言に尽きます・・・

 

これから秋のシーズンに向けては毎年事故が増えてきますので、皆様におかれましては安全登山を心掛けていただければと思います。ではまた!