鍋割山で発生した落雷による死傷事故について検証【山岳事故】

鍋割山で発生した落雷による死傷事故について検証【山岳事故】

2019年5月17日 オフ 投稿者:

皆さん、こんばんは。社団法人ランナー龍(たつ)です。

今回は2019年5月4日の午後、丹沢の鍋割山で発生した落雷事故について記事にいたします。

GW10連休の真っ只中、私自身も何度も登っている鍋割山で残念な事故が発生してしまいました。

県は5日、秦野市、松田町、山北町にまたがる丹沢山地の鍋割山(標高1272・5メートル)で4日午後、登山中の男性に雷が落ち、死亡したと発表した。

 松田署によると、死亡したのは千葉市の男性会社員(45)。男性は4日午後1時25分ごろ、山頂から南方に約640メートルの地点を、山頂に向かって友人の男性(45)とともに歩いていた。雨が降り出したため木の下に移動したところ、雷に撃たれた。友人は少し離れた場所におり、けがはなかった。

 当時、周囲には雷注意報が出ていたという。

引用:神奈川新聞「カナロコ」より

https://www.kanaloco.jp/article/entry-165551.html

事故に遭われた方には謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

今回の落雷事故を徹底分析

登山で代表的なリスクの1つ「落雷」

登山をする以上、落雷は避けられない。

ニュースの記事によると、当時周囲には雷注意報が出ていたというが、この気象予報を読まなかったか、読んで強行したかは分からない。

雷予報が出ていたら登らないことがリスク回避ではあるが、夏場を中心に基本、山では毎日のように雷が鳴っているので完全に避けることは不可能だと思う。

登山者にとっては遭難や滑落よりも遭遇率が高く身近なのが「落雷」である。

鍋割山山頂の鍋割山荘

この写真がちょうど、鍋割山の山頂になるが、今回落雷があったのはここではない。山頂から南方に約640m離れた位置としている。

鍋割山の周辺はどの方角もまばらな木に覆われた多少の傾斜はあっても基本、尾根づたいの登山道となる。なので、雷が来たらかなり危ない。

二重表現になり文法的には不適切だが、それでも言わせていただきたい。

危険が危ない!

山頂の周辺 ここに雷雲がきたらひとたまりもない

事故に遭われた登山者は下山中ではなく登りの最中だったのも危険率を上げる要因であると思いますが、もしかすると急いで山頂の鍋割山荘に逃げ込む予定だったのかもしれません。

方角は山頂から南方、ということは、大倉又は寄(やどろぎ)👉後沢乗越👉鍋割山頂のルート取りで間違いないと思われる。

山頂から640mという距離はちょうどもっともキツイ登りを越えたかなくらいであともう少しかなと思うくらいの場所で、ここまで来て急に下山はしたくない気持ちはよく分かります。

落雷時、木の下は危険と言われているが、今回はその例と同じように木の下に移動したところに落雷している。少し離れた位置にいたもう1名は無傷だったというからここで明暗を分けた。

ここまで検証しましたが、この登山計画、登り方、判断など善し悪しを勝手に判断することはできません。ただ、不運でありご冥福をお祈り申し上げる次第です。

登山をする以上、落雷を0%にすることはできません。

それはF1レーサーが一瞬の判断ミスで死に至るのと同じように、やる以上、必ずついてまわるリスクなのである。

これからも経験を積んで少しでもリスクに対応する術を身に着けていけるように精進していきたいです。ではまた!